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11 極上バスト5人分

11 極上バスト5人分


 学園のビーチには、この学園始まって以来、いやこの世界のどこにおいても見ることができないような風景が広がっていた。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?!?」


 股間を握り潰されるあまりブッ倒れ、転がり回って悶絶する少年たち。


「いやぁぁぁぁぁぁーーーーーーんっ!!!!!」


 胸をもみしだかれるあまり腰砕けになり、ぺたんと座り込んで身悶えする少女たち。

 少女たちのバストには青い手がしっかりと食い込んでおり、しかも幽体のため外すこともできない。


 彼女たちが抵抗できないことをいいことに、青い手はすっかり調子づいている。

 量感を強調するように根元を掴んでムニッと浮き上がらせたり、弾力を強調するようにぷるぷると揺らしてみせたり、いいようにこねくり回していた。

 そのたびに少女たちは「あんっ!」と白い背筋をのけぞらせている。


 とうとう水着からは、白い餅のような物体がこぼれ出さんばかりになっていた。


 右手は地獄、左手は天国のような光景。

 それらを司る中心、まさに煉獄のような場所に立っていたのは……。


 あの(・・)、クール&セクシーっ……!


 ケントはふたつの手だけで大勢の少年少女を手玉にとり、まさにこの場を支配していた。

 周囲を取り囲む観衆の生徒たちが、口々にざわめく。


「な、なんだ、アイツ……!?」


「王子のジャガノート様を痛めつけながら、クノイチたちの胸を揉みまくってるだなんて……!」


「しかもあの数を相手に、たったひとりで……!」


「好き勝手するにも程があるだろ……! 山賊どころじゃねぇ、ハーレム王かよ……!?」


 ビーチの話題を一瞬にしてかっさらってしまった少年は、なおも不動のまま。

 眉ひとつ動かさずクノイチたちを見下ろしている様は、まさに王者の風格。


 そしてその内心は、年相応の驚嘆に満ちていた。



 ――女性の胸というのは、こんなにも柔らかいものだったのか……!

 クノイチたちにとっての最終兵器と呼ばれている理由が、理解できた気がする……!



 しかも極上バストのクノイチ5人分ともなれば、手のひらに生まれる感触は究極であった。

 ケントはこのまま触り続けるのも悪くないと思ったが、とうとう右手側の男たちが泡を吹いて気絶してしまう。


「ちょっとやりすぎてしまったか」


 ケントは反省の色があまり無さそうなつぶやきとともに、男たちのほうへと歩いていく。

 殺虫剤をかけられたゴキブリのようにピクピクと痙攣しているジャガノートの頭を、ガッと踏みつけた。


「なっ!?」と観衆に驚愕が走る。


 国によっては、王が描かれた絵画に足を乗せるだけでも重罪に処せられる。

 この学園にいるのはあくまで候補生ではあるが、未来の王を足蹴にするとは大胆不敵にも程があるといえよう。


 しかしケントはまさに山賊のような無礼さで、ジャガノートの頬を靴底で踏みにじったまま、頭にあった旗をズボッと引き抜く。

 唖然とする観衆に見守られたまま、今度はクノイチたちのほうに足を向けた。


 ケントはグスグスと泣いているユズリハの前にしゃがみこむと、その頭を撫でてやる。

 顔をあげたユズリハは戸惑いのあまり、泣き濡れた瞳を点のようにしていた。


 無理もない。

 胸をモミモミされながら頭をナデナデされるという、わけのわからない事をされているのだから。


「あ、あの……」


「すまない」とケント。


「本当はその青い手で、キミたちの背後にあるフラッグを取るつもりだったんだ。

 でもまだうまくコントロールできなくて、ちょっと手が滑ってしまった。

 もう少ししたら効果が切れるから、それまでガマンしてほしい。

 そのかわりというわけではないが、これを進呈しよう」


 差し出されたものに、ユズリハの混乱はさらに加速する。

 まるで指輪でも贈られたかのように、点になった目をぱちぱちと点滅させていた。


「えっ……? こ、これはフラッグ、です……? それも、2本……?」


「そうだ。僕のチームと、ジャガノートのチームのものだ。

 これでこの勝負は、キミのチームの勝ちというわけだ」


「で、でもでも……これで、勝ったことになるのですか……?」


 ケントは「なるだろう?」と観衆のほうに顔を向ける。

 そこには腕組みをして観戦していた、黒鬼党の女頭領がいた。


 ケントは、オイランめいたクノイチたちのボスを見上げ、メガネのフレームに手を添えながら続ける。


「クノイチというのは戦闘力だけでなく、色香で男を惑わして操り、任務を達成するのだろう?

 僕はユズリハの魅力にすっかりやられてしまったから、フラッグを進呈した。

 ユズリハは将来、立派なクノイチになる。このまま破門にするのは惜しいと、頭領も思っていたのだろう?」


 レンズで拡大された、すべてを見通すような眼光が、バラ色のブラを紙背のように射貫く。

 頭領は少し驚いたように桜色の瞼を持ち上げていたが、やがて紅の引かれた唇でニッと片笑んだ。


「ふぅん……。どうやら、一本取られちまったみたいだねぇ。

 まさか山賊から情けをかけられるとは思ってもみなかったよ」


 彼女はサッと手を挙げ、艶のある声で宣言した。


「この勝負、ユズリハチームの勝利! だねぇ。

 ユズリハはこの瞬間を持って、黒鬼党の見習いニンジャから、中忍に昇格! だよぉ」


 ニンジャの組織には、頭領・上忍・中忍・下忍・見習いの5階級が存在する。

 基本は1ランクずつの昇格で、2ランクアップというのは異例中の異例といえた。


 まさかのシンデレラストーリーに、慌てたのはイジワルな先輩クノイチたちであった。

 ニンジャには年齢など関係なく、1階級でも上の相手には絶対服従という掟がある。

 いまだ見習いの彼女たちにとっては、2階級上の中忍ともなれば神も同然であった。


 ユズリハの足をずっと引っ張っていた彼女たちは、スライディング土下座でユズリハのまわりにひれ伏す。


「ゆ……ユズリハ様! 中忍昇格おめでとうございます! これから一生ユズリハ様についていきます!」


「私はユズリハ様ほどのお方が見習いだったのが、ずっとおかしいと思っていたのです!」


「あ、でもこの子はわざとヘマをして、ユズリハ様を失敗させようとしてたんですよ!」


「ちょ、なに言うの!? それはあなたのことでしょう!? ユズリハ様、こんなヤツの言うことを聞く必要はありません!」


 しかし当のユズリハは、フラッグを握り閉めたまま真っ白になっていた。


「う……うそ、です……? ゆ……ユズが……ちゅ……中忍に……?」


 夢見るような瞳のユズリハの頭を、ケントはやさしく撫でてやる。


「うそではない。キミの努力が実を結んだのだ。

 キミはニンジャになるために、今まで一生懸命努力してきたのだろう?

 準備運動の体さばきを見れば、ひと目でわかる。

 よかったな、ユズリハ」


 するとユズリハの潤んだ瞳が、さらに溺れんばかりの涙であふれてくる。

 ユズリハはその泣き顔を隠すかのように、ケントに抱きついてきた。


「ゆ、ユズは幼い頃からニンジャになるのが夢で、ずっと、ずっとがんばってきたんです!

 でもでも、ユズは本番だとあがってしまって、試験ではいつもビリで……!

 このままニンジャになれなくて、破門になっちゃうんじゃないかって!

 そしたらおばあちゃんも悲しむだろうって、不安で不安で、昨日はぜんぜん眠れなかったのです!

 でもでも、でもでもっ……! ケントさんのおかげです! ありがとうございますです!

 ううっ……! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーんっ!!」


 ケントの胸のなかで、ユズリハはとうとう号泣する。

 ケントはよしよしと、いつまでもいつまでも彼女をナデナデモミモミしていた。


 そしてその傍らでは、自分のチームのフラッグをへし折るほどに怒り心頭のシトロンが。


「女の子を慰めるフリして、胸を触り続けるだなんて……! さ……最低っ!

 あ、あんな人、カニに挟まれちゃえばいいのよ……!」


 その願いは半分だけ叶えられる。

 気絶していたジャガノートがカニに股間を挟まれ、「はぁんぎゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!?!?」と飛び起きていた。

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