表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死霊の黒騎士と黒猫のルル  作者: 鮭雑炊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/153

33



 馬の足元から黒色のシミのようなものが生まれ、広がる。

 そしてそれはすぐに黒色の沼の様にドロドロとした形状へと変化していく。

 ボコリ、ボコリと巨大な泡を立てながら地面が煮え立ち、白い蒸気を発する。

 匂いは無い。

 黒い蹄を泥の中に沈ませている馬は、その場にいて動かない。馬は立ったままの態勢でゆっくりと沈み込み、地面に出来た沼へと飲み込まれていく。足先から徐々に沈んでいくというのに、馬は慌てることもなく、鳴き声を上げることもなく、静か。

 馬の瞳は落ち着いていて、まるで生きることのすべてを諦め切ったかのような態度であり、それは沈みゆく自らの運命を受け入れているかのよう。この無慈悲な底なし沼からは逃れられないと知っているのだろうか。

 足元から沈んでいった馬は、胴体、やがて頭も残さずに体全部が地面に飲み込まれ、馬を一頭、丸々飲み込んだ黒い沼は、小さくなり、満足の吐息を吐くように一つ蒸気を残して、跡形もなく消える。

 地面には草が生えていて、先ほどの地面が煮立つ光景がまるで夢であったかと思う。

 静寂のみが、その場に取り残される。


「おう……神様……」

「神よ……」

「こ、こんな……」

「恐ろしい……」

「本物の魔術……ああ……なんて……神よ、助けたまえ……」

「地獄……地獄へ帰った……地獄は存在する……神様……」


 それを見ていた者たちの幾人から押し殺したような声が漏れる。

 それはまるで邪悪な儀式。生ある者を底なし沼に引き込む悪の所業。世界への冒涜。

 それを見た者は、うめき声一つ上げることも出来ずに押し黙るか、そうでなくば、神へと祈る。

 俺もまた、声を発する。


「もっと……こう……なんとかならんのか? 黒猫よ?」

「え? なんとかって?」


 あの邪悪で心の凍るような風景を創り出した黒猫は何故かやり切った感を出している。

 黒猫よ、周りをよく見て見ろ。俺たちへ向ける皆の視線が凄いことになっているぞ? よしよしなどと頷いている場合か。


「俺は貴様が演出だのなんだのと言っているのは知っているし、なんなら俺こそが予兆もなく魔法を使うのではなく事前に何かあれば、などと言ったことを覚えている、が、少し、見た目がな、その、邪悪すぎる」

「ふふ、邪悪、まさにそんな感じのものを狙ったんだよー。黒騎士さんの見た目に合わせた演出。こういうの、黒騎士さんは好きじゃない? もっとキラキラしたのが良かったかしら?」


 俺の横にいる満足気な黒猫に逆に聞かれる。

 ここで俺の気持ちを正直に言えば、まぁこの骨の身体にしろ、闇を纏ったような黒色の鎧も、さきほどの沼に沈んでいくような演出とやらも、実は嫌いではない。俺を驚かした闇の色をした炎とて、そうだ。実に冒涜的で、背徳感があり、悍ましく、恐ろしい。ふつふつと心が沸き立つのを感じるくらいだ。いや、しかし、人の目がな、あれではあまりにも印象が悪いだろう。まるで俺たちが悪魔であると、そう喧伝しているようではないか。本心を言っていいものかどうか。

 屋敷を守っていた男たちが幾人か、手に持つ木の棒などで先ほど馬が消えて行った地面を恐る恐るつついている。おそらく、そこには何も無いぞ。地獄にも返っていない、馬の行き先は温泉の湧く無人島だ。


「好き嫌いで言えば、まぁ、悪くはないかも知れんと、そうは思うのだが……」

「おっと、しまった、これは失敗してしまったわね」

「何だ? 何を失敗した?」


 こいつはいつもいつも失敗をしているが、今回の失敗は何だ? 俺に関わる重要な事だろうか。


「黒騎士さんに送還の呪文を唱えてもらうのを忘れてた……」

「どうでもいいわ! 忘れて問題ないような呪文など、最初からいらんだろうがっ!」

「大切なことだよー、ふふ、馬を召喚した時のノリノリの呪文詠唱は個人的に良かったと思う、高得点あげちゃう。ええと、何だっけ? 忘れたけど」

「俺も忘れた。もう二度と言わん」


 何だ、この感情は。羞恥心だろうか。天使呼びされた時のような恥ずかしさがあるぞ。


「俺、覚えています!『早々に来りて我が翼となれ』ってやつですよね? 確か最初は『馬よ、馬よ……』」

「やめろ、少年、それ以上言うな、怒るぞ?」


 アリセン少年の言葉を遮って止める。やめろ、やめろ。


「うむ、みだりに呪文などを口にするものでは無い。すまんの、骨の御仁、よく言って聞かせる故に、子供のする事と思って許してやってくだされ」

「ジェルマン様、子供扱いしないでください、あぐ……痛い」


 老騎士は少年の頭に拳を落とし大人しくさせる。


「口にしてはならん言葉などは、あるものじゃ。ましてや本当に力ある呪文など……アリセン、この御仁から聞いた呪文のことは忘れるのじゃ、二度と口にするでないぞ? 人に教えることも駄目じゃ、よいな?」


 非常に強い口調で少年を窘める老騎士を見ながら、俺まで徐々に居たたまれなくなっていく。

 そんな大したものでもないのだがなぁ。

 あの時の呪文もどきなんぞ、あの場で適当に言葉を並べただけだ。しかし、それを知らない老騎士たちには、何かしらの秘儀、秘術のような大層なものにも感じるのだろう。俺と彼らとの違いは裏の事情を知っているか、知っていないか、それだけ。


「で、で、では、や、屋敷へ、はは」


 リュミエラの父のトムスが俺たちを屋敷へと招き入れる。

 明らかに先ほどの馬の消え方を見て、俺たちを屋敷へ招いたこと後悔している。顔だけでなく全身から汗を拭き出しながら俺たちの先を進む彼の足取りは、実に重い。


「ああリュミエラ……」

「お母さま!」

「よく無事で…………はう」

「お母さま!?」


 屋敷の中、部屋に行く途中で中年の女が現れ、俺を見て、ふらりと卒倒する。何だ? こいつの母親か。


「こ、こら、お前、恐ろしいなら屋敷の奥へ行っていろと……はは、どうも、無作法なもので……その、貴殿の御威光に、あてられたようで……はは……」

「気にしない。問題ない」


 男たちに支えられて、奥へと運ばれていく母親。

 見るなり卒倒か、初対面で俺を見るなり歌い出したり、あるいは聖水をぶちまけられるよりはよほど良い反応というやつだ。くくく。


「顔面凶器さん、ふふ」

「黙れ」


 俺を骨にした黒猫が悪い。諸悪の根源め。

 すぐに暖炉のある大部屋に俺たちは通され、勧められるまま木の椅子に座る。


「僕たちも、ここにいていいのでしょうか?」


 ユーザス少年がおずおずと屋敷の主に問いかける。


「おお、君らは娘を救いだしてくれた小さな英雄だ。私が君らにどれほど感謝しているかわかるだろうか。今日はワインも肉も大いに振る舞おう、腹がはちきれるまで食べていくとよい。あと、行かないで欲しい」

「肉!」

「こりゃ、アリセン、また拳を食らいたいのかの?」

「ご、ごめんなさい」


 肉の話に喰いつくアリセン少年を窘める老騎士。12か3、それぐらいの年の子供は聞き分けなどあるものか。……どうしたことだ、こんな程度のやり取りでも微笑ましいなどと思ってしまう。生ある者どもの営みが愛おしいなど。


「トムス様、僕らはほとんど何もしていませんが」

「それだ、何があった? 教えてくれ、いや、それでも君らが娘を助けに行ってくれた時にはどれほど勇気づけられたものだろうか。兵を集めている内にイングランド兵どもに囲まれてしまってからは、君らだけが心の頼りだったのだ、ゆえに、ここに居ていい、というか行くな」


 この場から逃がさんとばかりに迫る父親に負けて少年らも椅子に座る。ちらちらと俺を見ているトムスはまだ俺への対応を決めかねている様子だ。黒猫の奴がやりすぎたせいで俺たちを恐れているのだろう。だから子供らは巻き添えか? 不憫だな、文句は黒猫に言え。

 大きなテーブルを囲んで俺とトムス、老騎士ジェルマンが近く、少し離れてリュミエラとアリセン、ユーザスが座り、その横の椅子に黒猫が乗る。大丈夫か? 少年ら、いますぐソレから離れた方が良いのではないか? それはヤバいモノだ。


 食事の用意が出来るまでの間、しばし互いの見聞きしたことを教え合う。

 オルレアンの再来の聖女については、先ほど口にした以上の事はわからないと言う。今まさに情報を集めているところなので何か動きがあれば俺に教えてくれるとのこと。イングランドの囲みが消えたので止まっていた情報も集まるだろうと。

 ゆえに会話は主に広場での出来事と、あの状況に至るまでの経緯、あの日の夜のこと。それには俺の過去の行動も少なからず影響していた。


「娘が言うには、娘を攫ったのはアルマニャック派の貴族に雇われた者どもなのだそうで、ブルゴーニュに連なる私の家の派閥を変えるため脅迫して利用しようとしたのだと、そこに貴殿が現れて、颯爽と救っていただかれたわけで……」


 なんと、そうだったのか。俺も生前はイングランドと敵対してシャルル王を立てたアルマニャック派として動いていたので、あの時の俺は派閥仲間の連中の邪魔をしてしまった形になるらしい。


「ただ、貴殿は、その、ジャンヌ・ダルク……様のことを聖女とお呼びしたと聞いて、その、アルマニャック派では彼女の事は聖女と言っていたわけでして……」


 イングランド及びブルゴーニュ派の連中は彼女を魔女と呼び、アルマニャック派では彼女を聖女と呼ぶ。そこに現れたアルマニャックを攻撃してブルゴーニュの娘を救いだした骨の騎士、しかもジャンヌを聖女と呼ぶ骨の騎士がだ。それで混乱させてしまったらしい。

 すまんな。すべては俺が適当に動いた結果だ。

 もしあの時、彼らが生前の俺と同じ派閥の仲間だと答えていれば、その時の俺は、どう行動しただろうか? この骨の身体になってしばらく時間が経ってからは、もうどうでもいい事だと割り切っているが、あの時はそんなことなど考えてもいなかった、今とはまた違う結果が生まれていたかもしれない。


「貴殿に娘を奪われて町に戻ってきたアルマニャック派の連中は、地獄が溢れた、死者の軍勢が現れる、真の聖女を殺したせいだ、神が怒っている、などと吹聴してまわり、手あたり次第に火をつけたのです、その後のこのルーアンの町は、ただひたすらの混乱でした……」


 俺の様子を見ながら慎重に話すトムス。

 あの日のルーアンの町については黒猫が予想していた通りなのか。騒いだ奴がいて、騒動が次の騒動を巻き起こして、誰にも手が付けられなくなった。


「イングランド兵を纏めていた者は臆病者であったのでしょう、すべてを放り投げて町から逃げ出したほどです、そしてしばらくして、実際に派閥などに関係なくジャンヌ・ダルク様を聖女と呼ぶ存在が、死せる騎士である貴殿が、娘を助けて戻ってきた、町へとやって来た……」


 攫われた娘をただ流れのまま助けた、町に来て聖女を殺したのは何故かと住人に問いかけた、俺がやったのはそれだけだ。それだけのことで、ここまで大きな出来事になる。裏の事情を知っているか、知っていないか。勝手に騒いでいろと、突き放してよいものかどうか。


「地獄の悪魔か、それとも本物の怒れる天使か、貴殿の存在についてはそれはもう大いに意見が分かれて、その……混乱の最中、我が家と縁のある騎士ジェルマン殿が再びやってこられて、道中で件の話にある当の髑髏の騎士らしき者と会話をしたと聞き、ますます混乱をしてしまい……」


 俺と目が合った老騎士は軽く会釈する。

 あの時にはどんな会話をしていたか、最後の方ではとにかく眠かったというのを覚えている。


「あの時、顔を隠しておられた骨の御仁とは最後まで穏やかに会話できていたからの、人に害をなす無慈悲な悪魔だとはいえんのではないか、とは言ったのう。いやいや、この町に戻って確たる情報を集めるか、それともこのまま領地に行くかで、あの時は相当に迷いましたわい。結局、簡単な報告は他の者を使い、儂らはこの地で何が起きとるのかを深く知るために残りましのじゃ、そうこうしとるうちに……」


 ルーアンの町でジャンヌの処刑を見て、その報告で領地に戻る最中に出会ったのだったか。そして混乱にあるルーアンの町の様子を確認するため戻ってきたわけだ。さらにはここの家の娘の処刑騒動に巻き込まれて動けずにいたと。


「へー、三人は幼馴染なんだ」

「はい、黒猫……様」

「様とかいらないわよ、ただの猫だもの」

「……ただの猫というのは……いえ、はい、遠縁の者であり、幼い時より何度か顔を見ておりました。我が家の主家に当たる方に古くから仕えていらっしゃるジェルマン様に連れられて、この町にやって来て、久しぶりに会った時には見違えるほどでした」

「お、お嬢様も見違えるほどでした」

「おやおやアリセン君たら、顔を赤くしちゃってー、どうしちゃったのかなー?」

「あ、赤くなってないっ!」

「おやおや、おやおや、おーやおや」

「……からかわないでやってください、黒猫、さん、その馬鹿アリセンは馬鹿なので嘘がつけないんです」

「ユーザス! 俺は馬鹿じゃない!」

「呼びにくいならルルって呼んでいいわよ? ただのルルね」

「お、お嬢様も、俺は、別に、そういうんじゃないくて……」

「アリセン、あの時、本当にこれで最期かと思った時に、助けてくれて……助けようとしてくれてありがとう……飛び込んできてくれた時、私は、私は……」

「お嬢様……」

「おやぁ、お嬢様の方も満更ではない感じだったり?」

「ルルさん、二人の事はそっとしておいてあげて……」

「これはユーザス君も頑張らないとね?」

「な、なんで僕の話になるんです!? 僕は馬鹿アリセンと違ってお嬢様は、お嬢様であって……」

「いや、そっちじゃなく」

「そっちじゃないなら、どっちです……」

「俺は馬鹿じゃないからな!」


 汗をかき、緊張しながらも慎重に俺に話している父親トムスの横で、とんでもなく頭の悪い会話をしている。

 いいのか? 父親とジェルマン、止めんのか? こいつらの馬鹿な会話を止めるための拳ならばその黒猫の頭の上にでも降らせてやればいい。


「逃げ出したイングランドの兵が町に戻って来て娘を差し出すように要求してきました。どうも娘は町の住人の間では復活した魔女として噂されておるようです、いえ、聖女、聖女です、魔女と言うのはイングランドの奴等が言い出したことで……」


 爆炎と共に復活した魔女とか言われていたな。完全な巻き添えだが。


「混乱の続くルーアンの町で、頼りない私を支えてくれて、まだまだ子供なのに……」

「ほうほう、それで、親密な関係になったと?」

「し、親密とか! そういうんじゃないから! 子供じゃないし!」


 反発して子供じゃないというのは子供が良く使う言葉だな。


「それで我が家は完全にイングランドと敵対することになりました。確かにイングランドに協力するブルゴーニュ派であったことも事実でありますが、そ、そそ、その、聖女様の処刑、には、当家は、は、反対でありまして……」

「構わん、派閥も何も関係ない、気にせず話せ、俺はそういう者だ」


 死んで、復活して、そういう者になった。

 彼女は死んだ。殺されて、肉体を燃やされて、そして、彼女の魂は? ジャンヌ・ダルクの魂は今、どこにある?


「ルルさんの声って、あの焚き火の腹話術の時の声ですよね? どうやって声を出しているんですか? 猫、ですよね? 猫の喉で人の言葉が喋れるんです?」


 腹話術! 思いだした、黒猫の奴め、ふざけて俺を道化のような役回りにしてくれていたな。ユーザスに笑われたのも思い出したぞ。黒猫め、いつも俺を馬鹿にしおって、いつかまとめて返してくれる。


「とにかく情報を集めるために手を尽くしました、とはいえ出来ることは少なく、他の町の様子を探るのにもひたすら苦労を……」

「声は空気の振動、自由に空気を振動させることが出来るなら肉体の声帯も何も関係ないの、空気を振動させる方法なんていくらでもあるのよ?」

「声は空気の振動……」

「ちなみにこの肉体の声帯を使って声を出すなら『にゃぉ』こんな感じになるわ」

「あ、ちょっと違う」


 良いな貴様ら、自由で。


「逃げ出す者も多かったのですが、町に残った市民たちの間で聖女を処刑したイングランドへの非難の声が日に日に高まっていき、あちこちで小競り合い、いえ、殺し合いにまで発展していきました。しかし他の町からもやって来たのでしょうな、イングランド兵の数は増えていき、ついに隙を狙われて娘は奴等の手に……」

「鳴き声、可愛い……黒猫さん……あの、触っても良いでしょうか? 撫でても怒らない?」

「黒騎士殿! 娘はその黒猫殿に触れても良いものなのでしょうか!?」

「知らん! 俺に聞くな! 本人に聞け!」

「いいわよ、ふふ、綺麗にしているからね、平気よ、立派な毛並みでしょう?」

「ふ、ふあぁ」

「ちょ、お嬢様、近いっ!」


 父親の苦労をすこしはわかってやれ、娘。

 焦って顔を赤くするアリセン少年の身体越しに黒猫を撫でて悦に入る娘リュミエラの姿を見て、俺まで力が抜けてくる。

 黒猫、この町の話はどうでもいいのか? ああそうだな、そうだった、貴様にはどうでもいいことだったな。人の世に興味なし、こいつの頭の中の興味は自分が面白いかどうか、楽しいかどうか、それのみ。知っていた事だったわ。

 では、俺はどうする?

 ここで時間をかけて話を聞き、いくらかすっきりもしたが、それだけだ。やはりオルレアンのことが気になる。あの地では今何が起きている? あの地だけでなく、他の地でも。

 情報が集まるのを待ってはいられない、自分の足を動かして確かめに行くしかないか、そう思った時に大部屋の扉が開く。


「緊急の報告です! 市民が、市民が大勢集まっております! 屋敷を囲みはじめております!」


 勢いよく入ってきた男とともに、肉の焼けるいい匂いが扉の向こうから漂ってくる。


「市民が、か、彼らは、お嬢様を、聖女の……再来の聖女の姿を見たいと、そう言って続々と集まってきております。彼らの数がどれほどのものになるのかわかりません。どういたしましょうか?」

「なん……だと……」


 男の報告に唖然とした父親トムスが俺を見る。


「どうしたら良いでしょうか、黒騎士殿?」


 知らん。俺に、聞くな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=565701435&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ