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沖縄・台湾侵攻2025 Hard Mode --Continue  作者: しののめ八雲
ACE/血に浸るニライカナイ
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特戦2

中国側は、日本円にして数千万円クラスの高性能ドローンのセンサー、工作員のウェアラブル端末やカメラ、無線、衛星通信を組み合わせ、それらを運用する宮古島に潜入した不正規戦部隊だけで統合された戦場監視網を作り上げていた。

それは、宮古島における事実上の最高指揮官たる李に神の視座を提供していた。そこからもたらされる情報を彼は鼻歌気分で楽しんでいる。


だが、その一角が突然崩れた。


貴重な高性能ドローンからの情報が突然ブラックアウト。

外国人ジャーナリストの集団の抹殺を命じ、その様子をドローンからの赤外線画像で、きっちりと楽しもうとしていたのに、画像がぷっつりと途切れてしまった。

「どうした?」

楽しみを邪魔されて、やや不機嫌そうに部下に問いかける。彼は折り畳み机の端末からドローンを操作していた。

「わかりません」

部下は李の気分を察して、慌ててドローンの状態をチェックするが、反応が全くない。


李のアジトには株のトレーダーが使うような、何面ものモニターが据え付けられ、戦場監視を実現している。

部下はそのうち一つを切り替える。


ジャーナリスト達を抹殺しようと、彼等に接近中の部下の1人が装着しているウェアラブルカメラ。

その赤外線が宮古島駐屯地の方角を向いた時、地上から勢いよく白煙が伸びるのを確認する。

「これは対空ミサイルか?」

「そのようです。通信が途絶したドローンは撃墜されたようです」

「ふむ。敵もさすがに手を打ってくるか?」


事実だった。

宮古島駐屯地は、市民団体に封鎖されたまま、弾道・巡航ミサイルの攻撃をうけたことで、駐屯地から展開することも退避することも叶わないまま大損害を受けている。

炎上・擱座した車両と、戦死・負傷した隊員が続出。さらには、市民団体の死体と負傷者の山が駐屯地前を塞いだことで、警備隊主力はいまだに駐屯地内で身動きが取れない。


この有様を、敵のドローンに悠々と撮影されては、ますます状況が悪化する。

せめて敵にこれ以上、駐屯地の壊滅的な状況をさらしたくない。そうなったら、生き残った戦力をドローンにでも攻撃されて、しらみ潰しにされてしまう。そこで警備隊司令大畑一佐は、壊滅した警備隊本管中隊対空小隊で唯一生き残った、93式近距離地対空誘導弾にドローンの撃墜を命じたのだ。


幸か不幸か、対空小隊は人員の大半を災害派遣に取られたままだった。従って、当初出動できたのは定数の半分。つまり2両。彼等はクラスターで全滅してしまったが、格納庫に残されていた一両が生き残ったのだ。生き残りの隊員達は急いで最後の一両にSAMを装填した。


もとから4両しかなく、いまやたった1両になった93式をドローンごときに使うのは、いささかコストパフォーマンスが悪いように大畑には思えた。

だが、このままでは出し惜しみして敵の目を放置していては、生き残った戦力を簡単に特定されて、攻撃されてしまう。

少しでもこの絶望的状況を優位に持っていくべきだ。大畑は決断した。


大畑の決断は功を奏し、李は宮古駐屯地周辺からしぶしぶドローンを退避させた。戦場監視用の高性能ドローンともなると、数は少ないからだ。

駐屯地周辺の監視用ドローンが全滅するようなことになれば、「上陸部隊」の支援に支障をきたす。

「仕方ない。気に入らないが、性能のいい奴は温存しなければ。監視ドローンはいったん海上や地上に退避。間もなく海上民兵が上陸してくる。そっちに回すドローンを確保しておかないとな」


そう言いつつも、何とかジャーナリスト達が虐殺される有様を見物しようと試みる。なんとか実行犯の部下達が身に着けている、ウェアラブル端末にアクセスしようとするが、いまいち通信が良くない。音声だけで画像は通じない。衛星通信に対応していないのだ。


通信担当の部下は、李の機嫌が悪くなることを恐れ、焦った。

だが、李は相変わらず悪趣味な笑いを浮かべている。


李は立っていることが辛くなり、パイプ椅子に悲鳴を上げさせている未来に話しかけた。

「未来。もうすぐ海上民兵の同志と、我が軍の精鋭がやってくる。この島の住民達は驚き、不安に駆られるだろう。

その不安を取り除き、事態を平和的に進行させる鍵。それは、前から伝えている通り、未来。君だ。大一番だぞ。抜かりなくやってくれよ。出発だ!」

「もちろんよ。任せなさい。私達の琉球人民常和国の偉大な歴史。その始まりだわ!!」

未来は歌うような声で喋ると、いくらかの荷物を持ってアジトを出ていく。

その間、李の部下達は、二人の会話を萎えながら聞いていた。まともな神経の人間には、不快な喋り方なのだ。鳥肌が立つ者さえ居たほどだ。


李は未来を送り出し、その行動の段取りと、海上民兵の上陸支援の段取り、彼等と未来の合流の段取り、同じく正規部隊との段取りの詰めを行う。

指揮官らしく忙しくしていると、宮古島駐屯地周辺での、外国人ジャーナリスト達の抹殺は終わってしまっていた。

現場にジャーナリストの残りのメンバーらしい人間が接近していると、現場の部下達が報告してきた。

画像が来ないなら、李には面倒だった。

「牙2、ジャーナリストか?」

無線で部下が回答してくる。

『天1。そのようです。「PRESS」と書かれたボディアーマーを装着。負傷しているようです。』

「一緒に始末しろ」体を伸ばし、うめき声をあげながら、面倒臭そうに李は命じた。

『牙2、了解』



ところがその直後、通信がさらに悪化し、牙2=宮古島駐屯地周辺に潜伏し、ジャーナリスト達を殺害した偵察任務の工作員達との連絡が途絶えた。

李はよくある通信のトラブルだと思い、通信を担当の部下に継続させた。そのうち復旧できるだろう。


だが。


しばらくして、通信担当の部下の表情が緊張する

「!?」

「どうした?」

「少佐!これを!」

促された李は、レシーバーの受信を、牙2達が使っているチャンネルに切り替える。


流れてきたのは日本語だった。

『聞こえるか?アンタ達のお仲間4人組は、たった今始末した。次はアンタ達かもな』

「誰だ貴様は?」

『しがない日本の公務員さ。ちょいと特殊な仕事をしている、ね。多分ご同業さ。それじゃまたね。アデュー。』

それっきり牙2との通信は完全に切れた。


(牙2が、日本の特殊部隊にでも捕捉されたのか?敵の特殊部隊が来ているなど、こちらは掴んでいなかった。クソっ。)

李は頭からレシーバーを外す。

その表情は見るからに不機嫌だ。振り返って彼の方を見ていた通信担当の部下は、あわてて端末に向き直る。遅かった。

「ドローンを戻せ!牙2の様子を確認して、接触した者の正体をつきとめろ!」

李の罵声と共に、部下に後頭部に李のヘッドセットが投げつけられる。



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