表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

せいぎのみかた

作者: 風白狼
掲載日:2014/01/20

 むかしむかし、あるところに(いぬ)がいました。(いぬ)(やま)(ちか)くの小屋(こや)()んでいました。()(ぬし)(いぬ)(くさり)(しば)っていなかったので、(いぬ)自由(じゆう)にでかけることができました。(いぬ)はひまになると(ちか)くの(やま)におでかけしました。



 ある(あき)のことです。(やま)()()黄色(きいろ)(あか)()わっていて、(みち)にたくさん()ちていました。犬はおもしろがって()()をふみながら(ある)いていきました。

 しばらくいくと、ネズミにであいました。それはお(かあ)さんネズミで、5ひきの()どもネズミをつれていました。なんだかおろおろしていたので、犬は気になって近づいていきました。

「どうしたの?」と、犬が(きき)きました。

(じつ)はネコに()んでいた(いえ)(こわ)されてしまって、(ふゆ)(あたた)かくすごす(いえ)がないのです」と、お(かあ)さんネズミが()いました。

「それはたいへんだ。ぼくがあたたかいおうちを紹介(しょうかい)してあげるよ」

 (いぬ)はそう()って、ネズミの家族(かぞく)をほらあなにつれていきました。そこにふかふかの(くさ)をしきつめて、(あたた)かくすごせるようにしてやりました。お(かあ)さんネズミは(よろこ)んで、そのほらあなに(はい)りました。(いぬ)は、これはいいことをしたなあと(おも)いました。



 (つぎ)()(いぬ)はまた(やま)にでかけました。(ある)いている途中(とちゅう)(いぬ)はなにかがぶるぶるふるえているのを()つけました。それは(たね)でした。

「どうしたの?」と(いぬ)()きました。

(かぜ)がさむくてふるえているの。おねがい、あたたかい(つち)(なか)にうめてちょうだい」と(たね)がこたえました。

「ようし、わかった」

 (いぬ)()われたとおり、地面(じめん)(あな)をほって(たね)をその(なか)()れました。そして(さむ)いといけないからと、たくさん(つち)のおふとんをかけてやりました。(たね)のすがたは()えなくなりましたが、(いぬ)はまたいいことをしたと満足(まんぞく)して(かえ)っていきました。



 また(つぎ)()(いぬ)はウサギにであいました。ウサギはみちばたに(すわ)りこんでいました。

「どうしたの?」と(いぬ)が聞きました。

「おなかがぺこぺこで(ある)きたくないの」とウサギが(こた)えました。

「それはたいへんだ。ぼくがなにか()べるものを()ってきてあげるよ」

 そう()って、(いぬ)はもと()(みち)(もど)りました。小屋(こや)まで(かえ)ってくると、(いぬ)自分(じぶん)がいつも()べているお(にく)(すこ)()してきました。それを()って、(いぬ)はウサギのいるところへ(はし)りました。

「さあ、これをお()べ」と、(いぬ)はもってきたお(にく)をウサギの(まえ)()きました。そしてまたいいことをしたと(おも)って(かえ)ってしまいました。

 でも、ウサギは(にく)なんて()べません。ウサギはがっかりして、おなかがすいたままどこかへ()ってしまいました。



 そして、(ふゆ)がやってきました。(いぬ)小屋(こや)(なか)にいました。

 (いぬ)がほらあなに案内(あんない)したネズミの家族(かぞく)は、ほらあなのなかくさなかねむっていました。でも、そのほらあなはネズミがむにはおおきすぎたのです。(ぐち)(おお)きいので、(つめ)たい(かぜ)がどんどん(はい)ってきます。どもネズミはおかあさんネズミにくっついてぶるぶるふるえていました。

 すると突然(とつぜん)、ほらあなにネコがはいってきました。ちょうどいいおうちがあるとおもったのでしょう。ネコはくさうえにどっかりとねころがりました。くさなかにいたネズミたちはびっくりぎょうてん。あわててほらあなのそとににげていきました。


 ふゆがおわって、はるがやってきました。あたたかくなったので、つちなかにいたたねたちはそうとしました。ところが、いぬがうめたたねはなかなかそとてきませんでした。なぜなら、(たね)るよりもずっとふかくにうまっていたからです。たねはがんばってがんばって、つちそとようとしました。でも、ふかふかくうまっていて、とうとうちからつきてしまいました。



 はるがやってきたので、(いぬ)はまたやまにでかけていきました。いつものようにあるいていくのですが、なにかおかしいとおもはじめました。どうしてだろうとしばらくかんがえて、今日きょうはまだだれともあいさつをしていないと気付きづきました。


 いぬあるきました。ネズミをつけました。

「こんにちは」といぬいました。

 ネズミはいぬましたが、あいさつせずにさっさとどこかへってしまいました。

 今度こんどはウサギをつけました。

「こんにちは」といぬいました。

 ウサギもいぬましたが、なにもわずにさっさとはしっていってしまいました。

 ネズミやウサギだけではありません。やま動物どうぶつたちみんながいぬ無視むししました。だれもがいぬてどこかへってしまいます。(やま)の木々たちでさえ、こそこそと悪口(わるぐち)()っているようでした。


 いぬはきゅうにひとりぼっちになってしまいました。いままでたのしくおはなししていた仲間なかまたちはみな、いぬをさけていきます。いぬかなしくなって、すわりこんできました。



 すると、1ぴきの(おお)きな動物(どうぶつ)あるいてきました。黄色きいろ毛並けなみにくろいしまもようのある動物(どうぶつ)です。いぬはその動物どうぶつたことがありませんでした。

「きみはだれ?」と、いぬきました。

「わたしはとらだ」と、その動物どうぶつこたえました。

「トラさん、こんにちは」といぬがいいました。

「ああ、こんにちは」ととらこたえました。

 ようやくあいさつがかえってきたので、いぬはとてもうれしくなりました。とらはごほん、と咳払せきばらいをしました。

じつは、わたしはここにたばかりなんだ。このやまにウサギはいるかね?」ととらきました。

「いるよ」といぬいました。

「どこにいるのかね」ととらきました。

くさがいっぱいあるところだよ」といぬいました。

「そうか、ありがとう」ととらいました。

「トラさんはウサギさんのおともだちなの?」といぬきました。

「ああ、もちろんだ」ととらこたえました。

 いぬはますますうれしくなりました。おともだちをつれてきてあげれば、きっとウサギさんたちも自分じぶん仲直なかなおりしてくれるはずだとおもいました。

「ぼくが案内あんないしてあげる」

 いぬって、とら案内あんないしようとしました。とらよろんだので、いぬはいいことをしたとおもいました。

きみはいいだね。あとでおれいをしよう」ととらいました。

「なにをくれるの?」といぬきました。

「とってもいいものだよ」ととらこたえました。

 いいものがなにか、いぬにはわかりませんでした。でも、なにをくれるのだろうとわくわくしながら、ウサギのんでいるところまであるいていきました。


 ウサギのすみかがちかづくと、とらはありがとうとってってしまいました。いぬはいいことをしたとおもってかえりました。




 つぎのことです。またいぬやまへでかけました。(みち)はがらんとしており、あるいていてもだれともであいませんでした。木々(きぎ)もどこかひっそりしていて、不気味ぶきみです。いぬはこれはおかしいとおもいました。だれかいないものかと、いっしょうけんめいはしりました。


 しばらくすると、いぬおおきなほらあなをつけました。そのぐちには黄色きいろくろのしまもようがえました。

「トラさん、みんながどこいったのからない?」といぬきました。

「みんなって?」ととらかえしました。

やまのみんなだよ。ウサギやネズミや小鳥ことりたちさ」といぬいました。

「ああ、そういうことか。安心あんしんしてくれ。ちょっとパーティー(・・・・・)んだだけだから」ととらいました。

「パーティー!?」

 いぬうれしくなって、しっぽをぶんぶんとりました。とらはほらあなの(なか)いぬ案内あんないします。


 そこはひどくがらんとしていました。あなのはじっこに、やま仲間なかまたちが窮屈きゅうくつそうにいやられていました。かざりつけられているとおもっていたいぬはひどくおどろきました。美味おいしそうな料理りょうりはありません。みんなもとてもたのしそうにはえませんでした。

「これがパーティーなの?」といぬきました。

「もちろんだ。いまごちそうを用意よういしよう。昨日きのうのおれいねてな」ととらこたえました。

 べるものなんてなにもなさそうのに、どうするんだろうといぬおもいました。とらすみあるいていきました。そして1わのウサギのみみをむんずとつかみました。いぬがおどろいていると、とらつくえうえにウサギをせました。

「さあ、遠慮えんりょせずにべろ」ととらいました。

「まさか、このウサギをべるの?」といぬきました。

「それ以外いがいなんだとうんだ」ととらこたえました。

「トラさんはウサギさんのおともだちじゃなかったの!?」といぬおこりました。

「ああ、そうだったな。ウサギはわたしのともだちだ。お腹(ここ)のな」ととらこたえました。

「ぼくをだましていたの?」といぬきました。

「そうおこるな。ほら、美味うまいウサギのにくがここにあるぞ。これからはおまえもここでぜいたくできる」ととらいました。

「ぼくは、トラさんがウサギさんのおともだちだとおもったから! みんなでパーティーができるとおもったからたのに!」

 いぬおこって、とらにかみつきました。とらおどろきましたが、すぐにはらいました。

「ウサギやネズミがともだちなわけがないだろう? こいつらはわたしたちのえさだ」ととらいます。

「ちがう!」といぬさけびました。

 そしてまた虎にかみつきます。

なにをする! はなせ!」ととらさけびました。

「いやだ! ぼくがおまえをここにつれてきてしまったんだ。だから、ぼくがおまえやまそとまでつれていってやる!」といぬいました。


 いぬはひたすらとらにかみつきました。とらはあばれました。それでもいぬはなしません。なんどもなんどもかみつきました。とらはとうとうあきらめて、いちもくさんにげていきました。



 いぬやま仲間なかまたちをはなしてやりました。ウサギやネズミや小鳥ことりたちがあつまって、はないがはじまりました。いぬをほめるべきか、いぬばつあたえるべきかめるためです。そのために、いぬはなしくことになりました。いぬはすべて正直しょうじきはなしました。とらわれてウサギのすみかに案内あんないしたことも全部ぜんぶです。

 やがてはないはわりました。

いま、あなたへすべきことがまりました」と小鳥ことりの1わがいました。

「あなたはとら退治たいじしました。それはめられるべきすばらしいことです。でも、そのとられたのはあなたです。これはばつけるべきことです」

 われて、いぬはしゅんとあたまげました。小鳥ことりはえへんと咳払せきばらいしました。

(ばつ)として、一週間いしゅうかん半分はんぶんやまるのを禁止きんしします」

 いぬはおどろいてかおげました。もっとおもばつがくるとおもっていたからです。やまける半分はんぶんになってしまうのはかなしいですが、絶対ぜったいるなとわれるよりはかるいものでした。



 こうしていぬ一週間いっしゅうかん半分はんぶんだけやまあそびにきました。そこでいぬはもとどおり仲良なかよくウサギやネズミたちとあそんだのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ