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お店の娘シリーズ~雑貨屋の娘の場合。2


あれから村長さんの家まで送って荷物を置いた後、町案内をした。

美味しいパン屋さんとか公園とかそんなに大きい町じゃないけど回る所は一杯あって、それだけで日が暮れてしまった。

ずっと歩いているからお腹が空いているだろうなと私より随分高いところにある顔を見上げたら微笑まれた。

眩しいけどやっぱり恐い。

そんな考えを吹き飛ばすように晩御飯の事を考えた。

村長の奥さんの料理は美味しいからきっと満足してくれると思う。

私もちょっぴり食べたくなってしまった。

だってお祭りのときぐらいしか食べる機会が無いし、家ではお母さんがご飯を作って待ってくれている。

みんなで一緒に食べるご飯の時間が一番好きかもしれない。

毎日お店の手伝いをしているけど、私にありがとうと言って少しだけ多くよそってくれるお母さんも大きくなれよと言って頭を撫でてくれるお父さんも大好き。

だから、特別な日ぐらいでいいかなと思う。

帰り際にお礼を言われてこれで私の役目も終わりだなぁと思っていたらクラウシュ様がまた明日もよろしくね。というのでどうしようかと焦った。

私はてっきり町案内だけで終わりだと思っていたから明日もと言われてそうですか何て言えないし男の人が喜ぶような場所何て知らない。

同い年の男の子は女の子が行くような場所を嫌がるしどんなところで遊ぶ何て知らない。

私にお世話をすることなんて出来ないというような事を言ったらベ別に何処でもいいよと言われてしまい。

他の友達も一緒にと言ったら折角お供の人達を帰したのに一杯いてどうするのと言われた。

そんな事言われたって困る。

二人っきりなんて自信ないのに。

結局クラウシュ様のお世話は私一人でする事になってしまった。


そして今日は朝早くからクラウシュ様を迎えに村長さんのお家まで来ている。

いつ見ても大きいなぁと思うけどクラウシュ様にとったら小さいんだろうなぁ。

私じゃどんなお家か想像も出来ないけどきっとキラキラしたお家だと思う。


「おはよう。今日もよろしくねぇ」


「はい、おはようございます。クラウシュ様」


深々と頭を下げて挨拶をしたら頭をまたがしっと掴まれて上を向かされた。

何か粗相でもぉぉぉと半泣きの私に手をぐりぐりと動かしながらクラウシュ様は言った。


「クラウで良いって言ったよね? それにお辞儀もしなくていいよ。分かった?」


昨日のデジャブ!!

まったく同じ事が起きてます!!


「クックラウ様!!」


「はい。却下」


何がですかぁぁ!!


「様、いらないよ」


「むっ無理です!!そんな私、様をつけないないで呼ぶなんて、無理です!!」


「ん?」


いったぁぁぁ!!

頭からギリってギリって音がした!!

顔は笑顔なのに手が物凄く怒ってます。

せめて、せめて


「クラウさん?」


これで勘弁してください!!


「ん~まぁいいかぁ。次、様を付けたらぁ」


「つけません!!」


「ん、良い子」


手の力を弱めて私の頭をすくように撫でながら笑ったクラウさんは少しだけ恐く無かった。

心の中だけでも様をつけようかなと思ったけど何でかばれそうだからやめておいた。

しばらくすると手をどけてくれたので今日の目的を話す。

もう少しでお祭りがあるのでそれに使う為の果実酒作りの為に果実を取りに行く事にした。

この期間なら間に合うしこの時期に来たという事はお祭りも楽しむつもりだったんじゃないかと。

本当は一ヶ月は漬けるものなんだけど、今回使う実はお酒に味が染み込みやすいし、熟成しないうちに半分飲んで完全に熟成した時に全部飲むのが昔から決まっている。

色々とお話しがあるみたいなんだけど話が長すぎて覚え切れていない。

何でもお酒の神様が悪い化け物から町を救ったときに使ったお酒が漬けきれていない果実酒でその作り方を忘れないようにするとか何とか。

朝早くに実を取るのもそういう理由で朝以外に取っちゃ駄目らしい。

道すがら話していると興味があるんだか無いんだか分からない反応が返ってきた。

身長が高いから喋るのも一苦労なのにとちょっと拗ねたくなったけどまだまだ伸びるって信じてるから口には出さない。

そうしていると果樹園についた。

此処は町の皆で管理してるから全部取ってしまわなければ誰だって取って良い。

道具は背中にあるリュックに全部入っているからそれを取り出してクラウさんに渡す。


「赤くなったものを取ってください。柔らかいので強く持つと潰れてしまうので優しく持ってくださいね。鋏をいれるときは根本じゃなくて茎の部分を残すようにして下さい」


茎は少し甘酸っぱいので一緒に漬けると美味しくなるからなるだけ多く取った方が美味しい。

そろっと一つ取って見せてみると早速やってみせたけど力が強すぎたのか見事に潰れてしまった。


「柔らかすぎじゃない?」


何て言いながら手をぷらぷらさせているクラウさんの手は潰れてしまった実でぐちゃぐちゃになってしまっている。

いざという時の為にハンカチを持ってきて良かった。


「だから優しくって言ったじゃないですか」


クラウさんの手を拭きながら、ちょっと面白くて笑ってしまったらクラウさんも笑った。

この笑顔もそんなに恐くないな。

どうしてクラウさんは恐くない時と恐い時があるんだろう。

見た目は同じように見えるのになぁ。


それから取り終わった後戻って村長さんのお家でお酒を分けてもらいビンに二人で漬けた。

これで置いておけばお祭りのときに丁度よくなっているはず。

出来上がるのが楽しみだなぁ。

少しクラウさんも楽しみにしているように見えた。






果実酒のくだりは物凄く適当です。

一応一週間で飲めるものもあるみたいですね。

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