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前話の最後辺り、気になった所をちょこっとだけ修正。話に影響なしです。
「……ぅ! ……っ!」
立ったまま、天を仰ぐ姿勢で。
上から下へと、天地の法則に従い落ちてくる、それを飲む。
誰憚らず、喉を鳴らして、それを嚥下する。
肩の上下の動きに合わせて揺れる、俺には存在しなかったはずの二つの胸の丘陵。そこに口の端から零れた水滴が落ちる。零れ落ちた水滴はローブを伝って、さらへ下へ。そんなことも構わず、呼吸も忘れ無心で水を嚥下する。
「……! ……! ……くはぁっ!!」
ただの水がどうしてここまで美味い。
「本当にただの水か、これは」
温泉に入る前に、ルルから水を飲んどけと言われて渡された、透明な柔らかい容器に入った透き通る水。入れ物は薄いガラスのようだが、俺の知るガラスではない。力を込めるとへこむ、不思議な透明な容器。
中に入っているのは本当にただの水らしいが、これがまた乾ききった砂地に水が染み込むように、勝手に全身の隅々に行きわたるような水だった。飲んだ瞬間に広がって満たされていく清涼なる水。ルルのことだ、それこそ生命の魔法が込められた神秘の水だの、癒しの奇跡が込められた聖水なんぞという代物であったとしても驚きはしない。
「何度目の確認かしら? 私の渡した物を疑いすぎー」
前科を思い出せ。
「よく冷えただけの普通の水だってば。よっぽど喉が渇いていたんでしょ。あっちで頂いた野菜スープもゆで豆も塩辛かったからねえ、喉が渇く原因」
甘い鉛毒入りワインもな。
黒猫から少女の姿へ。
ずっと猫の姿でいればいいのに、わざわざ人の姿に戻ってから先に全裸になって温泉に入っている。
上を向いて「あ゛~、生き返るわ~」なんぞと言って上機嫌だ。
残りの水も飲み干して空になった容器を地面に置く。
さて、温泉だ。
ある意味では気楽であった骨の姿の時と違って、今は女の姿。裸になる事に一瞬だけ躊躇したものの、何を馬鹿馬鹿しい考えをするのかと思い直し、太ももの場所に大胆な切れ込みが入ってしまった黒のローブと下着を脱いで全裸になる。
男だ、俺は。何を恥じらう。
そもそも、この女の体もルルが作ったものだからな。本当、何を今更躊躇する、だ。
むしろ気になるのはローブの方。次までに切れ込みは直っているんだろうな。ルルに確認した方がいいかもしれない。
地面から湧き出でる温泉の周りには多くの照明が配置され、夜の無人島の温泉を照らしている。木々に囲まれた岩場の温泉。
何やら物語の中に迷い込んでしまったかのようだ。夜の闇の漆黒の中、優し気な光に照らされ、ここだけ異質。聞いたことも見たこともないような不思議で幻想的な雰囲気を醸し出している。目を凝らせば、昇り立つ湯気と共に妖精が踊っていそうな感じだ。明かりの届かぬ木々の間の闇から、何かが覗いていそうな、そんな、舞台の一幕のような、雰囲気。
……物語の中に迷い込んだかのような気分なのも、今更か。
骨の姿で黒猫と出会った時から、ずっとそう。俺は今、物語の中にいる。
「……む。熱い」
慎重に。足の先からゆっくりと。
沢山の細かい針で肌を刺されるような感覚が、足先から太もも、腰から、上へ。
「あ、つ、う、……あ゛~」
「ぶふっ、出ちゃうよねえ、そういう声」
「…………」
しまった。俺としたことが。情けない声をあげてしまった。
顔が赤くなっていくのを自覚する。まぁ湯のせいだろう。
胸が湯に隠れるまで浸かり、今度は慎重に息を吸い、吐く。
しかし、どうだ。温泉なんぞと馬鹿にしていたが、これは……
「存外に気持ち良いものだな……」
「ふふ」
骨の姿で入った時とは違う。こんな感覚を得るのも生身の体であることが原因か。
最初は熱いと感じたが、慣れるとそこまで熱くない。再び深く呼吸。立ち昇る湯気と独特な匂い。全身を包む湯の感触が、なんとも心地よい。温泉を楽しむ者の気持ちも、少しわかった。
首を曲げ空を見上げると、ちょうど満天の星の隙間を、流れ星が過ぎていった。
奇跡。
何もかもが、奇跡ではないのか。
この世界全て。ここに俺がいること。全部。
両手で湯を掬い、零れ落ちるのを見守る。そこに残された手は、白く、頼りなく、傷の一つも、汚れの一つもない、そんな俺の手。若い女の、誰かの手。
「不思議だ。何もかもが、不思議だ。この世は、不思議で満ちている」
何もかもが不思議で、何もかもが当たり前の顔をしてそこにある。
黒猫のルルと出会って以降、凄まじい速度で時間が過ぎていった。息つく暇もなく、駆けていた。
ルルを見る。
奴は温泉に浸かって静かだが、よくよく耳をすますと鼻歌を歌っている。聞き取れないが、俺の知らない歌だと思う。俺の知らない事を知る、未だ謎の存在。
奴に聞きたい事は星の数ほど。
なのに、どうしたことか。今のこの瞬間は、何一つとして思い浮かばない。
聞けば何かしらの答えが返ってくるだろう。いつものように。それが俺には理解のしかねる難解なものだったとしても。だから、今は、良しとしよう。
互いに無言の時間が過ぎる。そんな時間も、悪くない。
肩まで浸かり、息を吐く。
思い出す。記憶を辿り、思い出していく。出会った時の事。それ以降の事。ルーアンでの事。パリでの事。そして、あの記憶……
ルルと出会わなかった世界での俺が辿った冒涜な人生と、その末路。
知らなくてもいい、そう言われても知りたがった、その記憶。それを思い出す時、どうしても胃の辺りが重くなる。臓腑を掴まれたように、苦しくなる。
あの記憶が……記憶の中のあの男が問いかけてくるようだ。『貴様はそんな所で呑気にしていていいのか?』……そう、問いかけてくる。
状況が揃えば、俺もあの男の様になるのか?
邪悪な魂をこの身に孕んだ俺は、ここにいていいのか?
ラ・イル。
受けなくてもいい決闘を受けて、俺の都合を押し付けて、奴に終わりを突き付けたかった理由の一つは、俺も終わらなくてはいけないのではないかと思ったからだ。
俺というのは本来、人の言葉を喋る黒猫に出会った時にはもう何もかもが終わっていたのだ。終わった後だったのだ。いざ、何かの物語が始まらんとすら思ったが、その時点で俺は、終わっていた。ジャンヌを救えなかった俺は、未来の俺に殺されて、すべてが完全に終わっていた。あの日以降の事は、これが物語ならば、その後の顛末だの、無用な付け足しだのと言われるような部分ではないのか。さして必要のない、碌でもない男の物語の、その死の後のどうでもいい物語……
終わった者が……死者が……いつまでも生者の世界にいては、騒動の元となるだけ……
この世に在り続けることは、卑怯だろうか……
いや、死者は絶対に蘇らないのだとか……俺は俺として生まれたのだと……
ならば俺は……俺という存在は……
幸福を望むのは……
物語には、終わりが必要だ……
…………
……
「おぶあっ!? なんだっ!?」
寝そうになっていたのか?
口元が湯に付いたせいで、目が覚めた。
顔面から滴る水。そこに容赦のない笑いを浴びせてくる少女。ルル。
「あはははは! 温泉で気持ち良くなって寝るとか! 子供か! あははは!」
「……おのれ」
失態だ。取り繕い様もないほどの失態だ。油断しすぎだ、俺は。
顔を手で拭い、頭を振って眠気を追い出す。飛び散る雫すら恨めしい。
「黒騎士さんの人生だし黒騎士さんの命だから好きに使ってくれていいけど、温泉で溺死するのとかはやめてね。せっかくの命をちょとした笑いと引き換えにするのはもったいないでしょ」
「笑うでないわ」
死にかけたんだぞ、こっちは。
――死んだのに、生きている。それは許されることなのか?
「色々とあったし、疲れてるんでしょ。ご飯を食べてぐっすりと寝るといいわ」
「睡眠とは記憶の整理、だったか?」
「そうね、記憶に関してはね。今日は肉体疲労もあるんじゃない?」
細い腕を見る。
筋肉が足らない。剣を振るのもやっとでは、やはり女の身体は戦いには向いていないのだ。
「骨の姿の時にも睡魔には困らされた。この体であっても同じく、か。まったく。生きているだけで睡眠を取らねばならんとか、人は重大な欠陥を抱えているんじゃないのか? それこそ神とやらがいて、この体を全部最初から作ったと言い張るのなら、これは神の奴に文句を言うべき案件だろう。おお神よ、なぜ人に面倒な睡眠なんぞという機能をつけたんだ、と、余計なものをつけるんじゃない、と」
「ふふ、逆の考えもある」
「逆?」
俺の軽口を受けて、湯の中を泳ぐようにして近づいてくるルル。
「そう。人がいて、そこに睡眠機能を付け足した、ではなく、最初は寝ていた、寝ているだけだった、という考え方」
「ふん、ずっと寝ていては、飯も食えんだろうが」
「そう、それ。いい着眼点よ。植物ってさ、あれ、寝ていると思う? それとも起きている?」
「あん?」
ルルの視線の先には照明を受けた木々。わずかな風が静かに葉を揺らす。
「親の親をずっと辿っていくとお猿さんになるって話はしたっけ? さらにもっとずーっと辿っていくと、植物になるのよ。人は、植物の子供なの」
「……はあ? それ、本当の事か?」
しまった、つい語気が強くなってしまった。
悪い冗談にしか思えない。聞く者が聞けば、それだけで激高して襲い掛かってくる類の。
あからさまに疑っている態度の俺を無視して少女は続ける。
「植物は動き回って食べ物を得るなんて行動はしない。これはまぁ寝ていると言っていい状態なんじゃないかしら。成長の為の栄養も、そこにある環境から受けるだけ。受け身。受動的。けど、ある時を境に、動き回って積極的に栄養を探す種が出てきた」
……この話も難しくなりそうだ。今は頭を働かせたくないのに。
「正しい、でも、高等、でもない。有利も不利も、環境次第。楽ばかりじゃないのは当然。本来あるべき姿から無理をして、理を無視して、無かった事にして、そう、在る。それって結構大変なことよね。息を止めて水中に潜るような、そんな挑戦。それが後の動物に繋がる生命。覚醒するという機能を獲得した、最初の生命。私たちの祖先が踏み出した、最初の一歩。植物が先で、動物が後。寝ているが先で、起きているが後」
これがルルの作り話かどうかを判断するための知識もない。ならばそういう物語もあるのかという気楽な気持ちで聞くのが正しい姿勢というものか。
「寝ている時こそ、人は本来の生命の姿に帰る」
ふあ~、と。
喉の奥まで見えそうなほど口を開いてあくびをするルル。釣られて俺まであくびが出そうになる。
「だからまぁ、人ってもう少し、だらだら生きてもいいんじゃない? ゆっくりと、のんびりと」
「どんな着地点だ。怠けたいだけの言い訳に聞こえるぞ」
「ふふ」
どんな学問的で高尚な話になるかと身構えたが、大した事のない話だった。ただの雑談だった。
植物と動物。
ずっと寝ているというのは、どういう状態だ。
ずっと寝ているのは、ずっと死んでいるのと、何が違う。
人は死んだ後も、夢を見るのだろうか。
ならば今の俺は夢の中なのか。
まだ生きているという、死者の見る夢……
「生と、死か……」
生きていた。それは確かだ。死んだ。それも確かで、今、生きている。それすらも確かで……
「わからん」
お手上げだ。何もかもが不思議で、ルルという存在が不思議で、それでいて俺という存在が一番、不思議だ。
「ルル」
「なあに、黒騎士さん?」
「この世界は、何のために存在する? 人は何のために存在する?」
「…………」
「……俺の生まれた意味……俺はどうして、この世に生まれ、ここにいる?」
この世界は神が創り、人は善なる神の為にあると教えられて、そうではないようだと気がついて、気がつかされて、それでも残る疑問。
この世界は、どうして。
一瞬だけ真顔であったルルは、しかしすぐに口の端を上げて笑う。楽し気に。
「く、くく……ふふ……あはは、子供だ、子供がいる……ふふふ」
「…………」
笑うルルの顔面に手元の湯を掬いぶっかけてやろうかと思ったがやめる。どうせ何十倍にもなって返ってくるだけだろうから。
それでも俺の怒気の籠った視線を受けて、ルルは謝罪する。
「ごめんごめん、笑っちゃ悪かったわね。真面目な話。ふふ。そうね。答えないとね。ええと、うん、その答えは、私の中には存在しない。それが答えよ」
「ふん、そりゃ当然、知らないこともあるよな、貴様でも」
「ちょっと違う。知らないではなく、存在しないということ。そして、他の誰かでも答えることは出来ない」
「?」
口の端を上げて笑ってはいるが、俺を馬鹿にしているようには見えない。
「というと?」
「それは君の中にしか存在しないという事」
「あー……ん?」
「では、よくわかっていないっぽい悩める子羊、っぽくはないわねえ。黒騎士さんは子羊って感じじゃない。ええと、黒羊? あれ、ちょっと邪悪な成分が入ったっぽい。なんか君に合ってる感じがして笑える」
「ええい、俺の感じなどどうでもいいわ、そもそも羊に例えるな!」
聖職者どもの人を羊扱いする説教なんかも不愉快だったのだ。偉そうに。
「それは君が答えを見つけるものなんだよ、って、それだけじゃ何だから、答えに至るためのヒントをば。……それもね、逆なのよ」
「また逆か……」
逆だらけだな。何が逆なのか。
「生み出されたと言うのなら、生み出した者がいる。普通は親よね。お父さんとお母さんが、せっせと頑張って子供をこしらえる。それはあるいはすべてを含めた環境とか時代とか言い換えてもいいし、なんなら全知全能の神様とか登場させちゃってもいいよ。そういう意味での”生まれた意味”なら考えなくていいから」
「考えなくていい?」
「そ。それで出てくるのは生み出した者の理屈であって、願望であって、欲望であって、生み出された者の理屈じゃない。だから考えなくていい。聞いて参考にするならするでいいけど、まぁ無視して構わない。その程度」
「…………」
親を敬え。祖先を敬え。神を敬え。そういう言葉は死ぬほど聞いた。それは疑問を持つことすら許されない絶対の教え。だが、ルルの語る……あるいは騙る言葉には、そういうものは含まれない。
「おぎゃあと生まれた時に、親から必要な物は受け継いでいるって話はしたと思うけど覚えてる?」
「あー、そうだな。免疫システムだったか、あれも結局そういうものの話だったか」
「そう。勝手に心臓は鼓動し、寝ている時にも呼吸してとか、そういうもの。それと後は自由に書き込める真っ白な領域。環境の変化に対応するために、わざと曖昧にして、適当なものを書きこめるようにした、学習を司る領域。頭の中の、紙と筆記具」
自分のこめかみを指差して少しだけ首を傾げるルル。
「そういえば紙ってまだ普及してなかったわね、じゃあ、羊皮紙。羊皮紙と筆記具」
「どっちでもいい。樹皮から作る紙も知っているぞ。すぐに破れる羊皮紙の劣化品だ」
「へぇ、粗悪品扱いなのね、おっと話が脱線した」
本なり公文書なりでは必ず羊皮紙が使われるが、ルルの話しぶりでは樹皮の紙はこれから扱いが違ってくるのだろうか。どうでもいい。
「ところで黒騎士さん、君の、ええと前世の話だけど、君は両親の元でおぎゃあと生まれた時、即座に立ち上がって”我思う、この世に生を受けた理由を探さん”なんて喋ったりする赤ん坊だったかしら?」
「できるかそんなもん!」
「うわっぷ!」
ついやってしまった。片手でお湯を掬ってかけてしまった。反撃はない。
というか、生まれてすぐに立ち上がる赤ん坊とか、いるかそんな気色の悪い赤ん坊。
「でしょうね。だから、最初は無いのよ。そんな疑問も」
「当たり前だ。そういうことを考えるのは、もっと成長してからで……」
「生まれたのが先で、疑問を持ち始めるのが後」
濡れた髪をかき上げて俺に近づき笑いかけてくる。
恐いぞ。仕返しされるのか?
「個々人の”生まれた意味”が他人に答えられない理由は、それ。成長の中、色々な経験をして人は自分独自の考えを持つ。一人として同じ経験を持つ人間はいない。だから答えも違う。違って当然。人という生き物は、そこにあるのが先で、考えるのが後。これは大前提として覚えておいて」
少女はさらに俺に近づいてくる。
「人は人の器を越える疑問を持つことは出来ないわ。頭の中の羊皮紙に書き込める量にも限界はある。だから書いたり消したりして、結構必死にやりくりをする。いい? 用心して聞いて」
そう、声を潜めて。
「自分の生まれた意味は、自分で決めていい。それは人に許された自由。他人と答えを共有するのもいい。それも自由。人の身の丈に余る世界すべての意味を、君は好きなように決めていい。定義づけて、結論づけていい。けど、忘れないで、それは人の頭の中のちっぽけな羊皮紙に書き込まれた落書きから出てきた結論であるってことを、ちゃあんと知っておいて」
そう言って、俺の前で立ち上がる。
俺を見下ろす少女の黒瞳は、再び人をおちょくるようなものに変わっていた。
「人の頭の中は自由、だからこそ常に曖昧、刻刻と変化するものだから、その瞬間には決定版! みたいにして出てきた結論も、結構ころころと変わるわよ? ……そろそろ上がりましょう。お腹すいたし」
気がつけば。
体は芯から熱くなっていた。全身から噴き出す汗は、何を意味するものだろう。とりあえず仕返しはされなかった。
どうやら俺は俺自身を否定しかかっていたらしい。
そんな俺の心を見透かしたとでもいうのだろうか、ルルの言葉は、俺ごときの考えなど、所詮、落書きから生まれたようなものだと、否定を否定するかのような、結論を急ぐなと言わんばかりのものだった。
「……とは、考えすぎだ。馬鹿馬鹿しい。やはり頭は休ませないと駄目だな」
続いて俺も立ち上がり、温泉から出て岩場に立つ。
柔らかな風が火照った身体に心地よい。
「はいタオル」
「タオル? おお、すまん」
「まぁ黒騎士さんの生まれた意味、意義ならもう決まってるんだけどね。猫愛し係」
「まだひっぱるか……」
「ずっとひっぱるわよ。ああ、そうだ、晩御飯のメニューを決めた。海鮮バーベキュー」
肌ざわりが極上のタオルを渡され、拭きながら聞き返す。
「海鮮バーベキュー?」
「猫さんのことを考えていたら、なんだかタコとかイカとかエビとか貝とか食べたくなっちゃった。海鮮は猫の大好物だし」
「ほう、猫が喜ぶのか?」
「そう。すごく喜ぶ。魚介の多くは猫さんにとっては、毒、なんだけどね」
ルルは白いタオルで頭を拭きながら、そう、笑う。
おい。大丈夫か、それ。




