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転生王女の国家大改造 ~無敵な国を作りましょう~  作者: 窮鼠
石油だ!蛮族だ!メリケンだ!
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121 引き渡しとお芋を頂戴

 お父様も最近老け込んだ気がする。もう50歳近いし。

 何やら呆けてるお父様を放置して、お兄様に開発状況や新規開発した農業用の魔道具等を紹介すると、お兄様もデータが欲しいと言い出した。結果次第では国中に広める方針に持っていくと凄い気迫だった。やっぱり国が発展するのは良い事だ。皆豊かなら私がお菓子大好きでも無駄使いとは言わなくなるだろう。

 住宅も大分完成したので、既に王都に移動してるマーサさんの領民や元スラム民を迎えに行く事にした。細かいところは私が居なくても問題ないから、私が手伝うのはここまでだ。一応森とかも残ってるから開発か、残して魔物を狩る区画にするか自由に選べる。

 私が手伝うのは農業特化させる所までだ。実際工業を発展させるのも経済を発展させるのも彼等のレベルじゃ不可能だろう。元の技術も経験も無い。あるのは慣れた農業だ。ならばそこを伸ばせば良い。

 と言う訳でマーサさんの所に来たのだが……


「何で未だに毛皮服なの。お金稼いでたんだよね?」


 役300人程居る領民の半分程度は男性なのだが、成人男性は前と変わらずに毛皮で作った簡易的な服だった。

 女性や子供は平民にしてはかなり上質な服を着ているのだが。


「いや、俺達も変わったぜ」


「何処が?」


 何も変わっていないようにしか見えない。


「見ろオリハルコンのメリケンを作ったぜ。女房と子供の服を買ったら金が無くなったぜ」


「鍛冶屋が泣きながら作ってくれたぜ」


 金色のメリケンを天高く掲げる村人達。それは変わったと言えるのだろうか?

 それに、鍛冶師も泣くだろう。オリハルコンは伝説級の素材では無いが、高級な希少金属だ。地球で言うと金と同じような価値がある。何が悲しくて純オリハルコンのメリケンを作らなくてはいけないのだろうか。オリハルコンは鍛冶師でも上位の人しか扱えないのに。

 しかも相変わらず防具無しだし。


「すみません。自由に使うように言ったらこんな事に」


「まあ本人が良いなら別に良いけど」


 早速使い込んでるみたいだし。しかもトゲ付のメリケンだ。十分ゴツイ。

 女の子達はかなり可愛い人とか美人ばかりなんだよな。美女と野獣の村なんだよな。


「次は……」


 少し離れた所で固まってるスラムの人達。どうやら予想通り、馴染めていないようだ。不安そうな表情を浮かべている。


「あのぅ…俺達本当に家と畑を貰えるんですか?」


「そう伝えた筈だけど」


 もしかして話が伝わって無い?あの人がそんな凡ミスするとは思えないけど。


「おかしいだろ。普通畑付きの家をタダでもらえる訳がねえ! 俺達に何かさせるつもりなんだろ」


 成程。どうやらスラムでは王国への信頼は欠片も無いと言うのは本当なのか。まあ、普通は無いね。保護されてるとは言えないし。

 でも、それは私が関わらなかったらの話だ。


「別におかしくは無い。貴方達は納税を行っていない。納税出来る生活を営めないからでしょ?じゃあ仕事も家もあげるから今後は納税してって話だけ。別に嫌なら断っても罰は無い。それに今後の納税も法外な額は取らないよ?

 普通に働いて普通の額を納税すれば良いだけ。貴方達に不利益は無い」


 納税出来ないなら納税出来る生活をおくらせればいいだけの話だ。極めて単純である。


「で、でもそんな話は…」


「聞いた事が無い?それは私が担当じゃないからでしょう。王国の運営にはお金が必要。でも国民の生活を苦しめると不満が溜まるから、安易な増税は害悪でしかない。なら、働けない人も働けるようにするだけ。

 私はそうするし、それで困る人も居ない。貴方達だって何時までもスラムで燻ってる生活に我慢出来る?今後はどうするの。この先、自分の子供にも同じ生活を強要するの?

 自分で決めて。私は意思まで強制はしない」


 別に信用しないなら、されなくても構わない。スラムで暮らす生活も王国がきちんと経済を動かせていない証拠だ。

 経済が豊かならば、ここまでスラムは大きくならないだろう。必ず救済策を作る筈だ。だって税金払えない国民は負担でしかないもん。貧困で不満が溜まって反政府的活動を起こされる方が遥かに厄介だ。普通は放置出来ない。特に外敵が居る状態では悪手だ。つけこまれる。

 今後の目標は経済だね。まあ、そこはお兄様達の領分だし、私は全ての人間を救えるほど万能では無い。精々手が届く範囲だ。それでもやらないよりはマシだろう。

 王族と言う地位と、私個人の資産なら相応の国民を助けれる。帝国を排除すれば更に助けれる。将来的にスラムを無くすために動かなくてはならないだろう。


「俺は従う。こんな生活はもう御免だ! こんな良い話に変な疑惑を持つより、信じてみよう」


「そうだわ、子供にあんな場所で暮らさせたくないのよ。この話に乗るべきだわ」


「…でも」


「少なくとも姫様は悪い事はしないって聞いたわよ。折角私達の為にしてくれた事を疑うのは失礼でしょう。悪い話じゃないし、断る自由もくれている。私達が選ぶべきです」


 う~ん。話は通したのだろうが、彼等に選択させる方針を取ったか。彼が言っても従うだろうが軋轢が生まれるかもしれない。だから自分で考えて決めさせる。自己責任に持って行ったんだろう。

 元々話し合いは行っていたようで、直ぐに結論は出た。ついて行くと。

 彼等と、村人を集めて【大規模転移】を行う。既にマーカーを向こう設置してるので可能だ。私の転移は視界内と設置したマーカーにしか跳べない。つまりは自室とオストランドの寮と石油のある旧村。後は新準男爵領だ。


「今ある家は全部が完成してないから一部は集会所で寝泊まりする事になるけど、直ぐに完成するから」


「……スゲェ」


 まずは元スラム民の第二村(仮称)だ。マーサさん達は自分達の村に走って行ってしまった。第二村を見て我慢出来なかったのだろう。それほど離れていないけど、私に言えば転移で送るのに。


「まずは家。これが明かりのスイッチでお風呂もトイレも付いてる。全部魔道具だから。

 それと水も水道が通ってるから井戸は無い」


 スラムの人達が家を見て回る。


「凄い! 王都の家より広いし、こんなに魔道具が使われてるなんて貴族のお屋敷みたいだ」


「子供も自分の部屋があるのか贅沢だな」


「これなら普通に暮らせそう」


 暫く家を見回ると、一部……と言うか男の人が畑を見たいと言い出した。男の人達は家よりも生活基盤の畑が気になるらしい。

 畑は各家の近くにある。なので、家自体は密集していない。


「ここからあっちまでがこの家の畑。基本的に同じ規模」


「こんなに広いのか。でも維持出来るだろうか…」


「広すぎて維持出来る自信が無い」


 まあ人力じゃ厳しいだろうね。でも問題ない。


「農業も多くの魔道具を使うから麦の苗を作る方が大変だと思うよ。田植えとか収穫は魔道具で出来る。雑草はゴーレムを一家に一つ支給されるから問題ない。

 魔道具の魔力は決められた場所で補充出来るから問題も無いよ」


 農業用の機材は完成してる。どうせそろそろ冬だから来年から使う事になるだろう。米と麦の二毛作を行う方針らしい。暗渠排水工事も行ってるので可能だ。

 王国から農業のプロを招いて今年は座学に徹して、春になってから田植えを行うのだとか。アーランドの冬は長くは無いけど厳しいからね。

 今年の冬は過ごしやすそうだ。私はお城から出たくない。暖房器具を山ほどお城に付けたから過ごしやすいよ。コタツを作ってアイスを食べながら生活するんだ……アイスが存在しないんだった。


 取りあえずこっちは大丈夫そう。第二村も集会所があるし、毛布や食料も飛空船で順次送られて来る。既に最低限あるから大丈夫そうだ。

 次に第一村(仮称)に移動する。村人達はまばらで、どの家に住むか等を話し合ってる。


「こっちは不満とか無い?」


「感謝しかありませんよ。どの家も広いし納屋まで着いてて。

 ただ、私の屋敷の地下の設備ですが……」


「ああ、あれは魔導炉だから触らないでね」


「え゛」


「普通に考えて2つの村の魔力を魔晶石や唯の魔玉で補える訳が無いじゃん。2つの村だけで王都より魔力使ってるんだから」


 そうこの村は魔導炉を使っているのだ。武装飛空船用の魔導炉を転用して村で必要な魔力を作っている。余る魔力は巨大魔晶石に補充してるので、定期的に回収に来ることになる。一応搬出用の出入り口も付いてる。尚、魔導炉の設置に関する法律は存在しないので発覚しても誰も何も言えない。今後法整備しても既に設置してる分は問題ない。法は過去の物まで制限出来ないのだ。

 問題は無い。3号型は爆散しないから……2号型とそれ以前は考慮しない者とする。


「こ、これは一体どういう事だ!」


「何故行き成り村が出来ている」


 マーサさんと話してると2台の馬車が領主館の敷地に入って来て、中から2人の中年男性が出てきた。馬車に紋章があるので貴族である。但し、私は何処の貴族かは知らない。貴族の知り合いは少ないのだ。

 2人はマーサさんの所につめ寄る。服装的にマーサさんは十分貴族で通じるからだ。私?素材以外は平民と違いないよ。マントとか邪魔だし。私の生活の9割はこう言う服装だ。なので初対面の貴族は私が王族だと気が付かない。つまりは面倒事が無いのだ。


「貴方が責任者ですか?私達は近隣の領主で、オーリー・トッドです」


「私も同じく。名前はローレン・シュルツです」


「これは、私はここの領主に就任したマーサ・バレルです。爵位は準男爵です」


 話を近くで聞いてるけど、相手は悪い貴族じゃなさそう。まあ、悪い貴族に領地は任せないからハズレは少ないって聞いてるしね。悪さすると容赦なくお父様が領地没収するし。御爺様は少し甘かったらしいので、全部が良い貴族では無いけど。悪さする貴族は狡賢いから隠蔽とかするし。


「おお、そうでしたか。我々は余り領地が広く無いので近くの貴族とは交友を広めているのです。今もその集会の帰りです。どうですか?今後はこういう場にも参加すると親交が広まりますぞ。

 私の領地ではリンゴが特産で、リンゴのワインも作っています」


 ほほう。


「私は異界より伝わったサツマイモを栽培しています……最も鳴かず飛ばずなんですが…何が悪いのか。

 王都にでも売れれば楽になるのですが」


「聞き捨てならない」


 サツマイモが存在するだと!焼き芋は美味しかったぞ。拓斗と庭の落ち葉を集めて焼いた事がある。あれは良かった。


「御子さんですか?」


「ちちち違います。アリスティア王女です! 」


「「え゛、申し訳ありませんでした!」」


 行き成り跪く2人。普通はこういう物なのかな?王都では平民でもサムズアップするような感じだから馴染みが無い。


「別に跪かないでも良いけど。それとサツマイモは是非とも王都に輸出して貰いたい」


「えっと…あの、ローカス商会に断られたのですが……」


 ローカス商会?聞いた事が無い商会だ。


「姫様、あそこは悪名の方が高いですから」


 さらりとアリシアさんが助言をくれた。陰で色々悪さをしてる商会らしい。兎に角お金に汚いのだとか。


「じゃあ私が紹介状を出すからバンバン輸出して。それとあるなら今すぐに買う。焼き芋作ってアリシアさん」


「はは~ツマミに持ってますので直ぐにご用意致します」


 【ファクトリー】で鉄の箱を作って石を入れる。火の精霊に頼んで石を熱すると、そのままサツマイモを入れて蓋を閉める。どうやら焼き芋は無かったようで、珍しそうな顔で見られた。料理の具材に使ってたらしい。普通焼き芋作るでしょ!


「こんなシンプルな作り方なのに…うぅ、私に商才が有れば直ぐに気が付くのに」


「これは甘さが良いですね。子供のオヤツにも丁度良い。作るのも手間が掛からない。絶対に売れるぞ。私もリンゴで何か出来れば…」


「そっちはタルトの材料とかジュースの需要があるでしょ。リンゴジュースは美味しいよ。紹介状を出すから販路を広めれば十分利益は出せると思う」


 リンゴの方も品種改良を進めてるらしく、良い甘さだ。これも売れると思う。と言うか売れないと許さない。


「その紹介状が貰えないのです。我々の様な弱小貴族は何処も似たような感じです。王都の市場は魅力的なのですが……」


 つまり市場が閉鎖的と言う事か。これは早急にお兄様に伝えないとね。何かあるのかもしれない。

 ムムム、これは他の領地にも美味しいけど売れない特産品が眠ってるな。発掘して王都に流させなければ。

 良し、今度ポンポコさんの所に行こう。まずはスラムの確認だけど。


「それと、バレル準男爵の後見者は私だから苛めないでね? 」


「ももも勿論です。我々は協力してより良い領地を作ろうと言う集まりですので」


「そうです。いじめなんてありませんよ。所でマーサ殿の領地では何をお作りになるのですか?」


「米と麦です」


「良いですな。これほどの大きさの畑ならば十分な収穫もありそうですし、基礎的な農業ですが、立地的な問題とかで麦や米が足りない領地もあります。我々の作る物とそこまで被らないので、他の領主等も紹介しましょう」


「そうですな。麦や米は食の基本。無くてはならない物です。我々は食べる分しか作っていませんからな」


 どうやら仲良くやれそう。私はサツマイモを定期的にお城に納品する約束を取ると大泣きで喜ばれた。王族のお気に入りは影響力があるらしい。

 リンゴは増えてきた喫茶店で需要も高いだろう。私のお菓子好きは徐々に広まっているのだ。

 後はちょこちょこ歩いてる分身達に2人が驚いたり、説明が面倒なので、「私は時々増える良いね?」で押し通した。2人とも「あ、はい」って納得してくれたので問題ない。

 後2週間で住居も全て完成するだろう。後は分身に任せるだけ。マーサさんの貴族教育も2人が教えてくれるらしい。ちゃっかり特産品の輸出も契約してたけど。

 さて、もう私(本体)は必要ないね。お城に帰りましょう。アリシアさんや、陰でコソコソ私を守ってる親衛隊と暗部の目を掻い潜ってスラムの現状を確認しなければ。

 大げさに挨拶する2人と普通?に挨拶するマーサさんを残して私達は王都に戻った。

 親衛隊も居るので、飛空船だ。


「!!! 」


 1日経って王都に着くと、私の体に電撃が走った。いや、宇宙世紀のパイロットがなるピキーンって奴だ。私の鍛え抜かれた第六感が告げている。新しいお菓子が銀月で発売されたと。


「クート君突撃」


「心得た」


「ひ、姫様! 待ってください。何を受信したのですか! 」


 私はクート君に飛び乗ると銀月に向かって走り出した。クート君がだけど。

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