プロローグ 七人がそろうまで
ここは俗にいう天空ってとこ。ホントに高度が高いわけじゃないけど。虹を司る七人の神様が暮らしている。
この七人は「虹神」と呼ばれている。人間じゃないから性別とか年齢の概念はない。
神様っていうとたいそうに聞こえるけど、実際は神様の中でも問題児達が集まってきている。
名前も便宜上決めているだけだ。彼女が来るまでの虹神は酷かった。
皆が皆、独りで過ごし、顔を会わせるとすぐ喧嘩。
そこにリーダー的存在の彼女が入ってきて、変わった。
これから始まる物語は、虹神たちの神様ライフ。
どうぞ、お楽しみください。
なんだここは。
青波葵は顔をしかめ、眼鏡を押し上げる。
空間の中には六人いた。
中央では赤色のツインテールの子と、金髪ポニーテールが取っ組み合って喧嘩している。ショートボブでオレンジ色の髪の子と緑髪で三つ編みの子の二人は止めようとし、藍色ショートカットと紫の長髪は隅で冷ややかに見つめている。
ここが、「虹神」……?
問題児達が集まるとは聞いたことがあるけど、ここまでとは思ってなかった。
「あの……」
控えめに呼びかけると、六人の目が一斉に葵の方を向いた。
「今日から虹神の仲間になることになりました。……青波葵です」
六人の反応は様々だった。
「と、とりあえず自己紹介しようか!」
幼稚園の先生みたいな声でオレンジ色が周囲を伺いながら発言した。
最初に赤色が手を元気よくあげた。
「赤桃紅でーす!うちがこんなかでは、一番最初に虹神に来たよっ!よろしく~!!」
次にオレンジ色が頭を下げた。
「橙蜜柑です。二番目に来ました。よろしくお願いします、葵さん」
黄色がニヤリと笑った。
「紅ちゃんが最初にここに来たのは問題児だったからなんだよねぇ。くくく。あたしは黄前檸檬!よろー!!」
慌てて緑色が口を開く。
「檸檬さん、やめてくださいぃ。あ、わたくしは緑川葉月といいます。よろしくお願いします」
藍色が溜め息をついた。
「みんな相変わらず賑やかだねぇ。自分は藍津紺。よろしく」
紫色がボソッと呟いた。
「……紫海菫だ。よろしく」
これで六人。そこに葵が加わって七人になる。
紅が前に出てきて、手を差し出した。
「これで七人揃ったね。よろしく、うちらの新しい虹神!」
葵は紅の手を力強く握った。