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死霊の黒騎士と黒猫のルル  作者: 鮭雑炊


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 通されたのは前と同じ暖炉のある大部屋、特に変わっている所は無い。質素な装飾がこの屋敷の主人の性格を表している。

 ふむ、食事の支度などもされていないようだ。当たり前か。食事どころではなかったからな。今も外では大勢の市民たちが屋敷を取り囲み、こちらに向かって祈りを捧げている。奴らがいつ暴走するのか気になって食事も喉を通らんことだろう。せっかく焼かれた肉も冷めきっているはずだ。


 屋敷に迎え入れられたことを感謝の言葉を交え、この屋敷の主のトムスに長々と丁寧な挨拶している知人、アンドレを見て、誰にも聞こえぬように溜息をつく。

 アンドレは二人の従者のみを連れている、こちらも見た事があるような気がするが、どうでもいい。

 かつての俺を知るアンドレには気を付けて発言せねばならない。

 この世界のしがらみなどは名前と共にすべて捨て去ったとはいえ、生前の関係者に今の姿を知られるのは嫌だ、知れば何かと迷惑もかけよう、ここは知られないに限る。

 部屋の壁際に陣取り、二人のやりとりを見つつ、再び静かに溜息をつく。


「聖女様は今、どちらに?」


 ここには俺たちとアンドレたち、屋敷で働く者の後はトムス、ジェルマンしかいない。リュミエラやアリセン、ユーザスたちは別室にいるらしい。


「はは、なにぶんあの娘は無作法者でしてな、アンドレ殿に失礼を働くやもしれませんので控えさせております、それと娘は聖女ではありません、神の啓示を受けたことも神のお姿を見た事も無いと言っております」

「聖女様に置かれましては最大の敬意を払い丁重に扱うようにと言われて来ております、聖女様の言動にて何事もございましょうか、お姿を、ぜひ」

「甘やかして奔放に育ってしまった娘でしてな、実に手を焼いております、聖女ではないですが」

「ふふ……」

「はは……」


 アンドレの笑顔の要求に笑顔の拒否で返すリュミエラの父トムス。もしや、このままずっと会わせない方針か? いや、それはさすがに無理があるだろう、トムスよ。

 貴族位としてはアンドレの方が高いはず、本人の資質と、聖女を迎えに来たという立場から今は穏便に出ているようだが、王命を受けての行動とあれば奴にも引けない部分があるはずだ。トムスの抵抗もいつまでもは続かない。穏やかな気質のアンドレと言えど、いつかの段階で武力を持ち出してくるのは目に見えている。トムスがどれほどの兵を集められるのかは知らんが、王命を受けた貴族とまともに戦える武力が集まるとも思えない。ならば言われるまま娘を聖女として差し出すか? このトムスが娘に甘いというのは、この短い付き合いでもよくわかるが、家の一大事ともなれば娘にも文句は言わせまい。あの娘にとっては理不尽なことだが。後はこの屋敷の周りに集まった奴らの問題。奴らをどうしたら散らせるものか……


 手持ち無沙汰に、俺がしなくてもいいような考えごとをしていると、いつの間にか二人が話を止めて俺を見ているのに気がつく。アンドレとトムス、それからジェルマンも、部屋にいた皆の視線が俺に集まっている。


「その……黒騎士殿……」


 ごくり、と唾を飲み込んでトムスがおれに話しかけてくる。


「……なんだ?」

「黒騎士殿は何度も我が娘を窮地からお救いになられていて、そして、それには理由がないとおっしゃった……目についたので助けた、流れで助けた、と……」

「ああ、そうだな、そしてそれがすべてだ」

「名は捨てた、天使でもなく悪魔でもなく………………黒騎士殿、あなたは……何者なのです? あなた方の目的は、何なのです?」

「何者でもない。ただの動く骨だ」


 俺たちの目的は何か、か……

 トムスの奴は決死の覚悟で俺の正体と目的を聞いたのだろう。奴の真剣な表情から、今何が起きているのか知りたがっているのがわかる。だが、答えは変わらない。どうにもまだ、そこに何かしらの神の意思や意味があるのだろうと考えているようだが、どこからともなく現れた、ただの動く骨が、ただ単に自分の娘を助けた、どれほど考えてもそれ以上の真実は出てこない。どうにも信じてはもらえそうにない話だ。

 俺の目的といえば……最初はジャンヌの事で怒り、心は復讐心に満たされていた、世界を燃やさんとばかりに。そして今は、何だ、俺は世界をどうしたい?

 黒猫は……どうなのだ? 奴の目的は? 奴は世界をどうしたい?


 トムスの横にいるアンドレの俺を見る視線は厳しい。

 ふ、どうだアンドレ、今の俺は意味不明だろう? 泣きたくなる。


「俺の正体など俺は知らない。俺の目的も、お前らには関係が無いことだ。天の使いでも無ければ王に神託を出したことも無い。俺のことよりアンドレよ、先ずは貴様がここに至る経緯を話してやれ、今ここでは誰も彼もが混乱している、トムスの奴もな。王に出された神の言葉とは何だ? ここの娘を聖女だと?」


 突然俺に話しかけられていくらか狼狽したアンドレは、すぐに落ち着きを取り戻し、話しかてくる。


「あなたにはいくらでも聞きたいことがあるのだけれども、とりあえず一番に聞きたいのは……あなたの肩の上に乗っている黒猫は、何?」

「……黒猫、降りろ」


 俺の肩の上にまだ乗っていた黒猫を手で追い払う。ストンと床に降りた黒猫に苦情を言われる。


「いつも思うのだけど、黒騎士さんは女性に対して、もうちょっと丁寧に扱うべきだと思うわ、雑過ぎるもの」

「は、何が女性だ、黒猫め、女性扱いされたいのならもう少しおしとやかにしていろ」

「はー、女はおしとやかでーとか、古い価値観だわ、受け入れかねるわね」


 黒猫の口から流暢な人の言葉が出てくるとアンドレとお供たちが驚く。とはいえ人の言葉を喋る奇怪な黒猫が存在することは前々からどこかで聞いていたのだろう、動揺はしても、それ以外の動きは無い。


「あなたの飼っている猫、ですか? 使い魔、的な?」


 アンドレの奴め、ここで再会した時よりもずっと砕けた口調になっている。


「こいつが俺の使い魔だと? それだと俺が悪魔になってしまうではないか。滅多なことを言うなアンドレ、俺は悪魔ではない。この黒猫についても俺は知らない。むしろ俺が知りたいくらいだ」

「…………」

「どうにも正体不明な奴だが、まぁ言うなら諸悪の根源だな、悪いことはすべてこいつに帰結すると思っておけばいい。アンドレ、こいつに近づくなよ? どうせ酷い事になる」

「んな!? ちょっ、ちょっと黒騎士さん、何でそんなことを言うわけ!? 私悪くないよ!? 私は悪くない、ただの親切な黒猫さんだよー!? ……もう、黒騎士さんが冗談でもそんなこと言うとか、ビックリだよ……アンドレさんも本気にしないでね? これは彼の冗談だから」

「ふ……冗談……だといいな?」

「思わせぶりなこと言わないで……」


 アンドレの奴が絶句している。

 口の減らない黒猫など出会ったこともないだろう? 今この場で悪魔だと断罪され、攻撃されないのが不思議なくらいだ。柔和にも見える、整った細面の顔をこわばらせて活動を停止している知人を見て生前を懐かしむ。絶句して言葉を失うアンドレとか、めったに見れないものを見た。


「アンドレさん? 私の事はルルって呼んでくださいな。ふふ、アンドレさんて、なんか貴族っぽい」

「……っぽい……あ、あは、一応本物の貴族なんですが……どうぞよろしく、賢い猫さん」


 黒猫に向かって優雅なお辞儀で挨拶をするアンドレ。そんな丁重に扱う存在ではないぞ。


「撫でてくれてもいいのよ?」

「やめておけアンドレ、それは怖いものだ」

「最近の黒騎士さんの私への言葉に愛が無いんですけど」

「もとより無い」

「もとより無かったねぇ!」


 愛など芽生えるはずもない。


「……仲が、いいんですね?」

「そう見えるか?」


 パリの町のプリュエルにも言われたな。仲など良くは無い……


「あなたはそんなに猫が好きでしたか」

「猫が好きか、だと? ふん、好きでも嫌いでも無い。まぁ不吉の象徴だと言う奴もいる、どちらかを言えというなら嫌いに分類されるくらいだ、ま、どうでもいいことだが」

「あの人なら、そんな感じの事を言いそうです……すごく……」

「………………」


 あの人……

 こいつ、俺がルーアンの町で行方不明になっている本物かどうかを探っているのか? もともと頭の悪くない奴だ、これ以上会話を続けていたら駄目だ。まだ疑問の段階だろうが、すぐに疑問は確信に変わってしまうだろう。

 神託の話や王の話がどうなっているのか興味があったので流れのままこいつらに付いてきて、今もこの場にいるが、これは早々に退散した方が良いかもしれない。

 ……いや、知りたい。知れることなら、何でも。


「とにかくだ! 俺のことも黒猫のことも気にするな。さっさと貴様の事情をトムスに話してやれ!」

「……はい」


 納得していない様子ではあるが、語気を荒くした俺に促されてアンドレはここに至る話を始める。

 相変わらず押しに弱い、こいつにはこういう対応でいこう。


 最初はルーアンの町に現れた俺たちから逃げるようにして各地に散っていった人々の話から始まる。

 シャルル王がいるランスの町にもルーアンの町から逃れてきた人々が到着して、やはりルーアンの町と同じように騒ぎに騒いだらしい。

 死から蘇った魔女にして聖女ジャンヌ・ダルクと、地獄から来た死霊の騎士の話。死者の軍勢と世界の滅び。最後の審判。

 真実を語っているのだと騒ぐ人々の話は驚きをもってランスの町に迎えられた。

 多くの信じがたい噂と共に、信じるに足るような人物らの慌てようを見て、ランスの町の住人たちも一緒になって大いに騒いだものの、それでも最初は町に混乱は無かった。事態が急変するのはパリの町からも逃げ出してきた大勢の避難民が現れたこと。

 世界の終末を叫ぶ人々が表面的には穏やかさを保っていたランスの町を混乱に導く。


「……誰が最初に言い出したものか、敵に囚われた聖女ジャンヌ・ダルクを助けなかったシャルル王は神の罰によって滅ぼされる、復活した聖女によって復讐をされるのだ、ランスの町も、その巻き添えとなって滅びる、と」


 シャルル王はジャンヌを助けようとしなかった、それは以前から多くの人に言われていたことだ。

 敗戦続きで後がなく、不遇をかこっていた王太子シャルルを、相次ぐ奇跡の大勝利によってランスの地に導き、彼を王と為した英雄がジャンヌ・ダルクなのだ、どれほどの身代金を支払おうとも取り返すべきだとの声は高かった、それは彼女が火刑にされるずっと前からの話だ。

 それでも動かないシャルル王、王は何故ジャンヌを助けようとしないのか?

 それこそが俺も気にしていたこと。まさに、その事を王に聞きたくてランスの町に行こうとしていたのだ、町が混乱しないように、こっそりと隠れながら。実際のランスの町は、俺が行く前にすでに混乱をしていたらしいが。

 ……その混乱すらも、俺のしてきた行動のせいだ。


「反乱が起きたのですか?」


 アンドレの話に聞き入っていたトムスが緊張をしながら質問をする。市民や農民の反乱は貴族が恐れて当然の事だ。

 あらぬ方角を見るトムス。屋敷の外の事を気にしているのか。

 この町で起きた先ほどの出来事、ルーアンの市民たちがこの地を支配していたイングランドと敵対して放逐した、その動き、流れ、その怒りの矛先が自分たちに向かうのを恐れている。

 自分たちだけの話ではない。

 すでに事態はこの町だけの話でなくなった。

 ルーアン、そしてパリから各地に散っていった者たちが一斉に騒いで、それぞれが反乱に繋がれば、それは一体どれほどの規模のものになるのか……歴史に記されたことの無い規模の大混乱……

 本当に……世界が……滅びる?


「反乱寸前……といったところでしょうか。いくらか血も流れてますし、我々も暴走した民や兵士に襲われることも何度か……」


 アンドレはそこで俺を見る。


「パリのノートルダムから逃れてきた……いえ、違いますね……神託を携えて、司教様がパリから、ランスの町にやってこられた……」


 ここで信託の話か。俺の知らない神託。


「マロー司教によってもたらされた話はこうです。……神はおっしゃった。コーション司教を裁きなさいと、それで聖女を誤って火刑にかけた事は許すと。今、聖女ジャンヌ・ダルクの魂は神の身元にあり、地上にて復活はしていないのだと。けれど神はこの混迷の地を救うために新たなる聖女をもたらした、ゆえに正当なる王、シャルル王の名のもとに、速やかに保護し守護せよ、と。それで世界の滅びは回避されるのだと、それが天空を舞い現れた髑髏の姿をした天使から伝えられた言葉のすべてである、と」

「それはまた……ずいぶんと……都合が良いものだな……」


 コーションを裁くことでジャンヌを見殺しにした罪を許す、だと? 誤って火刑にかけた、だと? ジャンヌは死んだ、戻ってこない。しかし聖女と名乗る、いや名乗っていないが、そう言われる女は実在するらしい、だから、自分が手にして守護するなどと……シャルル王にとってあまりにも都合の良い話ではないか。なんだ、その、欲望にまみれた神託は。

 神など、どこに出てきた、俺は知らない、出てきたところを見ていない、神など、どこにも……

 駄目だ、俺の中の怒りが再燃する……灼熱の炎になって吹き出しそうになる……これは、駄目だ、身を委ねては駄目な感情だ……


 アンドレが見ている。

 俺を見ている。

 静かに、俺を見極めようとしている。

 冷静になれ。熱くなるな。

 アンドレ……そんな目で、俺を見ないでくれ。責められている、ようだから。


「……俺に何かの言葉を期待しているのならば、言ってやる。俺は確かにパリに行き、マロー司教とも話はしたが、先ほどアンドレが神託として伝えた事など、何一つとして言っていない」

「そうなの、ですね……なるほど」


 何度かうなずき、納得した様子のアンドレ。

 納得できる部分など無かろうが。あの時、マロー司教には俺が天使であることもはっきりと口にして否定したはずだ。


「しかし、どのような経緯であれ、王の元にもたらされたその神託によって、ランスの町の混乱は一応の収束を見せました。何せ天空を舞う騎士や喋る黒猫、為された数々の奇跡には、それを目にした証人が大勢います」

「言葉はほとんど捏造ではないか、マロー司教は神の言葉を捏造をしたのか」

「マローさん、あんまりそういうことをしそうにない人だったよねえ。むしろすごく嫌がりそう。王様じゃないの? そうやって捏造したのは」


 黒猫が横から口を挟んでくる。笑っているように見えるのは、どうしてだ。もしやこの状況を楽しんでいるのか? ただの俺の偏見か? 笑っているような顔をしているだけか?

 その緩い顔面を掴んで左右に引き伸ばしてやりたい衝動に駆られるが、黒猫の事は今はいい、王だ。シャルル王。

 神の言葉を捏造するなどと、シャルル王は恐れを知らないのか? もしやコーションと同じ類の人であったか。……コーション、今はランスの町にいるのか。法の下の裁きになど任せず、あの場で引導を渡しておけば良かった。


「それで私が先遣隊となって再誕の聖女と呼ばれるお方をお迎えにあがるように命ぜられたのです。強行軍を繰り返し、行く先々で情報を集めながら、ようやくここまで辿り着きました。この町には本隊を外に置いて私を含め何人か先に侵入しましたが、サント家の屋敷がイングランドの兵に襲撃されていると知り、すぐさま本隊をサント家の救援のため強引に突入させました。門の守りは硬くなく、連れてきた少数の兵でもなんとかなりました」

「なるほど……それは感謝をせねばならないのでしょう、アンドレ殿、ご苦労を……」

「何ほどの苦労もございません。侵入した際、どうやら新たなる聖女とはサント家のお嬢様らしいという情報に行きつくまでに、何度か市民に襲われたりもしましたが、それも兵士であるという理由だけで……」

「はぁ、それは……この町の市民がご迷惑を……」


 トムスよ、かける言葉はそれでいいのか?

 遠い目をするアンドレに覇気のない口調のトムスが返す。

 市民が貴族、武装した兵士を襲うなど、あってはならないことが起きている。すでに混迷を極めているこの町で、それは今更か。

 アンドレが町に侵入してきたのはリュミエラの処刑の前後くらいか? あの時は誰もが殺気立っていたからな。


「アンドレ殿の事情はわかりました、しかし私はブルゴーニュ派の貴族でありまして……」

「はい、それが一層事態をややこしくさせているわけで……」


 そうだな、ジャンヌを処刑したのはイングランドだが、ジャンヌを捕まえ、身柄をイングランドに引き渡したのはイングランドと手を組むフランスのブルゴーニュ派の者で、そしてジャンヌはシャルル王率いるアルマニャック派の人物だった。信託による新たな聖女がブルゴーニュ派の貴族の娘。笑えん信託だが、それを受けたのはアルマニャックのシャルル王なのに、だ。しかもその聖女は一度アルマニャック派の手の者から俺によって救い出されている。

 再誕の聖女とやらの所属はどこだ、となってしまっている。混乱、混迷。

 アンドレよ、すまんな、それもこれもすべて俺のせいだ。許せ。

 これから聖女の処遇を巡って激しい駆け引きや、難しい舵取りをすることになるのかもしれない。だがもう知らん。政治も知らん。派閥も知らん。縁を切った。アンドレよ、貴様が頑張れ。


 知りたいことは知れた。この場にもう用は無い。ランスの町とシャルル王については後で考える。

 ……ならば、次は。


「黒猫よ」

「何? 黒騎士さん、ご飯? お腹すいたよねー、私もだわー」

「違うわっ!」


 食事から離れろ。それと俺を含めるな。

 さっきのアンドレの話、どこまで真剣に聞いていたのやら。俺たちのせいで世界は酷いことになっているぞ。どうせまともに聞いていないな。そういう奴だ。

 次にすべきこと、黒猫に話を聞く、どういう話を聞かされるにせよ。

 さもなくば俺は先に進めない。先に? 俺の先とは? 俺のやりたい事とは? 俺がここにいる目的……ちっ、とにかく、話だ。すべてを吐き出させてやる。


「話がある、ついてこい。トムスよ、使っていない部屋を借りるぞ」

「え? は、はい、黒騎士殿、どうぞお使いください」

「うわ、呼び出し? しかも強引、もしや告白? うわー、どうしよっかなー」


 この世界を混迷に落とし込んだ、もう一人の張本人の能天気な返しに、ついグシャっと頭を踏み潰してやりたくなるが、それを実行するのも話を聞いてからだ。

 黒猫よ。

 俺を殺し、蘇らせた黒猫よ。

 話の内容次第で、貴様は俺の、敵になる。




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