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85 王女流ダンジョン攻略3

薄暗いダンジョンを数人の男女が進む。比率は獣人を元とした混血の女性1人に普人少女6人少年1人ドワーフの老人が一人のやや多いパーティーだが、彼等が戦う事は少ない。

 このダンジョンは人工物で魔物は出ない。出てくるのはゴーレムくらいだが、王女のペット(使い魔)が間引きをしながら先行してる為、30分に一回くらいしか接敵しない。初日はアリスティアとグランツの作った兵器でゴーレムを蹂躙し、罠を資源として回収していたが、今日は一味違った。

 彼等の前には無限軌道を備えたタンク型ゴーレムが進み、その武装で近づいてくるゴーレムを破壊してるのだ。もはやアリスティアの独壇場である。他のメンバーは精々資源と認識されたゴーレムの破片や、罠の類を根こそぎ回収してるだけだ。

 もしこの場を冒険者が見たら憤慨するだろう。この世界には収納袋と言う物を多く入れられ、重さが変わらない便利な魔道具が有るのだが、それを持てるのは上位の冒険者か、かなりやり手の商人位だ。故に持てる荷物には限界がある。だがアリスティアの宝物庫はこのダンジョンを全て放り込んでも余裕がありまくりなのだ。故に見つけた物は全て持ち帰る事が出来る。但し現在宝物庫はギルバートに権利を一時譲渡されて、アリスティアは浮きながら毛布に包まって寝ている。アリスティアの胴体には紐が巻かれ、クートの尻尾に縛られている。これで運ぶ事が出来るのだ。但しアリスティアにはヘルメットのような物が装着されているのだが。


「あれで大丈夫か?」


「殆ど外の音が聞こえないそうです」


「間違っても敵を近づけるなよ。あの飛んでるのは凶悪だからな」


 アリスティアの手にはコードが巻かれ、その先に黄色のヒヨコがピヨピヨ鳴きながら飛んでいる。ヒヨコは本来飛べないが、これはヒヨコを模した魔道具だ。

 かつてアリスティアが夜な夜な続く襲撃にキレて作った最初の魔道具だ。名前はピヨリスト。自爆特攻を得意とする過剰迎撃用の魔道具である。しかも自爆はするが、本体は壊れない。自爆に消費した魔力はコードを通して補充される狂気の魔道具である。しかしこれの恐ろしさはそれだけでは無かった。


「何でそんなに青ざめてるの?アリス普通に寝てるだけだよね?」


 アノンの疑問は最もだろう。普通なら自動で敵を迎撃してくれる便利道具だ。しかも使い減りしない。


「そうか、君は知らなかったな。どうせいずれ知るだろうから言っておく。

 アリスは寝起きが悪い。それも父上を凌駕する実力を出すほどにな。英雄と名高い父上でも抵抗できずに窓から捨てられたり壁に埋め込まれる程だ。これの危険性はそれを誘発する事だ。しかも高確率でな」


「姫様は聖女とか言われてますが、他にも2つ名を持ってるんです。それは『眠れる暴虐姫』です。基本的にお優しい方ですが、怒らせてはいけません。姫様も英雄の子供なのです。アレが動いてた時は間者の無残な姿をよく見ました。しかも姫様は基本的に何も覚えていません。アーランドでは寝てる姫様を無理やり起こす事は禁忌に該当します」


 普段は運動が全然出来ないのに、寝起きは恐ろしいのだ。アリシアは思う事がある。それは代理人など不要と言う事だ。ハッキリ言って代理人より恐ろしいのだ。


「アリス・・・・・・」


 アノンは遠い目をした。友達の暗黒面を知ってしまったのだ。しかしアノンも陰でオストランド一の麒麟児にして問題児と言われている事を知ってるので追求はしなかった。彼女はその小さな胸に友達の暗黒面の事を仕舞うのだった。

 彼等は進む。決して背後の眠れる猛獣を見る事は無い。王女らしく優雅さと可愛らしさが混ざった寝顔をしている筈(防音ヘルメットで口しか見えない)だが、彼等には猛獣や魔神が寝てるとしか見えなかった。寧ろそれで尚ドラコニアは毎朝突撃してるのだが・・・





「うあ?」


「起きましたか?」


「おはよぅ・・・今何時?」


 目が覚め、ヘルメットを取ると何故かほっとした顔のアリシアさん達が居た。メイドーズは・・・食事の用意をしてるね。アノンちゃんとお兄様は窓の外で素振りしてる。どうやら宝物庫の中にある小屋のようだ。


「そろそろ11時ですね。少し早目に昼食にしようと宝物庫に入りました」


 成程。ピヨリストは暫く要らないね。機能を停止させて聖骸布で封印して小屋の棚に置く。これで誤作動を起こす事も無い。後は未だにクート君の尻尾に紐をつけたままだったので、それも解く。クート君もいい加減邪魔だったのか嬉しそうに尻尾を振っている。ごめんねと、背中を撫でるとそのまま目を閉じて寝てしまった。まあ私に危害が及ばないように集中してたのだろう。


「師匠は?」


「弾薬が尽きたとかで生産してます。どうやら弾薬のストック不足だとかでゴーレムタンクの背中に予備のマガジンとかをセット出来るようにするらしいですよ・・・・・・行っちゃ駄目ですよ?今日は大人しくしましょうね。これじゃ休暇にもなりませんよ」


「むう」


「唸っても駄目です。姫様には自制心が足りません。少しは昔を思い出してください。教育中は借りてきた猫のように大人しかったのに…」


 アリシアさんの小言が始まったので結局師匠の手伝いには行けなかった。



「やっぱりサイズが悪いんだな。10M級の巨大ゴーレムを作れば弾薬も相応に詰めるだろ」


「モグモグ。それだとダンジョンに入れない。それに予算が獲得できればアレで十分。大きいと爆撃の良い的」


「だがよ、爆撃機何てこの世界で作れるのはお前だけだろ。つまり数十年は有っても良いんじゃないか?」


「予算は有限。それよりも巨大船を作って【保存】を掛けとけば十分」


 食事を取りながら師匠とゴーレムタンクの改造案を話し合う。師匠はやっぱり宇宙にコロニーとかが乱立する世界の兵器を目指してる気がする。地上で運用しても爆撃されて終わるし。用途が無い。生産性を考えるとこれで十分なんだよね。補給用のゴーレムとか作れば良いだけだし、壊れてもそこまで懐を痛めない。


「アリスさ~食事中に無駄話は良くないよ。一応王女なんだからさ」


「家では家族団らんの食事が好まれる。静かな食事は寂しくなるからお父様が嫌がる」


 家は出来る限り家族皆揃って食事を取る。忙しくても家族だから何時も一緒がお父様の信条らしい。だからか、今日有った事や面白かった事を話しながら食べる。最も作法とかは守らないといけないけどね。だから食べてても姿勢を崩すとか食事を落とすとかは厳禁だ。お兄様も普通に会話に参加するしね。


「やっぱり私は生まれる国を間違った気がするね。アーランドなら問題児とか目の敵にされる事は無い気がする」


「少なくとも髪を切るのは許されないよ。ある意味貴族のステータスだからね。私も邪魔だから切りたい毎朝邪魔で嫌になる」


「アリスはロングが似合ってるから良いじゃん。私なんて野生児だとか言われ放題だったよ」


 それは絶対に手入れを怠っただけだと思う。リンスとか無い世界だしね。私は専用の魔道具を使ってるけどかなり高いんだよね。魔道具でも趣向品は高額だ。自分で作ったけど。


「姫様は隙あらば髪を切ろうと画策してますからね。本当に庇えないので辞めてくださいね。こればっかりは無理です。副王家として独立しても王家の庇護下に有りますから王妃様からは逃げれませんよ」


 まあ成人前に家を継ぐ方法は後見を受けるしかないからね。私の場合は家族が後見者だ。当然私も公に逆らえない。それはある意味反逆を意味するからね。めんどくさい方法を取られた物だ。本当に名目上の独立だよ。


 さて私が寝てる間に6層まで進んだらしい。このダンジョンは資料の記述が確かなら20層目が最下層だ。これも偶々当時の資料にそれらしい記述があるだけなので本当かは分からないらしいが、技術的にそれ以上は難しいとの事。色々詰め込んだのと、予算の形跡からこれくらいが妥当らしい。

 食事も終え、わんこーずも再びダッシュで門から出て行った。さあ次の層に行こう。

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