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転生王女の国家大改造 ~無敵な国を作りましょう~  作者: 窮鼠
大魔導士エイボンと過去
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87 大魔導士エイボン

データが消えたので遅れました。

 いや~初めてですが、大分凹みますね。しかも次の日の朝には更新出来る状態だったので凄い落ち込みました。

 最下層。そこは神殿の様だった。白く綺麗な大理石のような物で作られた神殿風の建造物があり、そこには何故か魔導炉が置かれていた。私の作った初期モデルと同タイプの物だ。まあ初期タイプは歴史を勉強すれば見た目から機能を想像出来るから、最初は皆作ろうとするだろう。最も発展性の無い構造なんだけどね。

 アノンちゃんもまさか魔導炉が有るとは思ってなかったらしくかなり興奮してる。

 だけど私達はあ~と言う顔だ。だって城の地下に既に設置してるからね。現在高出力魔導炉も製造中だ。特殊な溶液にコアになる魔玉を浸けて加工してる段階だから今はする事無いけど。


「何でアリスは驚かないの‼あれって国が買える代物だよ。魔法使いなら誰だって研究したい物なんでしょ!」


「別にあれには発展性がないもん。それに流石にアレは持ち帰れないよ。オストランド側が権利を主張するだろうし」


「まあ世紀の発見ですからね~別に欲しいと思いませんけど」


「そう言えば貴重な物だったな。有難味も無いがな」


「嬢ちゃんの眼に止まる程の物じゃねえな。持って帰れるなら持って帰るが、確かにオストランドが渡さんだろ」


 流石にアレを手放せるわけが無いだろう。世界3大発明の一つだ。見つかり次第国の研究所に送られ解析しようとするだろう。王様もこればっかりは部下の人を抑えれないはずだ。絶対に貴族と魔法使いが大騒ぎする。まあこのダンジョンの動力源だろうね。多分どっかにゴーレムの修理工房があってそれとかを動かしてるのだろう。


「え?い、いや、だって魔導炉だよ?発展性とか分かんないけど凄い物なんでしょ?」


「凄い物だね。まさか現存してるとは思わなかったよ。まあ私は横の祭壇に置かれたあの魔道書が欲しいんだけど・・・・・・結界が張ってあるね。後はその後ろで隠れてるスケルトンモドキがラスボスかな?見た目に惑わされないでね多分エイボン本人だから」


「何‼」


 すると祭壇の後ろに隠れてたつもりのスケルトンが出て来た。黒を基調とし、金と銀の刺繍が入ったローブを纏い、黄金の杖を持つスケルトンだ。だが、普通のスケルトンと違い動きに滑らかさがある。


「ホッホッホ気が付いてましたか。確かにワタシがエイボンです。まさか同じ大魔導士と会うとは思っても無かったですね」


「私は魔術師だけどね」


「何と‼それほどの魔力を制御出来る貴女が魔術師だと?ワタシが地下に籠っている間にそれほど世界は進歩したのですか‼」


「いやアリスの場合は幼いのが理由なのだが」


「そうだったの?」


 飛空船作ったから、その功績で魔導士か大魔導士‼と思ってたのに何も無いのは単に年齢不足だったとは。グヌヌ・・・これでは大魔導士になってお母様の懲罰から逃れる私の崇高な計画が・・・やはり空に神殿を建て、私の実力を示すしかないのか。


「およ?貴女は見た目通りの年齢なのですかな?」


「うん」


「成程。しかし愚かな事だね。年齢や性別に生まれ等、魔導の前には等しく無意味なものなのに。

 貴女は悔しく無いのですか?それほどの魔力・・・いやそれだけじゃ無いですね。その精霊を従える眼を持ちながら魔術師で居る事を強いられて」


「私は大魔導士になりたい‼そうなればお母様のお仕置きを逃れられる‼」


 私は胸を張って宣言した。元よりそれ以外に大魔導士になる理由が無い。


「そんな理由で大魔導士を目指すなんて前代未聞ですよ…もっとマシな理由を考えてください」


「まあアリスにとっての脅威は母上とマダムだけだからね」


「いい加減認めてやれば良いんだがな。どうせ普通の王女なんて嬢ちゃんには無理だろ」


「ぷ、あははははははは」


 アノンちゃんがお腹を抱えて大爆笑した。酷い‼


「ごめんごめん。だってそんな理由ってあははは。確かにアリスには重要だね」


「……世の大魔導士の怒りを買いかねん大胆不敵な目的だね。まあ今の状態にそこまで文句は無さそうだ。それでここに如何様な理由を持って来たのですかな?生憎とお茶は出せませんよ?既に朽ち果てましたからね」


「その魔道書を閲覧に来た。偉大な先達」


 開いたまま置かれた魔道書。横の魔導炉はどうでも良い。

 するとエイボンは驚いたようにのけ反った。


「ほほう。私の魔導炉が欲しく無いのですかな?先ほどから興味の欠片も持ってないようですが」


「それは研究するだけ無駄。既に完成した理論で出来てる。ある意味古代人の罠だね。作っても発展性の欠片も無い。やっぱり作るなら自分で一から研究しないとね」


 するとエイボンは拍手するように手を叩いた。どうやらあっちを盗ろうとすると実力とかを認めなかったのだろう。それに私の見解も正しいと言う事だ。


「ホッホッホ確かにこれは発展性の欠片も無い駄作です。これを生み出すために私は100年程掛かりましたが、研究の無駄でしたね。何度憤慨した事か。まさかそれを僅か10歳程の少女に見抜かれるとは・・・・・・・・・貴女も作りましたね?」


「ええ‼アリス作っちゃったの‼」


「勿論。良い暇潰しになった。今は新しい魔導炉を開発してる。丁度いい貴方も貰っていく」


「ホッホッホまさか・・・まさか我が100年をこうも冒涜されるとは。ここまでされると貴女を賞賛する気持ちしか浮かびませぬな。確かに貴女なら我が望みを叶える事も出来るでしょう。しかし‼試練を受けて貰いましょう。私の召喚した魔物を倒せれば魔導炉でも魔導書でもワタシでも好きに差し上げます。

 来たれ煉獄の使者。地獄の番人デーモンロード」


 すると私達とエイボンの前に巨大な魔法陣が出現し、そこから羊の頭に蝙蝠の翼を持った巨人―――デーモンロードが現れた。


「不味いぞ。デーモンロードはSランクの災害指定の悪魔だ。生半可な魔法は効かねえ。嬢ちゃんの天敵だ」


「下がって。これは私の試練。それにデーモンロードなら寧ろ私が天敵だから」


 皆驚愕した顔をしてこっちを見た。確かに文献を見れば生半可な魔法も通じず、高い物理耐性を誇る化け物だ。真っ向から戦えばお父様級の英雄が居ないと平気で国を亡ぼす。まさかエイボンが悪魔を使役してるとは思わなかった。しかし魔道書を得る試練なら私がクリアするのが道理だ。

 お兄様達には参戦する気のエイボンを倒して貰う。


「……死ぬ気では無いな。仕方ない我々はエイボンを倒すか。グランツ卿私にもアレをくれ。さっさと始末しよう」


「だな。正直アレを使えば楽勝だな」


「この身は朽ちたがワタシも大魔導士である事を忘れてるようだね。それにデーモンロードを単体の魔法使いが倒すのは至難の業ですよ?精霊魔法は確かに脅威・・・特に光の精霊は天敵ですが、彼女の精霊はそこまで高位では無い。殺しはしませんが、彼女の未来に暗い影が差す事になりますけど」


「アリスはそこまで甘くないよ」


 そうして戦いが始まった。先に始めたのは師匠たちだ。ゴーレムタンクが全武装をフルバーストするが、エイボンは余裕で結界を張り防ぐ、しかしお兄様と師匠が撃ち込んだロケランで結界を破壊される。驚愕するように口を開くが、そこにゴーレムタンクの射撃が当たり吹き飛ばされる。師匠たちも無言で装填しては発射を繰り返した。


「え、っちょ‼何ですかそれは‼止め‼」


「大人しくしやがれ‼」


「さっさと降伏する事をおススメするよ。粉々になる前にね」


 どうやらあちらはこちらの戦力を軽視し過ぎている。お兄様達のロケランは確かに脅威だろうけど、まだわんこーずが部屋の外で待機してるのだ。物量で押し潰せるだろう。スケルトンになったせいで身体能力は私並に落ち込んでるだろうし。

 さて、私は目の前のデーモンロードを処理しよう。でもその前に色々魔法を教えて貰わないとね。悪魔魔法何て知る機会は無いだろうし。


「グゲゲ。愚カナ少女ヨ絶望シタカ?我ノ新タナ依代ニシテヤロウ。

 デレ・ウスタル・マナス・ゲリア【黒炎】」


「術式解凍【ディスペル】」


 私に迫りくる黒い焔は、その術式を解体され、消え去った。


「面白い魔法だね。デレ・ウスタル・マナス・ゲリア【黒炎】」


「グゲ?オマエ悪魔カ?何故悪魔魔法ヲ使エル」


 デーモンロードは慌てて手に持っていた鎖と分銅の着いた大剣を振り【黒炎】を真っ二つにする。威力は中々だけど悪魔魔法は同じ悪魔には効果が薄いね。まあ光の精霊魔装を展開すれば私の敵じゃ無い。確かに私と契約してる光の精霊は戦闘自体が得意じゃないし、デーモンロードに対抗するには戦闘特化の光の精霊―しかも上位の精霊が必要だろう。でも精霊魔装で強化された光の精霊魔法なら魔力に任せて力づくで消滅させられる。明らかに私が有利なんだよね。


「貴方が教えてくれたじゃん」


「グゲゲ、面白イ。ソノ魂ヲ絶望デ満タシテヤロウ。

 パル・ソリエ・クルク・デリ・オルトラ・ビジング【黒雷】」


「だから無駄だって分からないの?術式解凍【ディスペル】」


 一度使ったら再度詠唱が必要だけど下手な悪魔魔法より詠唱の早い【ディスペル】はデーモンロードが悪魔魔法を完成させる前に詠唱が終わる。千日手だよ。まあ【ディスペル】は魔力効率の悪い魔法だけど。

 その後も何度かデーモンロードが悪魔魔法を使い、私が無効化して同じ悪魔魔法を使うを繰り返した。デーモンロードは明らかに苛立っている。悪魔に取って魔法戦で押し切れない事がプライドを傷つけたのだろう。鎖のついた分銅を行き成り投げて来た。これは避けきれないと判断し、【クイック・ドロー】で疾風野太刀と言うギザギザの1.5m程の刀を出すと、私は両手で持ち、神速で振り下ろす。


「っつ~~~‼」


 鎖と分銅をノコギリの様な刃で切り落とすと同時に右腕に鈍い音がして動かなくなった。疾風野太刀は高速戦に特化し、私の作った武器の中でも結構な性能を誇るが、やはり使いこなせない。少しは私の肉体も強くなったのでは?と言う思いはここで捨てた。どうやら身体能力の成長は期待でき無いようだ。私は直ぐに【ハイ・ヒール】で腕を治すとクート君を呼ぶ。


「来てクート君」


「心得た」


 やはり私の相棒はクート君だ。私はクート君の背中に乗り、自分の足りない身体能力を補う。振り落とされないように魔法で固定する事も忘れない。


「ギャハハハ。脆イ。相変ワラズ人間ハ脆イナ」


 悪魔は嗤う。自分の勝利を確信してるのだ。しかし私は自分の身を犠牲にする自爆特攻の使い手だよ?腕の一本位なら直ぐに治せる。身体能力が足りない故に使いこなせない武装も一度は使える。回復した以上はもう一度だって繰り返せる事を理解出来て無いようだ。

 私は今度はリボルバーを出す。今度は物理的な強度テストだ。これは効くかな?


「くらえ」


「GYAAAAAA。

 ハハハ素晴ラシキ諦メノ悪サダ。賞賛スルゾ。サア絶望シロ。我ヲ受ケ入レロ」


「気持ち悪いからこれは要らないね」


「我もアレと共に主に従うのは抵抗がある。下品過ぎるぞ。我のような気品が足りんな。まあトカゲモドキにも言える事でもあるのだが・・・」


 リボルバーはそこそこの効果はあるけど、硬すぎて打撃武器になってる。精々のけ反った程度か。全弾額に撃ち込んだんだけどな。じゃあ次は対物ライフルだね。人じゃないからそこまで心も痛めないし、何やら私の体を狙ってるから罪悪感も余り感じない。私の更なる強さの糧にしてやる。


「まだまだ武器はあるよ。私は歩く武器庫だからね」


 まずは一発。悪魔は再び先ほどの嘲笑いを捨て、大剣で防ぐ。しかし対物ライフルから放たれた弾丸は剣を弾く。悪魔には命中しなかったが、腕だけで防げる威力では無いようだ。私は転移の応用で大きい弾丸を直ぐに装填し、次を放つ。

 悪魔は避けようとしたのだろうが、弾丸は右肩を貫通する。黒い瘴気のような物が溢れ出した。しかし数秒で元に戻る。再生能力持ちでしたか。素晴らしい。

 私はクート君に指示を出し、駆けさせる。そして【ファントムシャドウ】を発動して影を出すと宝物庫から次々武器を出して撃ち込ませる。直ぐに悪魔は弾幕に邪魔され動けなくなった。


「さて私の作った兵器はどれほどの威力があるのかな?」


 影が持ってるのは機関銃にアサルトライフル・ガトリングガン・自走式の大砲・師匠の持ってる奴とは違うロケットランチャーに拳銃各種だ。悪魔は大剣を突き刺しその陰に隠れ、強化魔法で防御力を上げて耐え切るようだ。しきりに楽しそうに嘲笑う。自分を傷つける事は出来ても殺し切る事は出来ないと理解出来てるのだろう。私に遊ばれてる事には気が付かなかった。

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