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死霊の黒騎士と黒猫のルル  作者: 鮭雑炊


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 僅かながらも飛び散っていた細かい破片が、白い煙のようになって、黒い鎧の中に吸い込まれていく。どうやら俺の骨の躰はそうやって修復されるらしい。一度切り離されて不安定になっていた四肢が、しっかりと固定されてくのを感じる。

 痛みは引いた。

 自傷、と言っていいものか、自分の骨の躰を無我夢中に破壊していた時に感じた高揚した気分も、ゆっくりと消えて行く。おそらく不安からくる高揚。

 死への不安。

 あのまま死んでしまう事も、十分に考えられたことなのだ。今は不安が取り除かれたので、落ち着いている。

 残ったのは酷い頭痛と倦怠感。


「たす、け、ぐっ……」


 黒いマフラーで首を絞められている男が呻く。

 神ではなく悪魔にすがった男。今は俺に吊り下げられて目に涙を浮かべて藻掻いている。


「いき、が、じにだく、ない……」

「悪魔教の男よ、神を信じられなくなったからと言って、信じる相手を悪魔に鞍替えした男よ。貴様にもひとつ、教えてやる」


 この男がどうやって生きて、何を考えて、どうしてここにいるのか、そんなことは知らないし興味もない。ただ、この男の考えは、俺に近い。かつての俺に。


「神でなくば悪魔だという考えは、とても視野の狭い考えらしいぞ? 0と100の間には、もっと色々なものが詰まっている、だったか? とにかく、そうした考えは短絡的なのだ」

「ご、ごべんな、ざい……」


 俺の手で首を絞められている男の姿が、昔の俺の姿に、重なる。

 耐えきれないほどの息苦しさの切っ掛けは処刑されることになったジャンヌだとしても、常々この世界には生き辛さを感じていた。

 その息苦しさは、子供の頃からだ。それを跳ね返すような強い意思も持てず、何かしら特別な行動もせず、ただ悶々と過ごしていた時の俺の姿に重なる。

 俺もまた、あらゆるものが吹き飛ばされ、壊されてしまえとすら願い、妄想し、それを為してくれる何かを求めていた。


「短絡的で、楽をしている」


 白と黒しか無い世界では、白でなくば黒、黒でなくば白という考えは正しいのだろう。だがしかし俺たちが生きる実際の世界には、もっと様々な色があり、色々なものがある。神を信じられくなったので、次は悪魔を信じるというのは、ただの思考の放棄に逃げた後の、楽な道。


 天使と決めつけ、悪魔と決めつけ、そうして思考を単純化して物事を見る。するとどうだ? 実に楽に世界を見れるではないか。わかりやすくていい。しかし、そういう類の”雑さ”では、世界を細かく、より正確に見ることなど出来はしない。雑に見れば、雑なものが返ってくる。それでは自分だけが持つ虚構の世界は、いつまでたっても白黒のままだ。


「……そうか、そういうことか」


 楽をしていた。

 甘えていた。


 ――神よ、神よ、神よ、答えないのか、ならば悪魔にすがろう、神よ、文句があるなら今のうちだぞ、出てこい、出て来てくれ、神よ……


 どこまでも神という存在に甘えていた。

 神という、他者、それも、虚構の存在。虚構の存在に向かって、その意味もわからずに吠えているだけの甘えた愚か者。妄想の中で願った世界の破滅すら、他者任せ……


「神を信じて裏切られたも何もないな……馬鹿だ。馬鹿だった。何も見えていないのだ、哀れな男よ。神は……神は人を裏切らない」

「…………」


 哀れな俺よ。

 神は決して誰かを裏切るようなことはしない。何故ならば、裏切るような力、意思を最初から持ってはいないからだ。全知全能である代わりに、泣きも笑いも、怒りも哀しみもしない。何も食べず、寝ることもない。生き物では無いのだ。同じ領域には居ないのだから、生きている人の疑問に応えることもない。人々の虚構の中に存在しうる神とは、そういう存在。人々に望まれて生まれ、虚構の中にて育った神とは、そういう存在。


 目に見えないのが、当然。

 姿を現さないのが、至極。


 そんなものを見ようとして血眼になっていれば、疲れてしまうのは、あたりまえの事だった。

 実際には、雑に見るどころではなく、ありのままの世界すら見ようともしていなかったな。あると決めつけ、無いと喚いた。白黒ですらない、暗闇の中で……

 しかと生きていたつもりだったが、どうやら昔の俺は寝ぼけていたらしい。目を開いていても、視界から入ってくる世界は、ただの映像としてしか見てなかったようだ。そこに映るものの意味を考えようとしていなかった。目を手で隠しながら何もない場所に向かって喚くだけの思考放棄男。なんという哀れな男だろうか。泣きじゃくって我が儘を言う幼児。子供の頃から何も成長していない。


「……男よ、愚か者よ……これからはしっかりと目を見開いて見るがいい。ありのままの世界を見ろ。そして考えろ、考え続けねば、ならない。それが神でないなら、悪魔でないなら、それが何かを考える必要がある。そしてそれは……楽な事ではない」


 かつての俺の中での神、信仰とは、ただひたすらに、自分が楽をするための神であり、信仰だった。人が楽をするために生み出された道具が神だとするならば、それは本懐ではある。

 しかし望んでしまった。

 無力なままでは嫌だと、泣きじゃくるだけの幼児のままでは、嫌だと。


 世界の真理を探究する作業……それが楽ではないことは、容易に想像がつく。この世界は本当に複雑だ。何がどうなって、今こうなっているのか、本当にわからない。天候ひとつとってみても、何故雨が降るのかすら、俺は俺が納得できる理を知らない。


「……ありとあらゆる事象には理由があるのか? それら全て、神や悪魔を持ち出さず解明をする。それは考えただけでも途方もない……」

「天使様? さっきからずっとそいつに話しかけてますけど、そいつ、死んでるじゃないですか? もう動かなくなってますけど?」

「む?」


 思考の海に沈みかけていたが、途中でプレラーティの声が聞えて、男を見る。

 男は白目を剥いている。

 二度、三度、振ってみる。

 反応は無い。

 ただ酷い顔色をしてはいるが、どうやら微かに息がある。まだ死んではいない。話の途中で意識を失ったようだ。男の体も宙へと浮きあげていたはずなのに、今は地面に足が着いている。話と思考に集中するあまり、マフラーを持つ手が緩んでいたらしい。


「ふん、俺のありがたい話を最後まで聞かんとは……黒のローブよ、形を変えよ」


 思念を送り、マフラーからローブに戻す。

 黒い布は生き物のように動いて男の首から離れ、俺の手に収まる。

 地面に落ちて音を立てる男。それでも意識は戻らない。

 本当に、この躰といい、このローブといい、何がどうなっているのか。


「すごい……」


 柱に括られたままのジャンヌが静かに零す。

 何がどうすごいのか、言葉にもならないのだろう? 俺もそうだ。


 取り返したローブを手で払い。音を立てて羽織る。完全に着るその前、途中で、一回ウイングモードを挟んでみる。

 これはただの検証だ。

 誰かに見せつけようとしているわけではない。

 しっかりと背中で漆黒の翼に変化したのを感じとる。すぐさまローブに変化させる。ローブは俺の意思を素直に受けてローブに形を変え、俺の躰を纏う。


(マントモード、透明モード、そして、収納モード)


 次々と形を変えて、最後には消えて無くなる。無くなっているように見えるだけだ。いつでも取り出して着ることが出来る。

 

「漆黒の天使……すごい」


 同じく縛られているジョフロワも言葉少なく感嘆する。

 くく、何をそんなに感嘆することがある?


 よし。検証の結果、何度でも、遅延なく、俺の求めに応じて変化してくれるようだ。

 奪われたとて、何かおかしなことになっている様子は無い。

 本当にすごいローブだ、黒のローブ。……それとも死神のローブの方が威厳のある名前だろうか? 漆黒の翼、闇夜の……名前など、どうでもいい。名前などなくともこいつに不満はない。不満はないが、翼になる時、少しくらい羽ばたいてくれると、もっといいのだが、何なら、その時、いくつか羽が散ると、もっといい。

 ……それもどうでもいいな。

 疲れている。頭が働かない。


「すごいはすごかったですけど、天使というより悪魔って感じでしたね。実は僕、貴方が縛られたまま物凄い振動しだした時、これからどんなすごい奇跡や、邪悪で恐ろしい秘法が見れるのかと期待してしまいました。だけど、体をいくつかに別けて脱出、とか、ちょっと、奇跡、というには何だか、地味、というか……すごいんですけど、いえ、すごいはすごいんですけど」

「……プレラーティ」

「貴方の正体がわかりました。やはり堕天使ですね。そうじゃないかと思ってました。神様によって神の園を追放され悪魔になってしまった天使、それが貴方です。……お名前を教えてもらっても?」


 さりげなく名前を聞き出そうとするな。

 相手にするのも疲れる。以後は無視だ。


 周りを見る。

 俺が束縛から逃れたと知って逃げ出した者も多いが、遠巻きに見ている者も多い。手を出してこないのならば、こちらが何かをすることもない。

 気を失っている男から黒い剣を回収する。よし。あとは……


「黒騎士様……わ、私は、黒騎士様にも神様にも話していない罪が、あります……」


 倒れている男から回収した剣を自分の腰に付け替えていると、涙声のジャンヌが何かを言い出した。


「そうか、大変だな、それで、俺にも話していない罪とは?」


 ジャンヌの言葉を右から左に聞き流しながら適当な返答を返す。

 立ち上がった時に足元がふらつく……

 さすがの、この滅茶苦茶な骨の躰でも無理をしたのか。体の調子が悪い、ような気がする。どこがどうというのは、わからない。ジャンヌの話も気になるが、優先すべきは休むこと。


「愉悦を……愉悦を感じていたのです……」

「はん?」

「特別な聖女扱いされることに悦びを感じ、なにより男の言葉を喋り、男の恰好をすることを楽しんでおりましたのです……女ばかりに囲まれて育った私は、密かに男の恰好をすることに憧れていました……教義ではそれを禁止されているにもかかわらず、私は、町の混乱を収めるためなのだからしかたなくなどと思いながら、口ではそれが私の使命だと言いながら、男装の聖女、処刑されたジャンヌ様の後を継ぐという大任を、自分の内なる欲求を満たすための口実にしていたのです。背徳の悦びに呑まれ、欲望のまま生きる悪人、本当の私は、本当の罪人、なのです」

「…………」


 涙を流しながら告白をする女を見ながら思い出したことがある。

 俺は少し前まで、神の加護も無いただの人が聖女の名を騙ることに関して、酷く憤慨していたのではなかったろうか、と。

 あの時の怒りは、今どこに行った?

 どこかに行って、行方もしれぬ。

 そして次に、正しい心を持つ者が正しい行いのために嘘をついて聖女を騙るのならば、それは許せるのではないかと、思ったはずだ。今でも思っている。だが、それだけではない。

 今は、どうでもいいと、思っている。


 何を為したのか、だ。


 本人の心の中で何を思うかすら、どうでもいいのだ、その者の価値を示すのは。


 ジャンヌ、本物のジャンヌ・ダルクを想う。

 神託によって立ち、神によって世に出て、宗教によって殺された少女の、奇跡のごとき功績を、想う。

 女が男装をするのは異端。

 拘束され、二度と男の服は着ないと約束させられ、謀略によって殺された少女の罪の名は、何だ。

 男の服を着たから神への反逆? 馬鹿馬鹿しい。心の底から、馬鹿馬鹿しい。着たいものを着ろ、話したい事を話せ、喋り方など、気にせずに。それで済む話ではないか。


 宗教が、罪を、創っている。


 この世に悪を生み出しているのは、宗教そのものではないのか。


「ですが、何もかもが上手くいかず……これが、赦されざる愚かな女の末路です。だけど……死にたくない、怖い……生きていたい。こんな私でも、生きていていいのでしょうか? 黒騎士、様……」


 人は生まれながらにして罪を持つのだと、そう教わって生きてきた。

 原罪。

 食べてはいけない知恵の実を食べたから罪。神を裏切ったから罪。その子孫の赤子として生まれた時から付いてまわる罪、拭えない、罪。

 なんだ、それは、馬鹿馬鹿しい。

 理不尽すぎる。

 食べてはいけない物ならば人が越えられぬ柵でも作って対処しておけ、全知全能。


 すべての事象には理由がある。考えろ。

 それは、おそらく、宗教には罪が必要だったから。人に罪をつぐなわせるために、罪を創った。必要だったから生み出された罪。

 ならば何故、必要だったのか?

 それは、宗教によって救われる者を作るため。宗教の正当性を保つため。自分たちが救う対象としての、迷える子羊たちが、どうしても必要だった。

 罪人のままでは酷いぞ? 救ってやるから、信じろ、と。

 そうして原罪は生み出され、押し付けられた。

 正しき神が正しき神として在るために悪が必要とされ、悪魔が生み出されたように。


 柱に括られている女を見上げて、言葉を発する。


「ジャンヌ、この俺に何度言わせたら気が済む? 愚かなジャンヌよ。顔を上げろ、涙を流すな」

「黒騎士様……」

「愚か者、貴様は悩む必要も無い事で悩み、ありもしない罪を自分に着せ、自らに罰を課している。貴様の罪は、誰かが勝手に作った罪。お前の罪ではない」

「私の、罪は……」

「聞け。正解というのは、それを決める者がいて初めて生まれるものだと、そう言ってのけた奴がいる。罪もまた同じ。罪も、それを罪だと決める者がいて初めて生まれる。女が男装することや男の言葉遣いをすることを罪だと言った奴は、誰だ? そいつの顔は知っているか? 会ったことはあるか? 話をしたことは?」

「教義で……昔から……」

「会ったことも無い他人にそう言われたから、貴様は自分が罪人だと言うのだな? ならば愚か者で間違いはない。誰かによって罰を受けるのならば、そんなものは理不尽だと言って戦うことも出来ようが、ありもしない罪で自分で自分を罰するなど、愚か者の極み。最初から負けている。勝ちようがない。生まれながらの敗北者。男装だろうが、男言葉だろうが、自分が良いと決めたのならば、好きに使え。理不尽には抗え」

「わ、私は、これからも男装をして、男言葉を使っていても、いいんですか?」

「知らん!」

「しらない……」

「知らんし、心の底からどうでもいい! 勝手にしろ!」

「ええ……」

「はい、黒き堕天使様、勝手にしていいなら悪魔を信奉していてもいいんですね?」

「いいわけあるか! 黙ってろプレラーティ!」

「何故……理不尽……」

「ジャンヌよ、聖女に成りそこねたジャンヌよ。何より俺が貴様を愚かと思う理由は、いつまでも俺を神の代理人か何かだと勘違いしている事だ。神など知らん。声を聞いたこともなければ会ったこともない」

「堕天使様の天界での位はどのあたりだったんですかね? 神様に直接お目通り出来るような高い地位では無かった、と? はい、黙ってます」

「……ジャンヌよ、お前はまだ何も為していない。聖女足らんとして行動するのも良し、他の何かを見つけて生きるも良し、お前の使命はお前が見つけろ。だから顔を上げて、強く生きよ、お前は、自由だ」

「……!」


 剣を抜き放ち。

 振り上げ。

 すべてを断ち切らんとばかりに、振り下ろす。


 黒剣より生まれた白刃は、俺の目測通り、柱とジャンヌを縛っていた紐を断ち切る。

 剣筋に寸分の狂いもない。

 この絶不調な躰でいくらか不安だったが、幼少の頃より長年振り続けた剣は、俺を裏切らない。


 柱より解き放たれたジャンヌが地面に座り込む。そこに、泣く女は、もういない。いくらか呆然としているが、前を向いている。


 自由。

 自由か。

 自分で言って、自分で気づく。

 使命を自らに課す自由もまた、俺には、あるのだと。俺だけでなく、それは誰にでも。


 己の使命を、どこかの誰かに与えてもらおうとしていた俺は、そこでも甘えていた。


 誰かが考えた使命に従うのは、楽な道。

 俺が使命を与えてやる、などと、思い上がりも甚だしい。神にでもなったつもりか? 迷い続けるだけの俺が。

 それは他人に楽をさせてやる行為ではあっても、他人の成長を思ってのことではない……黒猫よ、俺に使命を与えなかったのはそういうこと、なのか? 甘えるな、と?

 ……くそ、聞きたい。黒猫に話を聞きたい。黒猫よ、お前にとっての”正解”は、何だ?


「う、うう、うああん、ジャンヌ、ジャンヌ……あああ」


 こちらはまだ柱に括られたままのジョフロワが感極まったように泣き出す。今度はこっちか。


「俺の、俺の罪はぁ、ああ、俺の罪もおお、俺が、勝手にぃ、ぐああん」

「あの……堕天使様?」

「俺は堕天使ではない。黙っていろ」

「堕天使でないなら、何だと言うんですかね?」

「人だな。ただの、人である」

「異議ありです! そんな髑髏の顔で! 体だって千切っても元通りになるのに!」

「俺は……ふむ、少しばかり遠くに手を伸ばせるだけの、人だ」


 手首を振って剣を鞘に戻す。

 黒猫の言葉を信じて腕を削り切った時は不安であったが、千切れた腕の操作そのものは、腕を少しだけ遠くに伸ばす感覚でそのままいけた。やはりこの躰は便利だ。あとは睡眠が……それと幸福になるのも禁止というのが……


「……って、そうじゃなく、堕天使様の兜を持った男が逃げますよ?」

「なんだと! 忘れていた!」


 そうだった、兜、兜を取り戻さねば。

 プレラーティが向けた視線の先を追って見ると、確かに俺の黒い兜を持った男が走り去ろうとしている。木は疎らだが、見通しが悪い地形。どこかに隠れられたら厄介だ。

 吐き気を押して俺も走る。くそ、限界が近いぞ。


「待って! 堕天使様! 僕の体の紐も切って……ああ、行っちゃった」

「おおおん!」


 プレラーティの声とジョフロワの泣き声を後ろに聞きながら、逃げる男を追う。そして、俺の目の前で事態が動く。


 最初は遠くで喧騒が。すぐに、その争いの声は、近づいて。


「騎兵!」


 何処かの軍の騎兵が、悪魔教徒どもを薙ぎ払いつつ、近づいてくる。

 響く悲鳴と、怒号。

 ただ近づいてくるだけではない。そこに別の軍のものと思われる騎兵も現れて、争いの渦は近づきつつ拡大していく。

 騎兵同士の戦闘、それに悪魔教徒が入り乱れて争っている。


「どこの軍だ?」


 追っていた男が、争う人の波に埋もれ、消えて行く。待て、ここで見失うわけには……


「骨の道化師ぃ!!! 見つけたぞ! よくも仕事を放り出して逃げてくれたな! がはは!」

「その声は!」


 ゴウベル。巻いてやったのは昨日のことだが、もはや懐かしさすら感じる無思慮な声。

 争っている騎兵の片方は、イングランド兵だ。







男装女子だって大丈夫!

ポリコレ推奨作品として、宣伝してくれてもいいのよ?

ついでに☆を付けてって。

けど読んでくれるだけで、ありがとう!

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