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22 謁見と国王陛下

「アーランド国から来ましたフルール伯爵家の長女、アリスです。本日は留学に際しての挨拶に伺いました」


謁見の間でスカートの裾をつまみ、軽く持ち上げながら頭を下げる…カーテシーと言う奴ですね。それを玉座に座っている王様にします。

 謁見の間に居る中で最年少が私ですが他にも20人程の子供が居て全員が貴族の子息や令嬢です。まあかなりぎこちなかったり全然なって無い子供とか居ますが周りの貴族の人達は微笑んで見てますね。子供なのでぎこちないのは仕方ないと理解がある方々なのでしょう。私は立場上手抜きをすれば即折檻の罰付で教育を受けてるので問題は無いのですがね。


「ようこそ未来を担う若者達よ我が国は君達を歓迎しよう」



王様のありがたい?お言葉の後は貴族的な挨拶などをして謁見自体は1時間程度で終わりました。着替えや待機時間で2時間以上あったので3~4時間と言う所ですか。私もよく我慢できたと言えるでしょう。

 私もそろそろ帰ろうかな。暇だし。


「そなたは確かフルール家の令嬢であったな」


「はい陛下。フルール伯爵家長女のアリスです」


何故ここに国王が居るのだろう。さっき謁見の間から出て行ったのは確認済みなのですが何かあって戻って来たのかな?


「ほほ、慣れているのかな?他の子息や令嬢はこれで慌てるのだがなそなたはこれと言って緊張が無いようじゃ」


「いえ、私は少々反応が鈍いだけですわ。領地から出た事の無い世間知らずです」


嫌がらせか?普通背後に国王が居たら子息や令嬢だけじゃなく下級貴族でもビビりますよ?(うちではよくある事なので兵士どころか市民でも驚かない)


「ほほ、中々の教育を受けてるのう。そなたの兄の事は王宮でもよく話題になっておるぞ。優秀だとな」


「はい、自慢の兄様です」


何が言いたいのかな?私と世間話?他の子息や令嬢の目が怖いんだけど。


「そなたも優秀であるそうだなあの馬車は見たことも無いのだがそなたの国にはあれらは普通に有る物なのか?」


ああ馬車か…


「いえ。あれは私が王家より依頼を受け作った物にございます。今回は安全性の最終確認の為特別に乗ってきました」


「ほほう。我が国も欲しいのだがフルール家に依頼は出来んかの?」


「その…素材が属性竜クラスですので買うとなるといくらかかるのか見当もつきません。今回はドラコニア国王陛下がご自身で狩ってこられた物を材料にしてるのです」


「…ふむ、確かに属性竜となると手に入らぬな。そなたの国の国王も相変わらずの実力じゃな。すまぬのあの馬車を欲しいと我が国の貴族が五月蠅くての」


「いえ要望に応えられず申し訳ございません」


欲しいと言われても作りませんよ。めんどくさいですしここで迂闊にOKするとお母様の怒りメーターが上昇するので無理です。

 私が拒否すると国王陛下が小声で話しかけてきた。中には普通の声で世間話を混ぜてるが本音の部分は小声の方でしょうね。


「(実はのそなたの事は知ってるのだ)」



「(そこまで警戒する必要は無いぞ。後で部屋に来てくれんかの?メイドも同伴でかまわんのでな)」



何だろう?私の事を知ってるって王女だって事?アリシアさんに相談しないと判断できないな、でも悪い感じはしないから多分大丈夫だと思う。私の危険予知レーダーには反応が無いので(少しでも反応すれば断るけど)


「(申し訳ありませんがお付きの人に聞かないと私には判断できかねます)」


「(アリシアとは儂も知り合いでのそなたの父が冒険者時代からの付き合いじゃ、既に許可は取っておるぞ)」


「(ならばお伺いします)」


この場の空気が重い(主に子息や令嬢の嫉妬の目線)ので話を終わらせたい。後令嬢モードは長続きしないのでそろそろ限界が近いです。部屋の隅に居るアリシアさんから視線を感じるのは私の借り猫モードの終わりが近いのを察知してプレッシャーを掛けてるのでしょう。

 国王陛下は私の返事に満足すると今度こそ謁見の間から出て行った。そして私達も外に出る。途中何か言ってきた子達が居たけどしょうもない嫌味なので無反応。今はそこまで余裕が無いのです。私の借り猫モードが本当に切れます。こういう場は苦手なのですよ


「それではお嬢様はこちらにいらしてください」


謁見の間の外に出るとメイドさんが私を待っていた。タイミングが悪くないですか?さっきの内緒話と外に出て即呼び出しって明らかに誰かに呼ばれて…明らかに国王様ですよね?目立ってない?周りの空気が重いを超えて殺気立ってますよ。田舎者とか陰口言われてます。

 まあさっさと付いて行けばいい話です。彼等とは関わらなければ問題は無い。国でも貴族…特に普人の貴族の人達は嫌な目と匂いを感じるので関わらないです。5侯の人達とはお父様並に仲が良いですけど彼らは普人では無いので。


「アリシアさん良いの?」


「ここまで保ちましたか恥をかかずに済みました。…ここの国王様と陛下は知己ですから大丈夫ですよ」


ふーん。と言うか何で呼ばれたのだろう。


「こちらになります」


メイドさんが部屋をノックしてどうぞと返事がした後に私達が入る。

 中は豪華絢爛な部屋だった。神獣を象ったシャンデリアや金や銀をの細工が入った支柱に上品なソファー。そしてそこに優雅に腰かける国王陛下。


「呼び出してしまってすまんの。ささ気にせずに腰かけると良い」


「失礼します…それでお話とは?」


私としては早く終わらせて帰りたい。堅苦しいのはお父様以上に大嫌いなのだ!何で皆はのほほんと生活出来ないのだろう。


「ほほせっかちじゃな事を急げば仕損じると言うがそなたは堅苦しいのが苦手なようじゃな」


「何せ社交界にも余り出てないので」


「ほほ、引き籠りと言うのは本当じゃったか」


社交界的には十分引き籠りですね。私は貴族特有の強欲が苦手で少しでも感知すると脱兎の如く逃走するのでお父様とお母様も社交界に慣らすのは諦めたみたい。


「どうにも社交界には慣れません」


「この国にまで話は来ておるわ。アーランド国の聖女は社交界が苦手で庶民的だとの」


庶民的かは知らないけど何やら不穏な発言が…


「聖女ですか?そんな人の話は聞いた事が無いのですが」


「そなたの事なのじゃが…」


へ?私が聖女?………ふむ


「すみませんちょっと失礼します」


お断りを入れると私は立ち上がり壁の方に立ってるアリシアさんの所に行く。


「どういう事?」


「さ…さあ?私にはいったい何の事なのか」


額からダラダラと汗を流しながらそっぽを向くアリシアさん、これは何か知ってますね。


「座りなさい「え?」いいから座る‼」


速攻でパタンと座るアリシアさんのほっぺを思いっきり引っ張る。


「いはいでふおひょうはま」


「話しなさい」


ギリギリとほっぺを引っ張りながら笑顔を向ける私。女の子は女優です。


「話さないなら侍女を解任するしかないけど」


更に笑顔を超至近距離で向けるとアリシアさんは泣きながら白状しました。


「話しますから‼話しますからそれだけは…」


アリシアさんの話を聞くとどうやら私を聖女にしようとしてたのは皇国…まあ教会ですがお父様が拒否。だけど私はよく回復魔法で誰かを治してる事があるので自然にそう呼ばれだしたらしい。


「特にスタンビート時のあの活躍です。味方を命がけで守りながら魔物と戦い死にかけるも生還、そして直ぐに怪我人の治療。普通これだけの事をすれば聖女扱いを受けても仕方ないかと」


「何で教えなかったの?あと教会が騒ぎそうだけど勝手に聖女扱いしていいの」


聖女って皇国が認定する物だった筈で勝手に名乗りを上げると拙い事になる気がしますね。


「教えたら引き籠るでしょう?流石に2度目は困るので事態が沈静化するまでは秘匿してました。皇国や教会は何を言っても我が国に関係はありません」


「沈静化したの?」


それで沈静化したのなら納得できる。人の噂は75日と言いますしもう沈静化したんでしょうね。


「いえ、何故か国民の受けが良く定着しちゃいました♪」


テヘっと自分の頭を小突くアリシアさん。何か腹が立つ。


「この事は絶対に忘れない、放置した奴等には然るべき報復を行う」


私は懐からアンテナ付のスイッチを取り出すと躊躇わずに押す。これで宰相達にお灸を据える事が出来るだろう。つかの間の悪夢を見ると良い


「何ですかそれ?」


「これで少なくとも宰相さんは私を怒らせた事を後悔する。多少の犠牲はこの際仕方ない」


アリシアさんは涙目で震えている。まだ彼女は知らないだろう。今頃城は絶望に包まれるのが確定した事を。


「お騒がせして申し訳ありませんでした」


「ほほ、かまわぬよそなたは見かけによらず活発なのだな。」


「お父様の血が強すぎると言われる事もありますが運動は苦手です」


内面はお父様に似ていると偶にメイドさん達が話してるのを何度か聞いた事がある。


「まあ良い。改めて名乗ろう。儂の名はオストランド第17代国王ロウディウス・フィル・ネクタルじゃよろしくの」


「はい陛下」


国王陛下の名前は謁見の間で聞いてるので知ってるけどそう言えば何で私呼ばれたのかな?お父様の知り合いでも私は特に関係は無いと思うんだけど。


「実はの、そなたの父ドラコニア国王は儂と儂の父…つまり先代国王の命の恩人なのだ」


「そうでしたか。しかしお父様は国に婿入りする前は冒険者で接点が無いと思うのですが」


普通は冒険者と国王・王太子は関わりを持つ事は無いだろう。物理的に生活範囲が違いますし。


「そうじゃな。だが儂と父は所謂共存派なのじゃ。他の種族を差別するより共に生きる事こそ国の発展に繋がると思っておるそなたの国が良い例じゃろう。500年以上も帝国と皇国の進行を防ぎつつも人口はそこまで減って無い。寧ろ帝国や皇国等の国が差別を進める程他種族はアーランドに集結しておる」


「それは危険なのでは?我が国は最初から他種族国家ですがこの国はそうでも無いのでしょう?」


確実に反対派が邪魔をすると思います。他種族は人間…いや普人と比べて何かに特化した種族なので奴隷としての価値は高い。つまりそこに利権がありそれを害すると判断されるだろう。


「そうじゃな、詳しくは省くがそれで儂達は暗殺されかけた。当時我が弟は差別派だったのでトップを入れ替えたかったのじゃろう。そこを偶々通りがかった当時冒険者のドラコニア国王が助けてくれたのじゃ」


「聞いた事がありませんでした。お父様は昔の事を教育に悪いと余り話してくれませんでしたので」


「当然じゃな、冒険者は面白い事だけじゃない。特にSSランクの冒険者のドラコニア国王は色々と辛い事もあったのじゃろう」


まあ色々あったとは言ってたね少し悲しそうに。


「まあその関係で儂等は友好的な関係を築く事が出来たのだ。じゃがそれを快く覆わない連中も居る。そして今回そなたをここに招いた理由じゃがどうか儂の願いを聞いてほしい」


国王陛下はそう言うと私に向かって頭を下げる。国王が軽々と頭を下げるのって不味いですよ、いやそれだけ重要なお願いなのだろう。


「頼む‼儂の孫娘を救ってくれぬか」


「え?」

2/12 オストランド王の名前を変更しました。

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[一言] 22話まで読みましたが、会話が支離滅裂すぎて、後、造語が多すぎて何が言いたいのか分からん
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