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アルフィーリアオンライン

 MMORPG「アルフィーリアオンライン」。

 人間、エルフ、ドワーフといった基本的な三つの種族に分かれ、大きな大陸を三つにくぎり東側にメルフェリア王国、北にアラリオン連合、西にバルアギス帝国と分断されている。

 さらにアップデートで 和月(わげつ)という東洋風の島国が大陸の右下付近に追加され四勢力となった。

 ナイトやウィザード、プリースト、アーチャー、盗賊、モンクなどのテンプレ的な職業のほかに侍や忍者、陰陽師や巫女など日本的な要素もある。

 どこにでもある普通のRPGであったが、日本的な要素のおかげもあってか海外のプレイヤーも増え、そこそこの繁盛を見せていた。


 サービス開始から五年目近くなるこのゲームに初期の頃から参加している男がいた。その男の名前は上山裕輔。一日の半分以上をこのゲームに使う廃人いや廃神ともいえるほどのプレイヤーである。

 彼はアルフィーリアオンラインですでにカンストレベルである150に到達しており、リュドヴィックというキャラ名を使い、職業はナイトの上級職であるパラディンを選んでいた。

 ナイトの上級職には他に攻撃特化のバーサーカー、敵をひきつけヘイトをとり盾の役目をするジェネラルなどがある。

 パラディンはサポートに優れ、ボス戦では必須な存在であり、どこからも引っ張りだこであった。



 ――だが彼がPTに誘われることはほとんど無い。その理由はサポートのパラディンでアタッカーをしていたからだ。普通のプレイに飽きた彼は新たに追加された技能を駆使し、攻撃、盾、サポートすべてをこなそうと決意したのだ。

 一見彼自身無謀にも思えたが彼の長年の経験からと限界まで高められた装備によってそれを可能とすることができた。

 だがこんな無茶をするのは彼一人しかいなく、世間からはあまりにも認知度が低く、どこのPTからもはぶられソロプレイヤーを余儀なくされている。


 引退していくフレンドやPTに誘われにくい事から心が折れそうになるものの、ギルドでの狩りやたまに入れるPTでの狩りを楽しみ、それなりに充実したプレイを送っていた。

 異端児の彼だがひとたびPTを組めば、火力職に引けを取らない攻撃力を誇り、盾職と同レベルの硬さを持ち、パラディンのサポートスキルを使いこなし初めて組むプレイヤーを驚かせ、一部の人からはオールラウンダー(自称)、ユーティリティプレイヤー(自称)として知られていた。一見万能そうには聞こえるが特化した部分が無いため悪く言えば器用貧乏である。


 夜八時頃といったとこだろうか。今日も彼は電気のついた自室でモニターを食い入るように見ながらマウスを片手に操作をする。

 ギルドの仲間やフレンドはそれぞれPTで狩りをしており、彼は一人ダンジョンの奥でレアアイテムを求めソロプレイをしていた。

 一人では最上級のダンジョンはつらいのでレベル90ぐらいのところで狩りをしている。


 (目当ての物は出なかったが、装備が壊れそうだし帰るか……)


 彼はステータス画面を開き、自身の装備を見てそう考える。装備には耐久度があり減少しても修理をすれば直るが、無理して使い続け0になると消滅してしまうのだ。

 襲いかかってくるアクティブモンスターの間を走り抜けダンジョンの外へと脱出する。

 そのまま近くの街へと向かおうとしている途中で戦士の格好をしたプレイヤーが突如襲い掛かってくる。彼がゆっくりとそのプレイヤーにカーソルを合わせるとレベル100と表記されていた。


 (また、ユニーク狙いか……)


 ユニークとはユニークレアと呼ばれるアイテムであり、サーバーにそれぞれ一つしか存在しない物だ。非常に出にくい物でありサーバーにいくつあるのかすら確認されていない。彼もソロプレイ中に偶然手に入れた物であった。

 所持しているプレイヤーの頭上の名前は赤くなり自動的にPKがONへと適用される。街ではPKが禁止なものの、幾度と無く彼はこうして襲撃を受けていた。

 だがレベル100ぐらいではPOTの回復が上回り彼に傷一つつけられず、そのプレイヤーは死亡しどこかの街へと転送される。


 (また来られたら面倒だし、夕飯もまだだったな。一度落ちるか……)


 そう考えながら、設定画面を開き、ログアウトボタンを押そうとする。

 

「うっ! 何だ?……」


 不意に意識が途切れかけ彼は左手で頭を抑える。急激な睡魔が彼を襲い、モニターがはっきりと見えないほどに視界が霞んでいく。

 まぶたが重くなる中、彼は最後の力を振り絞りログアウトをしようとするが、カーソルは届かず彼はそのまま机へと突っ伏して深い眠りにつくのであった――。

誤字脱字ありましたら申し訳ない……。

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