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記録の記憶  作者: Coppélia
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受け取る柘榴

新刊の発売日(2023年6月22日の日記)


最近、書店で買うのは美容三誌ぐらいだが、昨日は定時で上がって買いに行った。


書評の音楽家様の最期の日々


あくまで表化が許可された範囲であるが、この方の思想や、ご本人としては表にしないはずだった独り言などが記されている。


その本は、発売日にも関わらず、ひっそりとあった。


「XXXはありますか?」

「は?著者名は?」

「書評の音楽家様です」

「あー、はい。あります」


案内された書棚は一等地とは到底いえない場所。

お亡くなりになってから、随分騒がれたけど、もう世界は春を終え、夏になる。


人として生きていた言葉が並んでいる。


品性や品位に欠けることなく、されど軽快で洒脱、分かりやすい言葉で語りかけるように記されているインタビュー記事は、巻末の「独り言」によって様相が変わる。


全体記載からすれば、ごく僅かなご本人の日記。誰かに見せるつもりのなかったもの。


その中でも遺族の許可があるものだから、かなり情報としては恣意的ではある。だが、それでも。


裏側にある、人としての「本音」。

別に表のインタビュー記事とずれてはいないけど、それでも、この方が徐々に弱っていくのが文面から読み取れる。


人は死ぬ。人は今しか生きられない。人が持つ時間は有限であり、逃れられない。


「彼」の音楽はいつまで残るのだろうか


人は争い、全てをなくしてしまう。

そして、音楽も文学も同時に失われていく。


悔やんでいる時間も無ければ、躊躇っている時間もない。生命溢れる「水」は手から何もしなくても落ちていく。


「彼」は人の3倍濃い時間を過ごしたらしい。

ゆく川の流れが絶えないのであれば、210年分進まれたのかもしれない。


もし「彼」が140年後を見ていたなら、人は今の文明を維持できていなかったのかもしれない。


まあ、我々は未来が見えないし、もう「彼」はいない。それは、誰にとっても幸運なのかもしれないが。


月が落ちれば、日が昇る。

観測者の有無は問わず。


おはようございます。今日があなたにとって素晴らしい1日でありますように。


いってらっしゃい。

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