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143 仲間を増やしたら提案しよう

次から別章に入ります。春までの話になります。

「ダンジョンを攻撃するとお金を出すのですか? 」


 とある貴族が首を傾げる。


「ダンジョンも生き物だから死にたくないんだよ。それにダンジョン内部はダンジョンの体内だからね。壁とか床とか攻撃すると怒るの。それを続けると、宝物上げるから出て行ってなる訳。それが土地代請求だよ」


「あの時は死ぬかと思いました。スタンピードを狭いダンジョン内で受けるような物です。永遠と魔物の襲撃を受けます」


 これを知ったのはお父様の自慢話だ。お父様は昔大陸中で大暴れしてた冒険者だったから色々な経験をしてる。その一つとして聞いた話だ。他にも絶滅したと言われる妖精族は未だに生きてるとか色々と話を聞いた。


「危険ですぞ! 」


「私ならば問題ない。軍を率いるから」


「王国兵を連れて行く御積もりですか? いくら同盟国でも手続きなどで時間が掛かりますぞ」


「ゴーレム兵がそろそろ完成するんだよね。それの試験運用も兼ねて行ってくるよ。ほら前の平原で使った奴」


 アルバート団長は知っているから「あれか」と頷いた。銃を主兵装としたソルジャーゴーレムと突撃粉砕を元に作った重装突撃型が大分出来てる。


「通路の両サイドを土で塞いで、天井近くの隙間から押し寄せて来る魔物を迎撃する。その間に突撃型のパイルバンカーでダンジョンを攻撃してお宝を吐き出させる。

 オストランドも前のスタンピードで混乱が続いてるからね。利益の一部を流せば文句は言わないと思うよ。ついでに魔物の残党も殲滅するから」


 私はスタンピードを撃退しただけだ。溢れた魔物の被害はまだ終わって無いオストランドでは冒険者等を集めて戦ってる。


「魔物の殲滅ならアーランドでも行えますが……」


「姫様を戦場に出すと国民がキレそうですね」


 最近国民も過保護気味だから謎の冒険者ホロウで言って来る。アーランド内で活動すると感の良い人が気づきそうだし。

 さあ私も冒険者としてかっこよく冒険してくるぞ!

 と言う訳で大人数で騎士に連れ戻されて執務室に居るお父様の元に行く。お父様は椅子に縛り付けられて文句を言いながら仕事をしていた。因みにお兄様は仕事だから会合には参加していない。だってオストランドに行くの反対するし。実際集まった貴族も半分以上が反対してる。まあスルーしたけどね。


「と言う訳で予算を頂戴」


「本当に落ち着きが無いな。次は国内開発か。折角作った予算案がパーになったじゃないか。それにお前の資産を献上してみろ。他国がどう思う? 普通にアリスティアを酷使してる酷い国だろう」


「問題ない。王都に料理人学校を作ってくれればいいよ。そうだね王国の食文化を向上させるとか適当な理由をつけて」


「本音は? 」


「パティシエの育成。新しいお菓子を作る人を増やしたい。大丈夫、市場は広げるから無駄にはならない。お菓子が無ければ作れる国にしてしまえば良いと思う」


 オヤツタイムを導入する為に美味しいお菓子は必須だ。

 そう言うとお父様は頭を抱えた。お兄様も苦笑いだ。


「まあアリスティアの金だ。王国の財布には負担にならないだろ。良いぞ好きにしろ」


「じゃあ私は追加予算の為にオストランドのダンジョンから土地代を請求してくるね」


「え゛! 」


 その後暫くお父様が泣いた。それはもう盛大に。抱き付いたりして鬱陶しいので、副王商会に逃げた。集まった副王商会連合のメンバーに成果報告する為だ。


「近日中に王都拡張が始まる事が決定した。副王商会連合はこれを利用して多くの人材を雇用して欲しい。具体的には数千人くらい」


「それほどの規模の拡張なのですか? 」


「ムフフ。かつてない規模の公共事業を獲得した。しかも私予算だから副王商会は優先交渉権も獲得してる。皆の活躍を期待するよ」


「「「おお! 」」


 私のお金だから優遇してくれるそうだ。最も国の事業だから不正をすれば容赦も無いけどね。私もそこら辺は慈悲は無いと全員に告げる。

 悪いけど副王商会は特権階級にはさせないよ。その為に私がトップに居るんだからね。

 副王商会連合は王国の経済力と技術の向上。そして雇用の増加を目的に作った組織だ。儲けたければ己の才覚を発揮するしかない。まあポンポコさんが上手く纏めるだろう。私は商会もポンポコさんに殆ど任せて、大まかな方針しか告げる気は無い。後は知らん。私に商才は無いのだ。


「私は暫く忙しいからポンポコさんが会長代理で皆を纏めてね」


「かしこまりました」


 その後、王国から正式に王都再開発が発表され、副王商会連合は多くの仕事を獲得した。ポンポコさんは私の方針通りにスラム民や貧困層の雇用を重点的に行う。

 工場の建設も始まった。大規模な工場を作って大量に物を生産するシステムはポンポコさんが構築した。更に重機の方も順調に解析が進み、少数だが生産も始まった。

 ポンポコさんは重機の有効性を速攻で見出して大量生産を指示している。値段がネックだけど「10万台も生産すれば価格は安くなるでしょう。これは国中どころか同盟国にも売れますよ」と予定よりも生産工場の計画を拡大し、部品関連にも大量の投資を行う。

 市井には優秀な技術者も多い。生まれや育ちで恵まれない人達も副王商会連合の資金力を求めて集まってくる。

 技術レベルが上がれば私の魔道具作りも楽になる。必要な部品を自分で作る必要が無くなるからだ。最も今はまだ無理だけどね。

 私は追加の魔導レンジを生産し、副王商会連合にも飛空船を供給する事をお父様に要求した。中型飛空船は貴族と王族しか所有できないので、所有者は私と言う事で許可が出る。

 ただ、飛空船の需要は大きいが、同盟国も買い過ぎると財政が悪化すると、購入ペースを落とすらしい。今後は王国内の貴族を中心に供給する為、生産速度を落とす。作り過ぎたのだ。余った人員を武装飛空船と大型飛空船に回すが、こっちは生産が難しいので、生産速度はかなり落ちた。分身の半分も魔導炉の安定化に専念してる為だ。エイボンは研究所に籠って出て来ない。あの変態はあのまま地下に研究と言う名の封印をするべきだ。外に出るとセクハラするし。

 師匠は補給施設跡を改修した実験部隊の兵器整備の教官として派遣した。私の作った物を一番理解出来てるからだ。

 アーランド王国実験部隊と言う名目で陸空の実験部隊を創設し、銃を含む陸上兵器の運用部隊と単発戦闘機と重爆撃機の運用部隊を作ったが、私は軍事は作る専門だからパッシュ隊長改め、正式にパッシュ大将に就任した彼の副官とアルバート団長が選んだ人を2トップ態勢で運用する事にした。

 パッシュ大将は正式に王国貴族の男爵位を授爵した。貴族じゃないと五月蠅い人も居るからね。将来的には伯爵になるだろう。

 実験部隊は今までと全く違う運営だから混乱も起きてるけど、有効性を理解出来る柔軟な人を送ったようで、直ぐに馴染み今も訓練を続けて居る。将来的には兵士団は全て銃を装備するだろう。騎士団は精鋭化を促進し、銃すら闘気で跳ね返す超人部隊にするとお父様が言ってた。この世界は銃は最強の座を取れないからね。お父様は普通に跳ね返すし、魔法使いでも結界やシールドは跳ね返せる。


「さて、私はお金でも稼いでくるかな」


 大分時間が掛かったが、私も冒険者として活動しよう。

 空軍設営と技術開発局の運営も大分安定し、私が居なくても大部分では問題ない。方針をあらかじめ伝えるだけで大丈夫になった。書類仕事は宰相さんに任せたら嬉しそうにしてたしね。あの人には仕事を与えるのが一番だ。私も楽が出来る。


「姫様止めましょうよ。冒険者って危ないんですよ。危険がいっぱいなんです。それに女性に人気の仕事でもありませんし」


「戦闘経験は重要だよ。それに稼げる人はとことん稼ぐのが冒険者。まずはオストランドの王様と会談を行い、ダンジョンから土地代を請求する許可を貰おう。

 向こうも困ってるから儲けの2割でも流せば納得するでしょう」


「普通は3割から4割取られるのですが……生物型のダンジョンは国家の資産ですからね。まあ、向こうは管理しきれていないので大丈夫ですが、やっぱり危険です」


 アリシアさんは土地代請求に物凄いトラウマを持っている。まあお父様の冒険に付き合った人だけど、基本的に斥候役だし、当時は私と大差ない子供で戦いの時は逃げ回っていたようだ。怖かったのだろう。

 私は大丈夫だ。2回も魔物の大群と対峙したから慣れた。


 この日を境に王国は発展を開始する。後の時代に、この一連の開発事業は私の名前を取り、アリスティア・パレードと呼ばれる好景気の始まりだった。

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