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149 王女流ダンジョン侵攻②

ちょっと短いかな? 1話をどのくらいの文字数にすればいいのか書いてると分からなくなります。

 3000くらいかなって思う時もあれば、いや5000くらいだろって思う自分も居ます。

 その日ダンジョンは混乱の極みにあった。生物型のダンジョンには明確な意志が存在する。そして明確な目的があった。それは己の強化だ。己を強く、そして大きくする事しか望んでいなかった。

 必要なのは時間と食べ物だ。食べる物は人間である。それ以外にダンジョンは食べる事が出来ない。

 ダンジョンは生まれて数十年は異空間に存在する。そして、ある程度成長すると入口を作る。最初は食べる必要は無いのだ。しかし、それ以上成長するには人間を食べる必要があるからだ。

 そしてダンジョンは入口と言う口を開いた。後は人間が入ってくるのを待つだけだ。人間が欲しがる物をダンジョン内に精製し、各所にボスを配置して、自分のコアのある最奥に入れない様にする。

 後は魔物を生み出せば人間は自分の体内に入ってくるだろう。そう考えていた。

 しかし訪れたのは最悪の相手だった。ダンジョンを攻略しようとする人間の事は生まれた時点で知識として知っている。しかし、ダンジョンは自分を直接攻撃する輩の存在は知らなかったのだ。

 ダンジョンはコアが無ければ存在できないが、ダンジョン自体も本体である。まさか通路を攻撃するとは思っていなかったのだ。

 ダンジョンの内部はいわば体内だ。攻撃されればダンジョンとて苦しむ。排除する為に分散していた魔物を向かわせるも返り討ちに会う。ダンジョンは決意する。

「帰ってもらおう」と。人間の事はある程度知っている。欲しいのは金や宝石に珍しい物だ。それを与えて出て行って貰わねば、ダンジョンに甚大な被害が出る。己を大きく成長させる目的が達成できない。

 ダンジョンは己の魔力でかの者が望みそうな物を生み出した。



 アリスティア視点


 1時間程攻撃してると地面から宝箱が出てきた。自分でも何を言ってるのか分からない。普通にミョキって生えてきたし。まるでゲームのようだ。

 通路は魔物の悲鳴と銃の発砲音。それと、ゴーレムが混ざって来たので手りゅう弾の爆発音。後はゴーレムタンクが榴弾を討ちまくってる程度だ。私達の周りには音量を下げる結界を張っているので、そこまで五月蠅く無い。


「迂闊に開けないでくださいね。最初は罠が仕掛けてあることが多いので」


「じゃあゴーレムに開けて貰おう【ゴーレム・クリエイト】」


 余ってる土塊でゴーレムを作ると宝箱を開ける。すると触手が伸びてきてゴーレムを砕く。私は即座に銃で触手を撃ち抜く。アリシアさんもククリ刀の様な剣で触手を切り裂く。この触手も高く売れるらしい。怪しげな触手は7本全部を破壊すると動かなくなった。もう一度新しいゴーレムを近づけても反応は無い。触手と中身を分けて本を取り出すと、こっちに持って来た。


「魔導書でしょうか? 普通は金のインゴットとか宝石なのですが」


 最初にアリシアさんが確認を取る。髑髏の様な装飾のある魔道書だ。ページを開いてもトラップは無い。

 私は受け取ると解析を始める。言語は古代言語でネクロミコンと書かれている……つまり死霊魔法の魔導書だ。禁術じゃん!


「死者を甦らせる魔法だね。まあ、本人は無理っぽい。残存思念的な物に器をあげて一時的に使役する魔法だね。

 魂は一定時間で天に昇るから、それの残骸を纏める事で使役するみたい」


 まあ、死者蘇生は魂が無くなれば不可能な魔法だからね。


「使い道次第では最悪の魔法ですね」


 例えば古戦場で使えば死者の軍勢を作る事も可能だ。趣味が悪い魔法である。だけど、既に使われていない術式等を多く使った魔法だ。私は宝物庫内の分身に【読み終わった】本を渡す。


「解析お願い」


「了解」


 取りあえず大人しく土地代を払わなかったので、攻撃を再開する。

 危ないので私は宝物庫内からそれを見てる。これでゴーレムが全滅しても私に被害は出ない。


「それで姫様は何を書いてるのですか? 」


「えっと、向こうの技術書と魔法の教育方針に対する論文? 」


 私自身は暇なので、向こうの建築・科学技術書を翻訳してるのと、魔法使いの教育方法間違ってない? と言う論文を書いてる。最も紙とペンが宙を舞ってるようにしか見えないけど、これが私の仕事の仕方だ。視界を分割し、思考も分割する事でマルチタスクを行う。欠点は疲れる程度だ。

 建築関連の書物はロレンスさんに渡す……と言うか本は全部副王商会に送る事で、研究を行わせるだけだ。魔法の教育の事については、魔法を学ばせる前に術式を学ぶべきと言う物だ。

 術式は魔法の基礎であり、公式でもある。公式を学ばずに数式を解けと言ってるのが現在の魔法習得方法で、それより先に術式を学ぶことで、詳細に魔法を理解出来るし、術式改良でも役にたつと言う物だ。

 私は完成した論文を技術開発局に送る。直ぐに携帯が鳴り響く。


「なに? 」


「直ぐにこれを魔法師団等に送ってもよろしいでしょうか! 」


 私が転移で送れる場所は視界内とマーカーがあるところだが、技術開発局にもマーカーを置いてある。気軽に何か教えてと言う事で彼等が設置した物だ。直ぐに返事が来るとは思ってなかった。


「ずっと待ってたの? 」


「私のデスクの隣に設置してたのですよ。それに24時間体制で『必ず』誰かが居ます。直ぐにでも姫様の素晴らしい魔法を学べるようにと! それよりこれは素晴らしい。まだ全部を読んでいませんが確かに術式を学ぶ事は重要です! 」


「別に良いけどいつも通り信用できる人に限定してね」


 信頼出来れば誰に広めても良い。と言うか技術開発局の魔法研究はやり方を変えたのだ。

 今まで魔法使いは自身の研究を滅多に表に出さない。教えるのは弟子や血縁者だけだ。これが原因で魔法技術は衰退した。一族も弟子も戦争で死ぬ事があるからだ。更に一人での研究はかなり非効率的だ。同じ研究をする人間と情報交換をさせて、お互いに情報公開させるのが一番だと言ったら彼等は素直にそうしてくれた。

 彼等も内心ではそう思っていたようだ。しかし、自分の研究を盗まれる可能性もあるとか色々な事情で行えなかった。きっかけが無かったのだ。

 それが私の一言で解決した。彼等曰く「姫様のご命令ならば皆聞きます」との事。


「無論です。これで魔力を持ちながらも魔法を使えなかった魔法使いも魔法を習得できる可能性が出てきました。これが広まれば、我が国は更に多くの魔法使いを獲得出来ます! 」


 取りあえず未熟な魔法使いを抱えてる魔法師団に情報と人を送り人体じっけ――観察するようだ。結果次第では魔法教育に取り入れるらしい。早いな仕事人。

 物凄く忙しい人達だから慌てる様に通話を切られた。彼等は用事が無ければ研究所から出ない。家にも帰らない徹底ぶりだ。そう研究所で暮らしてるのだ。何か最近研究が面白すぎて家に帰ってる暇も無いらしい。

 取りあえず地球の技術書の翻訳を続けると、再び宝箱が出て来た。ゴーレムに確認させるが、今度はトラップは無いようだ。中身は大量の金銀財宝。


「足りないからもっと吐き出させよう」


「鬼ですね」


 取りあえず物凄い重いので、収納袋の入れる。出来たばかりのダンジョンなら後5回は宝箱を吐き出して、その後に力尽きて入口を閉じるだろう。後は数年から数十年は入口を出さない。

 その後も迫りくる魔物を排除しながら土地代を払わせる。暫くすると魔物の集まりが悪くなり、宝箱も大きく、中身が豪華になっていく。本当に出て行って欲しいのだろう。

 そして壁が崩れる頃にはダンジョンは抵抗しなくなった。周囲の魔物も完全に居なくなる。どうやらこれで終わりのようだ。私は壊されたゴーレムと、魔物の残骸を回収する。これ以上ダンジョンに居ると異空間に閉じ込められるのだ。最もダンジョンも私毎異空間に逃げ込むのは断固拒否のようで、近くに外への別の入り口が出来ていた。さっさと出ていけ! と言う事だろう。


「これじゃ、公共事業の足しにもならない。残りのダンジョンからも請求する」


 アーランドが必要としてるお金は莫大な額だ。私一人で稼ぐのは難しい。土地代請求だけでは間に合わないだろう。しかし、数年間供給すれば税収が良くなる筈だ。それなら王国も負担するだろう。副王商会連合は失業率を下げる為に、スラム民等の殆ど収入の無い人達を雇う方針だからね。

 彼等は仕事と家を手に入れる。代わりに王国に税金を払う。お互いに利益は出てる。それに副王商会連合のトップは私だ。心情的にも税金を払う事になるだろう。明日の命も分からない生活から助けるのだから、これくらいはして貰う。


「姫様、マフラーを付けてくださいね。風邪をひきますよ」


 ダンジョンから出ると雪が降っていた。本格的に冬が始まる。本来なら部屋に籠る季節だ。私は寒さに弱い。しかし、火の精霊と風の精霊の力で私の周囲は暖かい。気分的に雪が苦手なだけだ。

 クート君は雪は平気なのだろう。気にしてない。ヘリオスは元々炎龍で、熱の化身でもある。この程度の寒さでは影響はない。

 私はシャドウ・ウルフを影から出すと、アリシアさんとヘリオスを背中に乗せる。雪の中の行軍は速度が落ちるからだ。

 そして次の獲物へ向けて、進軍を開始した。

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