もっと待て
「オロロロロロロロ…」ビチャビチャビチャ
トイレに篭って30分のこの男『ゴンゾー』は探検家である。
「だからまだ早いっつったろ…火が通るまで待てっつーのに…」
ドアの前に立つ彼女は『キッカ』、同じく探検家。
「あんまりにも美味そうだし腹も限界だったもんでよ…すまねオロロロロロロロロロ」
「それで吐いてちゃ世話ないよ!逆効果じゃないのさ…」
12分後
「あ"〜気分悪りぃけどスッキリ……」
「コレに懲りたらもう生焼けトカゲ食うんじゃない!」
「イエッサー…」
目に見えてもう可哀想なぐらいシナシナになったゴンゾーを介抱しつつ怒鳴るキッカ。お察しの通りよくある光景である。
「にしてもアンタ燃費悪いわねぇ、もっとさぁこう落ち着きってもんを…」
「いやぁ昔鳥に食べ物掻っ攫われすぎてちょっと身体がもうね、待てねぇんすわ…」
「ンな野生動物みたいな…」
『分解!』
ゴンゾーの声をきっかけに音もなく崩れ去るトイレ、もちろん土に還る消臭素材である
「はぁーいつ見てもコレ見事なもんだねぇ…せっかちのアンタがこうも使用に耐えるトイレを造形できるたぁね…」
「そりゃ嫌でも上手くなるってもんだろ…」
ゴンゾーの造形魔法は本来丁寧に作るものほどモノの質が良い、だがトイレに関しては使用頻度がズバ抜けている上に必要性が高すぎるため熟練の職人を上回ってしまった。あまり褒められた理由ではない。
「まぁアンタとりあえずこれでも食っときな、アタシはもう普通にゆっくり食事取ったから遠慮せず腹に入れとけよ?」
「恩に着ます…」
キッカが取り出したスティックは穀物類とサプリメントを混合したものであり、カンキツ味は胃腸に良い成分寄りの配合である。価格150ナサ。
「その性格直しゃあもっと飯美味く食えるモンだけどねぇ…」