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その5 呪屍竜

 ステアとグラムが、呪屍竜(カースドドラゴン)と死闘を繰り広げる様は、圧巻の一言に尽きた。

 そもそもが、第六位階という伝説の魔物同士の殺し合いである。お伽噺ですら有り得ないだろう展開に、俺は正気を保つので精一杯だ。

 グラムにしても、第五位階相当だという。戦闘職として、バリバリに魔物を討伐して活躍している猛者達でさえ、生涯を通して一度も遭遇することはないというのが常識の位階である。ていうか、こんな化け物と頻繁に遭遇するような世界で、人類社会が成り立つはずもない。


「――」


 カースドラゴンが振り回す腕を掻い潜り、擦れ違うようにしてグラムが横腹を斬りつけた。

 その斬撃はドラゴン特有の硬い鱗に阻まれ、大した傷を与えられないで終わるが、決して効いていないわけではない。浅くだが、確かにダメージを与えている。

 第五位階相当でも、第六位階に歯が立たないわけではないようだ。


「天穿ツ黒キ焔槍」


 そして、グラムに遅れじとステアの深淵魔法が放たれる。

 燃え盛る漆黒の炎が槍を象り、標的に向けて飛翔した。

 弩砲を大きく上回る炎の塊が、無数に。それらが音すら置き去りにして、一斉に呪屍竜へと突き刺さる。

 衝撃に次ぐ衝撃。連鎖する爆音。人類の魔術が生み出す炎とは比較する気にもならない圧倒的な熱量と破壊力。

 たった一発で、城壁すら消し飛ばすであろう規格外の神秘。

 腹の底まで震える振動を次々と生み出しながら、黒い炎が屍竜の肉体を覆い尽くし、骨の髄まで焼き滅ぼさんと牙を剥く。

 人類が扱う攻撃系の魔術とは根本的に異なる、圧倒的な暴力の顕現だった。


「――!!」


 鱗が弾け飛び、肉を抉られ、焼き尽くされる。仮にも不死系故に、痛みを感じるのかは疑わしいが、少なくとも愉快な気分でないのは間違いない。ステアの容赦無い攻撃に、カースドドラゴンが喉を震わせて絶叫した。

 そこへ、抉られた肉をさらに削り取るべく、グラムの鉈が閃いた。

 ギザギザの刃が呪屍竜の肉を無慈悲に刮ぎ取っていく。ドス黒い血が辺り一面に飛び散った。

 硬い鱗さえ取っ払ってしまえば、グラムの攻撃でも肉を引き裂くのは容易らしい。


 漆黒の爆炎が晴れると、そこには全身から夥しい量の血を撒き散らすカースドドラゴンが。しかし、抉れた肉がボコボコと膨れ上がったと思いきや、瞬く間に傷口が修復されていく。気が付けば、最初に遭遇した時と全く変わらない姿で、俺達を睥睨していた。


 次はこちらの番だと言わんばかりに、カースドドラゴンが太い後脚で立ち上がる。そのまま、己の足元に向けて紫色の炎を落とした。

 ぞわりと全身が総毛立つ。脳裏で、命の危機を訴える警鐘が全力で鳴り響いた。

 不死の存在であるはずのグラムですら身の危険を感じたのか、一気に後方へと飛び退るほどの殺意。


「――わたしの傍から離れないように」


 つまらなそうな表情でステアが左手を翳した。どうやら魔力を集中させているらしい。

 カースドドラゴンの、あの肌が灼け爛れんばかりの凶悪な魔力を前にして、微塵も動揺をみせないとは……。

 ステアの前方に、微かな揺らぎを見せる黒い障壁が出現すると同時に、どろりと形容し難いうねりを伴って、恐ろしい紫炎が俺ごとステアを飲み込んだ。


「触れた者を永劫に蝕む呪いの炎だよ。こいつに触れたら最後、如何なる奇跡をもってしても、決して癒せぬ火傷を負う。努、気をつけるように――とはいえ、呪いの炎に焼かれて生き残る者など、そうはいないがね」


 呪われた紫炎の津波を押し返す、黒い壁。涼しい顔を崩さないステアの何と頼もしいことよ。ふとグラムが気になり、視線を巡らせてみれば、いつの間にか尾の方に回り込んでいた。

 グラムは尾から背筋へと器用に駆け上がっていく。そこでようやく自身の背を駆けていく存在に気が付いたカースドドラゴンが、身体を震わせて振り落そうとして、


「――させると思うかい? 腸裂ク赤キ双鎌」


 湿っぽい音を立てて、2振りの真っ赤な血の鎌が屍竜の胸を引き裂いた。

 内臓まで達する裂傷に、苦鳴をあげるカースドドラゴン。その間に、グラムは仁王立ちするドラゴンの額まで軽業師の如く跳ねるように駆け登る。何をするつもりかと息を呑む暇もなく、えげつない刃の鉈がカースドドラゴンの左目へと吸い込まれていった。


「――ッッ!!」


 血を吐くような絶叫が、ビリビリと広大な空間を震わせる。華麗な着地でステアの隣に降り立ったグラム。その左手に所持していたはずの鉈がない。まさかと思い、カースドドラゴンの左目を見れば、鉈が突き立ったまま残されていた。

 あれでは満足な再生など望めまい。カースドドラゴンに不利な死角ができたといえる。グラムのお手柄だ。


「ふむ……第五位階相当の分際で、中々やるじゃないか。流石はわたしの下僕だ」

「……」


 柔らかい笑みを浮かべるステア。グラムは無言だが、主人に褒められて嬉しいのか、ぶるっと僅かに身を震わせた。

 そこへ、怒り狂ったカースドドラゴンの咆哮が轟いた。あまりの声量に鼓膜が痛みを訴える。咄嗟に耳を塞いで庇ったが、少々遅かったらしく、耳鳴りが酷い。


「……煩いトカゲだな」


 耳障りな鳴き声が気に障ったのか、ステアが先程の黒い炎の槍を再び撃ち放つ。爆炎がカースドドラゴンを飲み込み、蠢く炎の奥から悲鳴が漏れ聞こえた。

 燃え盛る黒炎の隙間から覗く、憎悪に染まった屍竜の真っ赤な双眸。そのすぐ下。丁度、口があるはずの箇所から、見る者の怖気を誘う、悍ましい滅紫の光を垣間見た気がした。


「――ッ!?」


 一瞬 、心臓に針を刺されたのかと錯覚してしまった。それ程までに強い『心眼』の警告。

 俺の前にはステアが陣取っているにも関わらず、それを貫いて危機を訴えてくるアビリティ。これまで幾度も命を救ってくれた心眼の発動を察し、俺は脊髄反射にも似た速さでステアを抱き締めると、全力でグラムを蹴り飛ばし、その反動を利用して自分が立っていた場所から離脱した。


 音もなく、紫の閃光が脇を通り過ぎていく。呪いという概念を極限まで煮詰めた、悪夢の息吹。ドラゴンブレス。

 視界がモノクロに染まり、時間の流れが停滞していく中で、驚愕に目を丸くするステア、蒸発していく黒い障壁、半身を溶かされるグラムの姿が瞳に飛び込んできた。


「くっおぉっ――」


 掠りでもしたら取り返しのつかないことになる恐怖が先立ち、意味も無く焦りが募っていく。身体を必死に丸めて光線を凌いだ後は、受身すら取れずに地面を転がった。


 背中に鈍い痛みが奔り、肺から空気が叩き出されるが、無視して体勢を立て直す。


「――天光砕ク災禍ノ劔ッ!」


 俺の腕の中で、ステアが鋭く叫ぶ。

 深淵の魔力が凝縮し、カースドドラゴンの影から極大の黒い剣が生まれ、その身を刺し貫いた。

 腹の下から突き上げられ、剣を引き抜くこともできず、ジタバタと暴れ出す。

 あの様子なら、暫く時間を稼げるに違いない。


「君……何故……わたしを……」


 ステアが呆然とした顔で俺を見つめるが、いちいち構っている暇はない。


「何故もなにも、ここであんたが殺られたら、俺もお終いだっての」


 実際、それ以上でもそれ以下でもないのだ。俺1人ではカースドドラゴンに太刀打ちできない以上、無二の戦力であるステアを失うわけにはいかなかった。

 グラムの方は……死んではいない、というのは不死に相応しい言葉とも思えないが、少なくとも滅ぼされたわけではないらしい。ただ、右半身をグズグズに溶かされて、地に膝をついている。あれでは、戦闘続行どころか、まともに動くことすらできないだろう。俺が咄嗟に蹴飛ばさなければ、そのまま消滅していたかもしれない。

 地面が超高熱を帯びて、ぐずぐずに抉り溶かされている光景を目の当たりにし、背筋に冷たいものが流れる。


「……一応、礼を言っておこう。あの程度のブレスで滅ぼされるわたしではないが、直撃を受ければ、体力と魔力の消耗は避けられなかったからね」

「しっかり頼むぞ。あんただけが頼りなんだから」

「心得ているさ――もう無様は晒さない」


 俺からそっと離れたステアが、こちらに掌を向けた。


「凍テツク黒燼ノ鎧――卑賤ナル陰ノ衣」

「……これは?」


 俺のローブに深淵の魔力が纏わりつき、まるでローブの形をした黒い炎を羽織っているような有り様になってしまった。

 さらには、周囲の影に溶け込むようにして、俺の身体の輪郭がぼやけているようだ。腕越しに周囲の景色が透過して見えるようになっている。まるで透明人間だな。


「グラムもやられたし、少し本気を出そうかと。というわけで、君の身を護る魔法と、姿を隠す魔法を掛けておいた」


 しれっと言い放つステア。どうやら、俺の傍を離れて暴れるつもりらしい。


「『凍テツク黒燼ノ鎧』には物理防御力と魔法抵抗力の上昇効果に加えて、身体能力を向上させる恩恵がある。『卑賤ナル陰ノ衣』は対象の視覚的な透明化、匂い、熱量、魔力を隠蔽する魔法さ」

「たった2つの魔法で、これだけの効果(バフ)が……」


 凍テツク黒燼ノ鎧は、人類でいえば神官(プリースト)の上級職のうちの1つ、ビショップが扱う補助系の神聖魔術であるプロテクション、リフレクション、ラウズボディが一纏めになっているようなものだ。

 卑賤ナル陰ノ衣にしても、魔術師(マジシャン)の上級職が扱う魔術の効果を複数併せ持っている。これがどれだけ規格外なことかは、筆舌に尽くしがたい。


「あのブレスを見切ってみせた君なら、そうそう不覚をとることもないだろう。少し離れたところで高みの見物に洒落込むといい」

「そうさせてもらう」


 命が惜しいので、余計な巻き添えを食わないように、地べたを這い蹲りながら、低みの見物と洒落込ませていただきます。

 いや、くだらない冗談は脇に置いておくとして。俺は沈黙したままのグラムへ視線を投げた。


「ところで、グラムは大丈夫なのか? 治癒不可能とかいう呪いの炎を浴びて、半身が溶け爆ぜてるんだが……」

「不死の呪いが不死に効くわけないだろう? 心配しなくても、そのうち復活するさ。まぁ、格上の攻撃をまともに喰らったわけだから、しばらく動けないのは確かだけど」


 なるほど、見た目ほど深刻な問題でもないようだ。ならば、あとはグラム自身の自己治癒能力に期待しよう。


「では、行ってくるね」


 ステアは己も凍テツク黒燼ノ鎧を纏うと、床を踏み砕いて、カースドドラゴンへ突貫した。俺の動体視力では、その場から掻き消えたようにしか見えなかった……。

 それなりの距離が開いていたにも関わらず、一瞬で間合いを詰め、懐へ潜り込んだステアは、無防備な腹へ渾身の蹴りを見舞った。

 腹太鼓に似た低い音が木霊し、くぐもった悲鳴のような鳴き声が俺の耳まで届く。

 白磁のような肌を露わにした細く美しい足が、すらりと垂直に伸びた先では、蹴られた部分を大きく凹ませたカースドドラゴンが、その余波で黒い剣から胴を強引に引き抜かれていた。

 大量のどす黒い体液がぶち撒けられて、地面の悉くを汚すが、


「んッ……汚いな……」


 そんな一言と共に、血飛沫を掻い潜ってみせたステアは未だ慣性に逆らえず宙を舞っている獲物へ向けて跳躍すると、首の付け根あたり目掛けて、回し蹴りを叩き込む。

 その際、カースドドラゴンは回避を試みようとしのか、不自然に首を曲げるが、ステアの爪先は容赦無く首筋に突き刺さる。

 凡そ重力や質量といったものを失念しそうになる勢いで、カースドドラゴンが遥か遠くに吹き飛んでいった。


「今のは――?」


 蹴りを回避するにしては、妙に違和感の残る動きだった気がする。しかし、それを確かめる術はない。俺は諦めて、ステアとカースドドラゴンの闘いを見守ることにした。


 ――闘いはステアに有利に進んでいく。


 ステアは近接格闘を中心に、時折、深淵魔法を混ぜてカースドドラゴンを苛烈に攻め立てていた。

 圧倒的な威力の物理攻撃で、とにかく肉体を完膚なきまでに破壊する腹積もりらしい。

 哀れ、呪屍竜。第六位階になって、なまじ肉体を再構成させてしまったが故の不幸といえるだろう。

 だが、奴さんも負けじと負傷した肉体を治癒させていくので、闘争はさながら無限ループのような様相を呈していた。


「まったく、しぶといな」


 ステアはカースドドラゴンの鋭利な爪や牙による攻撃を躱しながら機敏な体捌きで一息に肉薄、左の首の付け根付近を狙い、拳を振り上げ――


 まただ。ドラゴンが、嫌がるように首を不自然に捻じ曲げる。


 カースドドラゴンが途方もない膂力で殴り倒され、地響きを立てて大地に倒れ伏す。


「不壊タル血怨ノ紅鎖」


 そこへ、追撃の深淵魔法が放たれた。


 茨を模した赤黒い血の鎖がカースドドラゴンに絡みつき、その巨躯を地面に縫い留めた。

 カースドドラゴンは鎖を引き千切ろうと暴れるが、茨の棘が深く食い込み、全身を己の血で染め上げるだけに終わる。よくよく見れば、流された血を吸って、鎖がより太く頑丈になっているようだ。


「えげつないな……」

「まぁ、否定はしないよ」


 俺が顔を顰めていると、ステアが気配も無く横に降り立った。

 疲弊した様子はないが、真っ黒なワンピースの裾が少々破けたり、解れたりして、大分乱れてしまっている。

 いくら彼女が圧倒的な力を誇るイモータルロードとはいえ、敵対者たるカースドドラゴンも同じく第六位階の化け物である。無傷で済むはずもない。

 何度か強烈な一撃を貰っていたのを俺はこの目で見ていた。

 その度に寿命が縮む思いをしたが、けろっとした様子で即座に反撃に転じていたので、彼女的には大した攻撃でもなかったということだろう。

 その分、彼女が赤い霧に変化してまで避けた攻撃は、イモータルロードである身からしても洒落にならない類のものらしかった。


「やれやれ、わたしの一張羅が台無しだ……」


 ステアは片手でスカート部分を持ち上げて、溜め息を吐く。ちらりと覗く白い太腿に視線が吸い込まれそうになり、慌てて目を背けた。


「――? どうしたのかね?」

「いや、何でもない。それより、このままじゃジリ貧だぞ。あいつ、何か弱点とかはないのか?」

「ふむ、弱点、か……。あるにはあるが、あまり意味はないだろうね」


 顎に手を当て、少しだけ困ったように呟く。その曖昧な態度に、俺は首を傾げた。


「どういうことだよ?」

「あいつが竜として鱗を得たからには、必ず"逆鱗"も生成されているはず。それを破壊すれば、嫌がらせくらいにはなるかもしれない」


 竜の逆鱗――たとえ心臓を穿たれても死ぬことはない竜種にとって、唯一無二の急所であり、その一枚を砕くだけで即死に至るという。


「嫌がらせって……もう少し何かないのか」

「カースドドラゴンは普通の竜種ではない。不死の魔物として蘇った、言わば生物の理から外れた存在だ。死という概念に対して、生前の比ではない高い耐性を持っている。たとえ逆鱗を突いたところで、そう簡単には斃せないよ。鱗が再生されるまでの間、大幅に弱体化はするだろうけど、その程度かな」

「それ、ちょっと強過ぎじゃないか?」


 手強い、と頭を抱えたくなる。ひょっとしたら、同位階の竜種よりも強いのではなかろうか。だが、逆鱗を破壊すれば大幅に弱体化するというのは朗報といえる。


「そうでもないさ。カースドドラゴンは生前よりも知能が大幅に低下している。故に、通常の竜種のように魔法を行使することはできないし、物理攻撃も単調なものになりがちなのだよ」

「そういえば、カースドドラゴンが魔法を使っているとこ、まだ一度も見てないな」


 なるほどな。不死の魔物となり、一見無敵になったようにみえても、ちゃんと退化した部分はあるらしい。


「とはいえ、無駄にタフであることは確かだね。肉体の再生能力も、魔物の中ではトップクラス。場合によっては、このわたしすら上回るかもしれない」


 ステアは面倒臭そうな面持ちで「さて、どうしたものかな」と、カースドドラゴンに視線を向ける。

 血の鎖に縛られた呪屍竜の肉体は、負傷と治癒を繰り返し、白い蒸気で覆われていた。

 鼻息をひとつ、面白くなさそうな顔をするステアは徐に深淵魔法を放つ。

 放たれた魔法は轟音と共にカースドドラゴンの頭部を丸ごと吹き飛ばすが、それもすぐに元通りに再生されてしまった。


「あれを葬るには、肉体の治癒が追い付かない程の大火力で一気に片を付けるしかない。しかし、竜一匹を飲み込むほどの魔法を放つとなると、呪屍竜より先にこの広間が崩壊してしまうかもしれん。そうなれば、わたしとグラムはともかく、君の命は……」


 チラッと横目で俺を見つめてくる吸血鬼の少女。

 その視線にどんな意味が込められているのか、察するつもりはないので悪しからず。


「力任せのゴリ押しはリスクが高過ぎるな……」


 流石に、巻き添えは勘弁してほしい。

 それにしても、カースドドラゴンめ。なんという再生能力だ……。

 頭を失っても尚、瞬時に回復するほどの強大な生命力。正攻法では手の打ちようがない。


 ――ならば。


「ちょっとばかし邪道だけど、試してみる価値はあるか?」


 これでダメなら、他に良い作戦を思い付くまで、ステアには持久戦を覚悟してもらうしかなくなる。……当然、一か八かのゴリ押しを許可するつもりはない。まだ死にたくないから。


「ひとつ、思い付いたことがある。協力してほしい」

「……ほう?」


 俺の言葉に対し、ステアの唇の端が興味深げに歪んだ。


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