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21 王都へ

ガタゴトと揺れる生活も終わり静かな旅が始まりました。どうもアリスティアです。現在改造馬車(名前未定)の中でまた縛られています。


「…アr…」


「(ギロリ)なんですか?」


「ひっ!」


アリシアさんが怖いです。めっちゃ怖いです。ブルブル。

 何とか馬車の改造に成功したもののアリシアさんが大激怒、私へお説教&緊縛の刑でさらに扱いが悪くなりました。何故でしょう?私は旅を快適にした筈、ならば尊敬して今までの無礼な扱いを泣いて謝るべきなのでは?


「どうするのですか?この馬車絶対目立ちますよ。元に戻してください」


「予備のパーツは全て破壊したから無理」


そう私は改造するに当たって車輪等の予備パーツを全て破棄したのだ。これは改造後に戻せと言われても出来ないようにする為…まあ私と地の精霊の力をもってすれば余裕で現地調達出来るけどこれは秘密。


「勝手な事を!貴女は私の信頼を裏切ったのですよ」


ちょ!怖い怖いってば!さっきから馬車の隅で震えてる私を考慮しなさい。


「私は悪くない。悪いのは馬車の性能」


「普通は我慢します。絶対にその場で改造しません。ましてお付きの人を眠らせてまで強行する人など聞いた事がありません…どうやらお嬢様にはまだまだ淑女としての教育が足りなかったようですね」


ひぃぃぃ!ヤバいです目が座ってます。もう一度寝かせる…無理ですね、それを行うと問題の先送りだけじゃなくて事態を悪化させるだけだ。


「そんな事したら引き籠ってやる」


「言葉使い」


むにぃっと私のほっぺを引っ張るアリシアさん。私は縛られてるので嫌々と顔を振るくらいしか出来ません。そしてその程度でアリシアさんの攻撃を止める事は出来なかった。


「私は悪くない!寧ろ感謝されるべき立場。こんな改造をしたんだから、前よりも良いやつになったでしょう」


「そうですね。聞いた事も無い代物ですが今必要かと言われれば否ですよ。そもそも私は一国の王女がこんな研究職みたいなマネをするのは反対なんです。今後は辞めていただきたいです」


「だが断る!どうせ城に似たようなのが…」


ふふ…どうせ城のおもちゃ箱(元自室)は私の作品でカオス空間だ。


「ああ。あのトラップ部屋ならお嬢様が居ない間に査察に入ると宰相様が言ってましたね」


「ふふ…愚かな」


全く愚かな人だ。あの部屋に有るのは私の科学チートの粋を集めた物の封印部屋であの部屋を攻略するなど不可能だ。お父様は絶対参戦しないと確約してるし参戦しても物理特化のお父様に攻略できるほど甘い設計じゃない。精々心のトラウマを呼び起こされるがいい。


「余裕そうですね。確かにたまに不審者が部屋から叩きだされたうえ錯乱してるらしいですけど国の査察を防衛出来る程では無いはずです。陛下が本気を出せば余裕ですね」


「本当に愚かな人達。例え魔王でも攻略は不可能。本当に攻略したければ光の精霊と契約した精霊術師を数人呼ぶんだね。じゃないと部屋の探索すら出来ないから」


部屋の中は闇の精霊魔法で明かりは点かないし道狂わせの魔法でいつまでも同じ場所を回り続ける。そして本人の見たくない物を只管見えてくる【悪夢≪ナイトメア≫】を受け心を折られるだけだろう。それに全てが精霊魔法なので通常魔法での無効やレジストは不可能…例え出来ても常時レジストしてればマッハで魔力が無くなるから最低でも私レベルの魔力が無ければ数秒で魔力切れを起こすだろう。つまり脳筋族のお父様には攻略出来ない。それにお父様との会話で娘の部屋に勝手に入る親って最低。私だったら縁を切るとさり気なく言っておいたのでミクロの可能性を持つお父様も参戦はしまい。もし入ってたら本当に今後の関係を考え直すけどね。


「……まさか…まさか本当に無理なのですか?いえ…そんな筈が…いくら姫様でも城の一部を勝手に要塞化する筈が…」


何やらワナワナと震えながら何かを呟きだすアリシアさん。私の余裕さを見てあの部屋の危険さを理解できたらしい。遅すぎだね。そもそも何処かの間諜が錯乱しながら部屋から叩きだされるような部屋ですよ。そんな場所を攻略するなど普通は考えないだろう。流石の私もあの部屋の中身を考えると防衛に一切の妥協をする気は無い。根幹技術が無いあれらとNo17だけは来るべき時までは封印するのだ。あれらは生まれる時代が早すぎた作れると思ってしまった私が悪かったのだ。だから封印した。


「うん。絶対に無理だと思うよ。だってお父様も絶対に手出ししないし、しても無理な設計だからね」


笑いが止まりませんね。いくら甘ちゃんの私でもあの部屋だけは手加減してないのに査察などと…ふふ。


「解除です‼すぐさま解除してください‼我が国の兵士を騎士達を傷つける御積もりですか?姫様はそんな事をする方じゃないですよね?」


「確かにしたくは無い。でもお父様に忠告はしたし私は国の命令全部に従う人形でも無い。だから私の価値観で危険と判断した物と失敗作をあそこに封印してるだけ、だから全てはあの部屋に侵入する人の自己責任。大丈夫、死ぬ事は無いから。心が折れると思うけどね。後ここから解除は出来ないし出来てもしない」


常時発動の魔法の発動はテトのくれた知識に有ったけど遠隔魔法は無かった。私は遠隔魔法がまだこの世界に存在しないのだと思ってるが多分そこまで難しくは無いだろう科学の発展した世界の知識を持つ私は遠隔発動型の魔法も大体想像が出来るのです。


「……」


「あの部屋の中身は私が必要と判断するまでは例え神様の命令でも使わせない」


第一あれらは危険なのです。この世界の常識を元に作ったのではなく私の知識を元に原始的ではありますが作り上げた物であの状態だとこの世界一の頭脳を持つ人に見せても首を捻るだけで分からないでしょうね。魔法と科学の壁はそれほどに厚いのだ。


「私はひ…コホン。お嬢様の考えが理解出来ません。お嬢様は私達に隠してる事が多すぎます。それは私達が信用に値しないのですか?貴女様は一体何を考えてるのですか?この馬車だって即席で作れる物ではありません。幾人もの研究者が何年もの時間をかけて、自分の生涯をかけて作るのにお嬢様はまるで現物を知ってるかの如く作り上げる。私達はそれが怖いです。お嬢様はそれが何を意味するか理解出来てますか?そしてその先に何を見てるのですか?」


アリシアさんは真剣な顔で私に問いかける。会ってから一番の真剣さで。


「これは別に信頼の問題じゃ無いし言っても分からないからね、話す気は無い」


アリシアさんや両親を疑った事は無い。あの人達は私を大事に思ってくれてるし私も大好きだ。でもこれとそれが別で、私の事を話して心労をかけたくない。

 アリシアさんも私が話すとは思ってなかったようで直ぐに立ち直った。まあ問い詰めただけで話すなら隠さないですしね。


「そうですか、分かりました」


理解してくれて何よりです。


「ところでこの馬車はどうする御積もりですか?絶対に悪目立ちしますよ」


確かに目立つが良い訳は思いついてる。


「お父様…国王陛下に献上する物の試し乗りと言う事にする。今までに無い物だから試し乗りでここまで送ってもらった事にすれば大丈夫。何で私が乗ってるかは私が作ったからと正直に言えば不自然は無いと思うけど…」


信じて貰えるかがネックですね。私幼女ですし。


「…目立ちますが、それならまあ多少の不自然で済みますね。お嬢様に邪な考えを持って近づく輩は我等が排除するとして…って間接的にあっちに着いても似た事を続けると言ってるのですか?」


何を今更。私は何処に居ても自分を変える気は無い。


「当然今まで通り」


再びワナワナと震えだしたアリシアさんは黒いオーラを出しながら私に近づいて来る。そして既に赤くなり始めた私のほっぺを…


「自重しましょうね♪こんな生活を続けてると私倒れちゃいますよ?それに長期休暇になったら覚えててくださいね。お嬢様の問題行動は全部包み隠さずに報告しますから王妃様にまたお尻でも叩かれてくださいね♪」


「いだだだだだだだ‼いはい、hづえrrkvjs」


また私のほっぺをひっぱりだした‼伸びる伸びてアホ顔になっちゃうから止めて。痛いから私泣いてるでしょ?反省してないけどもう止めて。


「反省してませんよねぇ?絶対してませんよね?辞めて欲しかったら今後こんな事をしないと誓ってください」


「おほほわり(お断り)」


縛られたなかで最大限に動きながら逃げようとしますがアリシアさんの手が私のほっぺから離れる事は無かった。あと自重する気は無い。


「ふふふ…強情なのはへ…ご当主様の遺伝ですかね~ほらのび~るのび~る」


「ふああさあcvんvrvd」






結局アリシアさんは私を止める事は出来なかった。ふふ、私を止めれるのはお母様だけ。そしてお母様とは暫く会う事は無いのだ。ほっぺを引っ張っても私が言う事を聞く筈が無いのだ…アリシアさんめこの屈辱は絶対に忘れない。いくら私が姉のように慕ってるとはいえこの傍若無人な態度は目に余る。いずれ報復してやります。


「何やらお嬢様から邪気を感じますね、足りなかったですか?」


「御免なさい御免なさい御免なさい御免なさいもうしません…恐らく」


あ‼…


「ふふ、本音が漏れてますよ?」


ヤバいまた私のほっぺが大ピンチ‼何か、何か現状を打開する手は…あれだ‼


「ア…アリシアさん、何か壁が見えてきたよ、あれが王都オルトア?」


全力で話を逸らそう。それ以外に私のほっぺを守る術が無いのだ!なら話をあの見えてきた城壁らしき物に向けて身を守るべし!


「ふふ、この件については後でしましょうか。あれは確かにオルトアですね中心には王城がありその横にある塔付近が学術区でお嬢様はそこにある学園に通います。まずは王城で国王陛下と謁見する事になるので着き次第ドレスに着替えますからね」


どどどどどどドレス‼


「パス、めんどくさい」


「貴族の務めです。他国の貴族が留学してきた場合、王城でまずは挨拶するのが礼儀ですよ。嫌なら国に帰りますか?王妃様が待ってますよ?」


ひぃぃぃぃぃぃぃお母様…確かに今帰ったら何をされるか分からないよ、きっと色々とお説教が待ってるから大人しく従おう。


「分かった」


「礼儀作法はしっかりしてくださいね。お嬢様は割とそつなくこなせるので気が緩まなければ大丈夫でしょうけど」


礼儀作法とかはいちお習ってる私は見た目は幼女、頭脳は恐らく10代くらいか?精々20代だから物覚えは良い方だ。元々の知識と子供特有の吸収力で早々に覚えた。だって覚えないと私の時間が減りますし。


「面倒だから早く終わらせる。ドレスとか落ち着かない」


私の発言にアリシアさんが頭を抱えた。大変だね。


「お嬢様は普段大人しいだけで中身は陛下と王妃さまを足したような感じですね。しかも悪い部分を多大に受け継いで…私は何処で育て方を間違えたのでしょうか…いえまだ間に合う筈、私はお嬢様を立派な淑女に…」


何やら叶わぬ夢を掲げてますね。私の中身はそこまでおしとやかでは無いのですが。


「無理だと思うけど頑張って」


手が動かせればヒラヒラと手を振ってたでしょうね。


「ふふ、まずはお嬢様の頭の中身を変えましょうか?真っ当な淑女では無いので少しせんの…まずは淑女とは何かの講習をしますか」


あれ?洗脳って言わなかった?


「無駄だと思うけどね」


「慣れてますので、お嬢様は天井のシミでも考えててください。直ぐに終わりますから」


まあどうせ諦めるだろうから放置しましょう。そころで…


「そろそろ外して」


「着くまではこのままです」


ですよね~~

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