01 転生
目が覚めると目の前に見知らぬ女性と小父さんが居ました。
「あう、あうう」
どうやら喋れないようですね。赤ちゃんですから仕方がありません。
「泣かないのは何処か具合が悪いのでしょうか?」
目の前の女性が何やら心配してるようですが、自分は多分見た目相応の歳じゃないですよ泣きませんとも。と言うか首が座って無いので、凄い気持ち悪い。これは子供が泣くのも頷けますね。
「……ふむ少し調べてみます」
小父さんが自分に手をかざすと、手のひらから光が出てきました。淡い光ですが、何も無い所から行き成り出てきて驚きです。
「!!」
何か怖い、怖い怖い嫌だ!!
バチ!!
何かが弾けた音がして私は目を開けた。すると、女性と小父さんが驚いた顔をしていた。そして自分の周りに漂う6つの球体があった。その球体は、赤・青・黄色・緑・白・黒と分かれていて薄い羽根が生えていた。
―ダイジョーブ?―
「!!」
何?でもこの子達は多分悪い子じゃない気がする。何やら凄い暖かい感じがします。
「フォルトス…これはいったい」
女性が球体に杖?を向けて何かを唱えてる。さっきの小父さんみたいに何か怖い感じがして、自分はまた目をつぶってしまった。
バチ!!
「っつ!これはいったい」
「おやめなさい、この方々は精霊様です。手を出すのは不敬になります」
精霊様?って何だろう。でもこの子達は何か温かいな。自分の周りをふわふわ漂ってるし、さっきから自分に喋りかけていくれる。
―私達ガ居ルカラダイジョーブダヨ―
「この方々は何故私達の前に顕現したのでしょうか?」
「恐らく姫様を祝福するために顕現したのでしょう。姫は魔法の発生を感知して怯えてしまったので、助けようとしたのでは?」
そうですね初めてなのでビックリしました。魔法なんて物を知らないので怖いです。でも、この子達は自分を助けてくれるようですね……ん?姫様?誰だろうと周りを見てみるが該当する方が居ません。目の前の女性は女王ならわかりますが、姫様って感じじゃないですし。なら状況的に自分でしょうか?体を触ってみるとうん女の子ですね。じゃあ私で行きましょう。自分と呼び続けるのも違和感があったので。
「この子は生まれたばかりですよ。魔法の探知等出来る筈が…」
魔法ってさっきの違和感ですかね。私は首を傾げようとしましたが赤ちゃんである私はまだ首が座って無いようで上手く動かせません。とりあえず女性と小父さんを見てみよう。女性は銀色の髪に蒼い瞳の綺麗なお姉さん、バストは…大きいですね。小父さんは白髪が混じってまずが、茶髪で同じ色の瞳です。服で見づらいですが、露出する肌から察するに結構筋肉ありそう。
「!!王妃様、姫様の瞳が…」
「これって…」
ん?私の目に何かあるのかな?鏡ありませんかね?自分じゃ見えないよ。それに視界に異常も無い。
「……精霊の加護…「瞳の刻印」何でこの子に…」
「取りあえず姫様に何か異常が無いか調べます…姫様、私は貴方様を傷つけはしません。健康かを調べさせてください」
さっきの魔法?は健康診断みたいのだったのかな?じゃあ大丈夫かも。精霊さん?すみません勘違いみたいです。
―オッケージャア休ンデルネー―
そうして白い精霊さん?以外の精霊さん(暫定)が薄くなった。薄いので見えにくいけど居るのが分かる。でも休んでるみたい。思念?何か繋がりが薄いと言うか休眠してる感じがします。
「ふむ、これと言って異常は無いようですな。それと凄く賢い子かと」
「賢い?ですか」
「ええ。恐らくですが、この状況を多少でも理解しているようです。精霊様も一柱を残して消えてしまいました。恐らく姫様は危険が無い事を理解していただけたのかと」
そうですね分かりますよ。私はただの幼児じゃありませんとも!でも魔法か私の持ってる知識に無い物だからビックリしたね。
「では私は陛下に無事生まれた事と瞳の刻印の件を話してきます」
そう言って小父さんは部屋からさって行った…ってちょっと待った!陛下?それって普通国王とかが呼ばれるんだよね?何故報告を…きっと瞳の刻印とやらが珍しいんだな。きっとそうに違いない。自分じゃ刻印は見えないけど。
しかしこの部屋は広すぎじゃね?20畳くらいあるし、私は庶民派なので6畳くらいの部屋をくれんかね?
「私が貴女のお母さんだよよろしくねアリス」
少し驚いて居たお母様?が再起動したみたい。むにむにと私の手をいじったり、頬を触られてくすぐったいのですが、私は赤ちゃんつまり抵抗は出来ませんでした…ぐぬぬ。
しかし母の温もりは心地よい。これは全世界共通でした。
しかし今生は姫様ですか。私見ですが、私は元庶民かと思いますね。こんな豪華な部屋で生きていける気がしません。そう言えば恐らくだけど私の事を姫様って言ってたねあの小父さん…それはつまり両親の家は結構な地位になるんでしょうね…チェンジできませんかね?このお母様は嫌いではありません。寧ろ抱っこされるととても落ち着き幸せな気持ちになりますが、私は恐らく元庶民。貴族の生活が出来るとは思えないよ。
コンコン「シルビア入っても良いか?」「どうぞ」
ん?誰か来たと思ったら、いきなりドアを破壊してこっちに突進してきた!!!
「これで10回目ですよ。いい加減ドアを破壊しないでください」
「問題ない後で俺が付け替える」
どうやら常習犯のようです。しかし渋めのダンディーな人ですね、そこそこ歳はいってそう。お母様より結構上かな?筋肉モリモリなのが減点ですね。私は筋肉に興味は無い!!
「あう!」
取りあえず挨拶をしてみたらさらに高速で近づいてきたが、お母様が私を反対側に逸らしてくれたので助かった。謎のダンディーは凄い落ち込んでるね。もしかしてお父様なのでしょうか?
取りあえず何やら話してるようですが、精霊がどうのやらさっきも聞いた事なので、私は特に興味は無いのですが。
そして行き成り、お父様(暫定)が何かを放出しだしました!!ビックリだよ。危うく休んでた精霊さん(仮)にエマージェンシーコールをしそうになった。
「本当にアリスの周りに居るな」
「恐らく光の精霊様以外やる事が無いのでしょう」
そうだね。さっきから暇だーとか眠いとか言って漂ってるよこの子達。何か分からないけど、さっきので精霊を知覚したのだろう。びっくりさせないで欲しい。
「アリスティアは誰にも奪わせないし、道具にはさせない俺達で守ってやろう」
何やら私に危険が迫ってるフラグが立ってますね。生後数時間位で命の危険な立場をゲット…このフラグってクーリングオフ出来ませんかね?
しかも500年前に何やらあったようですね。会話の流れ的に私の目の事かな?と言うか精霊さん達が、お母様達の周りを飛び回って遊んでるけど邪魔じゃ無いのかな?真剣に話をしてるけど凄くシュールだよ。
寝たり起きたり落ち着きのない精霊(仮)だな。
「しかしアリスティアは表情を全く変えないな」
失敬な!私は見た目は赤ちゃん中身は不明…うん何でもない。て言うか精神的には泣きまくる年齢で無いのは確かです。表情は元からなんでしょうね。それでも楽しんではいるのですよ。新しい生活ですから。
「よしアリスティア、俺がお前のパパだぞ。国王だぞ、安心しろお前に近づく害ちゅぐぁぁ」
何やら話してる途中にお母様が持ってる杖で鳩尾を強打したね。そして嫌な予感は当たる物ですね。
私は流れ的に王女様なんでしょう。余り嬉しくないですね。例えばだけど、森の中にエルフで生まれるとかしてくれれば静かに暮らすんですけどね。まあ仕方ありません。あの人?との約束もありますし、今回の人生は精一杯頑張って生きてみましょう。