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七人の神様 ~虹神~  作者: 似純濁
3/4

1 あの子の神様になれたのかな 現代編

「で?」

紺が短く言葉を発した。

「で?って……それだけ」

少し、紅は目を伏せた。

「それ、いつのこと?」

「十年……前?」

葵の問いに答えた。そっか、もうそんなに経ってるんだ。

「紅ちゃん、そのエリックって奴のこと、好きになっちゃったんじゃないのぉ?」

「そ、そんなわけないですよぉ~。紅ちゃんに失礼でしょお」

檸檬と葉月の絡みを生暖かく見守る。

「紅ちゃん、下界に見に行ってみたらどうかな?」

「……そうだな」

蜜柑と菫の提案には、頷けない理由がある。

「うちさー……あの後何言ったか覚えてないんだよねー。すっごい失言しちゃったかも」

「あちゃー、紅ちゃんならやりそう」

「らしくないよ!もっと楽天的に行かなきゃ!」

檸檬がタックルしてくる。

「えー、でも……」

「ぐずぐずしない!さっさと行ってきなさい!」

葵が仁王立ちをして目をつり上げた。

「じゃあ……行ってくる」


下界にて。

街は、夏のお祭りのようだった。

サラの格好で、人通りが多い所を歩いてみる。

「うっ……ゴホッ」

あー、汚いなぁ下界は。

耐えきれず、人の少ない広場に出る。

三人くらいの大学生グループがある。

「あっ………」

紅と、天界の六人は直感した。

そのグループの一人、茶色の髪をポニーテールにしている女子大生。

「彼女が、エリック……?」


その頃の天界。

「えっ……!?」

「えーーっ!!エリックってじょそうしゅみ……」

「檸檬、やめなさい!」

葵に叩かれている。

「でも……ありえますよねぇ……ショートの女の子だったんですね」

「紅ちゃん、どうするんだろ……」

「……だな。心配だ」

「ほらほら、あいつ、気付かれたみたいだよ」

六人の心配をよそに、エリックは、紅の方を向いた。


彼女と目が合った。

「あっ……」

彼女はこちらに、満面の笑みを浮かべてやってきた。

「サラ?」

「え……エリック……?」

「あーーそう言ってたんだよね……」

あはは……と苦笑いする。

「私の本当の名前はエリー。二十歳。サラ、あの頃から変わってないね……」

彼女……エリーはサラの肩を叩いた。

「な……んで」

「あーもうほんとごめん!ちょっとからかっただけだったの。私あの時、サラに話聞いてもらって嬉しかったの。結局、母は一週間後に死んでしまったの……。でも、本当に励みになった。私にとっての神様だったよ。ありがとう!」

そして、にこっと笑った。

紅は呆然と立ち尽くしている。

じゃあね、と手を振ってエリーは立ち去った。


「紅、おかえり~!」

「ただいま………」

紅は浮かない表情をしている。

「どうしたの?」

「いや……うち、あの子の神様になれたんだ、って思って……」

くしゃっと破顔一笑した。

「そう。紅は、あの子の神様だったよ」

ーFINー

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