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転生王女の国家大改造 ~無敵な国を作りましょう~  作者: 窮鼠
激突アーランド王国VSグランスール帝国
246/377

230 決死の戦い④

刺突の構えで突撃してくる栞。私は栞よりも傘の方に意識が向いている。明らかに武器じゃない。でも戦場に武器として持ってきている。つまり何か力を持った傘だと言えるのだろう。


「無駄。それと邪魔」


 転移で距離を取れば魔眼持ちが突っ込んで来る。それしか出来ないのは分かりきっている。私は腰からリボルバーを素早く抜くと、腰だめの状態で発砲する。

 碌に狙いをしていない銃弾が魔眼持ちの男の腕と腹・太腿に命中し、魔眼持ちの男が崩れ落ちる。

 そりゃ私のリボルバーは発砲するのに魔法を使ってるだけだ。普通の魔法のように魔力で狙いを定めて居ない。つまり弾道を読めなかったのだろう。

 一つの力に頼るようでは強くなれない。お父様はあらゆる武器を使いこなせるから強いのだ。最も強度の関係で戦槌を好んでいるが。

 次に少し遅れてドルドレット将軍が来る。私は彼の槍をグラディウスで弾こうとするが、私の力では不可能だ。逆に私の手からグラディウスが弾かれる。

 私は術式解凍で風魔法で後方に自分を飛ばす。ドルドレッド将軍は更に踏み込む。


「グラディウス! 」


 宙を舞うグラディウスの柄から鎖が伸び、私の腕に絡みつく。そして私はそれを引っ張る。するとグラディウスはドルドレット将軍に刃先を向けて猛スピードで迫る。


「ッ覇! 」


 しかしドルドレット将軍は闘気を放ってグラディウスを吹き飛ばす。

 ヤバい。このまま魔装を展開するつもりだ。この状況で魔装なんて使われたら勝てない可能性がある。

 先手必勝!


「開け宝物庫の扉。落ちてこい試作品達。そして吹っ飛べ! 」


 私は宝物庫内の何処にでも扉を出せる。試作品を適当に山積みにした場所、特に失敗作の山の下に扉を開く。

 そして宝物庫内の試作品は機密保持の為に自爆装置付きの物が多い。無論完成すれば外す事も多いが、世に出せない物も多いから仕方ない。もしかしたら私の宝物庫内の物を取り出す方法があるかもしれないからね。

 行き成り落ちてきた試作品の山の自爆装置の起動スイッチは【クイック・ドロー】で取り出したスイッチで起爆させる。

 流石にこれで死ぬとは思えない。私は栞とか言う女をリボルバーで牽制しながら宝物庫の扉を一度消し、違う場所に繋げて扉を開く。


「流石にこれなら死ぬだろう」


 落下して来た20インチ砲専用弾だ。予備があると思ったが、丁度良い事に瞬発信管の奴だ。これなら使える。

 私は20インチ砲弾の下に門を開き、20インチ砲弾を落す。

 そして地面に落下した瞬間大爆発。私はそのまま宝物庫内に逃げ込んだので無事だ。至近弾でも宝物庫の扉は全くの無傷である。強度どうなってるのだろう。

 爆発が終わると私は宝物庫の外に出る。籠ると出られなくなる可能性があるからだ。これで終わりじゃない。まだ復讐相手は幾らでもいる。


「………嘘でしょう」


 ドルドレッド将軍は生きていた。但し両腕は吹き飛び、瀕死の状態でだが。

 でもこれ以上は戦闘出来ないだろうし、出血量的に治療も無理。第一栞が普通に安全圏まで逃げてたみたいで、コッチに向かってきてる。私はリボルバーで止めをさした。


「3人死んだけど」


 栞はドルドレッド将軍が倒された事が納得出来ないかのように怒っている。

 いや、魔装を完全に展開されたら負けるし。展開する前に潰すのが上策だよ。敵が第二形態に変身する時に始末するのと同じだ。


「嘘でしょう。って言うか爆弾使うとか卑怯よ! 」


「砲弾だけどね」


「何でそんなの持ってるのよ! 」


「作ってるからだよ」


 まあ他にもいろいろとあるけどね。手札の中身は秘密にするに限る。

 さて、栞とか言う女も始末しよう。コイツは主犯の一人だからね。

 私は【ファイヤーボール】を適当に放つ。まずは戦力確認だ。避けれないように100発程撃ち込む。

 さて、どの程度の脅威かな?


「ちょ、多すぎ! 」


 文句を言う程度には余裕そうだ。実際開いた傘で魔法を弾いてる。成程、魔法対策にもなっているのか。じゃあ銃弾はどうだろう。

 私が発砲すると傘は普通に銃弾を弾いた。

 その瞬間私の中で栞は脅威ではない事が確定する。

 こいつも魔眼使いと同じだ。傘に頼ってるだけで、一流には程遠い。


「お願いできる? 」


――りょうかーい!――


 私の体を風が包むと、勢いよく栞に近寄る。


「この、調子に乗るな! 」


「私は負けない」


 閉じた傘の刺突を私のドレスアーマーの胸プレートが伸び、地面に杭を打つように差し込む。私はその勢いで栞の頭上を回転して避ける。と同時に靴の先が変形し刃先が飛び出ると、栞の肩を蹴って突き刺す。


「痛いいいいい! 」


 肩を抑えて栞が転げまわるが、私は傘を回収して宝物庫に仕舞う。これで武器は無い……と言いたい所だが、転げまわる栞のスカートの中に何本かのナイフが見えてる。馬鹿かコイツ。

 大げさな痛がりは演技だな。最初は痛みに耐性が無いのかと思ったが、多分演技だと思う。

 私は栞に近寄ると、足にグラディウスを突き刺す。これで移動出来まい。


「ぎゃああああ、なんちゃって」


「まる分かり」


 当たり前のようにスカートの中からナイフを一本取り出して私に突き刺そうと上半身を上げたが、私はグラディウスの柄から手を放して距離を取る。ついでに手首に巻き付いた鎖を引張ってグラディウスを栞の足から抜いて手元に戻す。


「えへへ。良く分かったね」


「演技が大げさ。普通にスカートの中のナイフ見えてるし。馬鹿じゃないの? 」


「あちゃ~失敗失敗。

 でも本当に躊躇いも無いのね。私この世界での貴女の噂を聞いてずっと不思議だったのよ。

 あんな魔女みたいな貴女がこの世界じゃ聖女? 何それってププって笑っちゃたわ」


「私が名乗ってる訳じゃいんだよなぁ」


 アレは勝手に呼ばれてるだけだ。基本的に聖女ってキャラじゃない。神に祈る事も基本無いし。

 と言うか私精霊派って言われてるから正教とは言う程仲が良くない。悪くも無いけど、一時期距離取られて謎の視線を向けられていたんだぞ。敵意は無いが諦めの視線を向けて来る相手が私を聖女と言う筈もない。

 そして精霊信仰は基本的に自然信仰で緩やかな宗教であり、組織に聖女と言う役職は無い。つまり私は聖女じゃないのだ。


「第一何がしたいの? 普通に私の方が強いけど」


「アレ、分からないの? この戦争自体貴女を手にいれる為の戦争だけど」


 それは薄々察してた。


「まあ、皇帝の思惑なんてどうでも良いけどね。どうせ帝国は兄さんが乗っ取るしね。貴女はその新しい皇帝のお妃になれるの。どう嬉しいでしょう? 」


「気持ち悪い妄想は自分のノートにどうぞ。第一私にメリット無いし、知らない人と結婚とかあり得ないでしょう」


「………」


 栞の表情に暗い影が出来る。


「そっかぁ、知らないんだ。だよね貴女そういう人だもんね。あれだけ兄さんのプライド踏みにじっておいて知らないか……手足の一本くらい無くても良いよね。後で治せるし」


 多分前世の私のアイリスを知っているのだろう。今だから言えるが、アイリスは基本的に他人に興味ないぞ。

 第一、教師・同級生の顔と名前を一人たりとも覚えて居ないのが証拠だ。親しい人しか記憶しないし、親しい人を作るのが大の苦手だった。

 まあプライドを踏みにじったという事は唯の言いがかりだろう。よくある事だったからね。後からアイリスが始めた研究が先任者よりも先に成果を出すとか日常だったし。


「知らない人に恨まれるのはよくあった事だし、どうでも良い。

 でも私の家族を傷つける奴は全員敵だ」


 今の私には力がある。これ以上はやらせない。

 私はリボルバーで栞を撃つ。1発2発3発。時折リロードの魔法で銃弾を装填しながら撃つ。

 30発程弾かれたが、弾いた弾がグラディウスを刺された太腿に命中する。私は動きが鈍った瞬間に距離を詰め、傷を思いっ切り蹴る。これなら効くだろう。


「うっぐ」


「私の勝ち」


 私はグラディウスを振り上げる。


「アリス止めてくれ」


「っつ! 」


 私がグラディウスを振り下ろそうとした相手がお兄様……いや違う!

 一瞬の硬直の隙を突かれてお腹を殴られる。


「アハハ騙されてやんの」


「………」


 形成逆転とばかりに私に馬乗りになる栞は容赦なく私の顔を殴る。痛み? 違う。これは痛みじゃない。


「これに引っかかる奴多いのよ。私の【変化】は女神の力。貴女でも一瞬くらいは騙せるわよ」


 笑いながら私を殴り続ける。私はそれを掴む。その瞬間ガントレットの掌の部分が棘に変化する。それだけじゃない。鎧の各所から棘が出る。串刺しだ。


「えっ……」


「……邪魔」


 身体強化を使った裏拳で栞を思いっ切り殴る。

 ゴロゴロと転がる栞。私は栞の肩を踏みつける。


「私はね……偽物が大っ嫌いなの。特に家族の偽物は絶対に認められないんだ」


 っひっと小さい悲鳴を上げる栞。今の私がそんなに怖いか?

 私は栞の両手両足を撃つ。これで完全に動けないだろうと思ったら、治療魔法が使えるらしい。少しずつ治ってる。成程、刺されても動ける訳だ。


「お兄様の姿を真似た代償を払ってもらうよ。死ね」


 私は栞が少しでも動けないように足を銃で撃ちまくる。中々の治療魔法の腕だが、10分は歩けまい。

 私は宝物庫からC4を取り出すと、ポイと栞に投げつける。起爆させればハイお終い。

 嗚呼イライラする。もう良いや。この調子だと残ってる連中に勝てない。あの男が何か言う前に先手を打とう。

 私は詠唱を始める。


「【大帝】」


 その瞬間私の意識は途絶えた。

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