表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救済とは人の人生に干渉する害である  作者: 早乙女・天座
一章 朽ちてなお這い上がる者
4/60

4話 小雪と華希




 終夜が手当てに入ってから五分程して、私と小雪は謎の黒いゲートへ入って行く13番隊の方々に深々と頭を下げ帰りを見送った。

 「ねぇ終夜、あの人たちはどうして私たちが困ってるって知ってたの?」

 「あーっと、それは、協会ってわかるか?」

 「うん小雪に教えてもらったわ」

 「協会の方でな、そういう事件的なものを全部把握してるからだよ。情報局が、取り締まり部隊に連絡して動かせる仕組みな。因みに街で起きた能力者ざたの問題は協会が保有する数万、数億個の能力で全てなかったことになるっていう便利な力がある。故に隠蔽能力も絶大だ」

 終夜の説明で少しだけスッキリした。まだ脳の収拾が追いついていないがそれでも幾分かましだ。

 隣で終夜がダルそうに重い溜息を吐く。

 「にしても、あの13番隊の奴ら全く役にたたなかったな」

 「ちょっと終夜、助けてもらったんだからそんな言い方は」

 「そうだよ皇くん。皇くんが早く来てくれないから三条さんたちが代わりに戦ってくれたんだよ」

 「だがな、あいつらがボロボロにやられたせいで治すのに俺は盾を全て削ったんだぞ!悪いな白鳥13番隊の奴らのせいで一週間は出れなくなったぞ。それに俺は学校で骨折られたんだ、チャットに気付かなくて当然だろ」

 「え!嘘、皇くん一週間出られないの?困るよ~」

 「文句なら13番隊に言え!」

 打ち解けたはずなのに目の前で、ここまで仲良くされると流石に腹が立つ。

 「そんなことより終夜、骨折られたって」

 「あぁ、実は竹がお前にフラれたのはお前のせいだ!って言いがかりをな。んで金属バットで襲われたんだよ。んまぁ変な奴に乗っ取られてたんだが」

 「変なのに乗っ取られていた?」

 「それで仕方ないから俺の心移す体(しんいたい)百合姫(ゆりひめ)】がやつけてくれたという訳だ。きっと誰か能力者が裏に潜んでいる。協会に通報しといたから俺が出る幕はなさそうだが」

 私がいない間にそんな事件に巻き込まれていたとは。終夜が言う裏に潜んでいる能力者にも興味がある。

 「てか、もとはと言うと華希が白鳥のとこ行ったのが悪いんだろ。やっぱり昼のチャット見てたのか、白鳥とは何でもないって言ったよな俺。だから見られたくなかったんだ」

 「そ、そんなこと言われても。最近の終夜ちょっと変だったんだもん。気になって......」

 「え!なになに?何にもないって、どういう事?」

 小雪が楽しそうに左右に身をゆっくり揺らしながら聞いてきた。

 「「うるさい!」」

 私と終夜は声を揃えて小雪を粛清する。

 「それで本題なんだけど結局この力ってのは何なの?」

 「え~まあ(にわ)かにも信じがたい話だろうが簡単に言うと超能力だ。この能力保持者は一つの共通点があってな。全員が大なり小なり精神的苦痛を抱えているんだ。どこにでもあるような些細な悩みや、普通では考えられないような異常な悩みを抱えた奴の身に起こるのが()()だ。」

 「具体的にはどういったものなの?」

 「一人一人能力の内容は違うんだが......ほら、三条いただろ。あいつの心移す体(しんいたい)が最後に放ったバカでかい雷撃、あれが呪能だ。んであの13番隊の女、あいつの呪能は傷の回復だな。回復量速度は速くないし、完全には治せないようだけどな。ほら」

 そう言って終夜は小雪の袖を勝手に捲り、皮膚がえぐれて赤い細胞が見えている実に痛々しい腕を見せてきた。

 「ちょっ皇くん!」

 驚いた顔の小雪に目も向けず終夜は傷口に手を当てる。

 「なんで分かったの?皇くん」

 「お前の動きが変だったからだよ。傷口が服と擦れないようにしてただろ」

 私は全く気付かなかった。

 興味ないと言いつつも終夜は意外と周りを見てるらしい。

 それとも小雪のことを見ているのだろうか。そう考えると胸のあたりに針を刺されたような痛みが広がりとても苦しい。

 「......終夜の呪能も回復なの?」

 「まぁ大きくはしょったらそうなるな。でも俺の場合は尾びれにメリットとデメリットが付く」

 小雪の傷は完全に治り傷跡の無い綺麗な白いスベ肌に戻っていた。チヒロさんよりも終夜の呪能の方が性能は上のようだ。

 「で、次は心移す体(しんいたい)だ。コイツは呪能力者の悩みが解消された際、素質ある者の身にのみ現れる人間の新しい器官のようなものだ。まぁ器官と言っても心移す体(しんいたい)は自我や感情を持ち、感覚も思考も本体とは別だがな。そして心移す体(しんいたい)は各々の身形に特徴があり、その殆んどが武器を持っている。俺の百合姫は薙刀が一本と宙に浮き孤立移動ができる盾を二つ持っている。お前の心移す体(しんいたい)は両刃の大剣を持っていたな」

 「さっきから気になってたんだけど皆、自分の心移す体(しんいたい)の名前はどこで聞いたのかしら?」

 「ん?ああ皆、普通に本人から聞いてると思うが......俺はそうだけど」

 「私もツグミから聞いたよ」

 「え、心移す体(しんいたい)って喋れるの?」

 「ああ」

 「あの、私の消えた心移す体(しんいたい)はもう帰ってこないの?」

 「いや、一週間くらいしたら出せるようになると思うぞ。因みに俺の呪能で心移す体(しんいたい)を治すのは無理だ。犬みたいな動物とかはいけるんだがな。究極、協会にいったら治してくれるけど」

 私の心移す体(しんいたい)、一度は殺されかけたけど、どんな子なのだろう。車に引かれそうになった曜子を助けてくれたのは多分あの子のはずだが。

 できれば根の良い優しい子ならばいいのだけれど。

 「心移す体(しんいたい)の事を別名、感能力(かんのうりょく)ともいい呪能と感能の両方を扱える者を感能力者という」

 「あれ?そう言えば私、呪能が使えないのに心移す体(しんいたい)が発現してるんだけど」

 「じゃあ華希は気付いていないだけで呪能に目覚めてるってことだ。しかも、今まで百合姫が見えてなっかたから今日、同時に発現したんだろう」 

 「凄い!じゃあ、宮ちゃん三つの能力全部同時に目覚めたってことになるね」

 「華希、もう求能も使えるのか?」

 「うん。小雪が言うにはこの黒子は求能って奴みたい」  

 私は黒子を一体出して終夜に見せる。

 できれば「凄い!」と褒められたい。そんな浮ついた気持ちが私の思考に浮上した。

 「白鳥が言ったのか、じゃあ信憑性に欠けるな。そいつ意外と呪能の可能性もあるぞ」

 終夜の意識は小雪の方に飛び、私の黒子にはコメントもくれなかった。

 「呪能は大体イメージついたんだけど、この求能ってのだけが全く分からなかったのよ」

 「そうだな確かに分かりにくいかもな。求能は内容的には呪能と似たようなものなんだ。だが本質が違う。呪能力が運命的に発現するのに対して求能力は自分で望んで発現する。簡単に言えば自分の力の内容を自分で決めたものが求能だ。求能力者には二パターンいてな、『これからの自分を見据えて、きめ細かく内容を考える』パターンと『突発的に、自分の心からの願いを叶える為の力を得る』パターンの二つだ。もし華希の、その黒いのが求能だとしたら後者だろうな。因みに俺も後者だ。求能が使えるのはほんの一握りだけで、力を三つ全て持ってる求能力者と呼ばれる人間は全体的に見ると少ない」

 「終夜の求能はどんなの内容なの?」

 「あまり自分の手の中を明かしたくないんだが、華希にならいいか」

 不意に放たれた響きの良いセリフに一瞬、私は意識をそがれそうになる。

 「俺の求能は【俺の事を求めた人のところに瞬間移動する】って内容だ。移動距離に制限は無い。どんなに遠くでも、ほんの数センチでも飛べるぞ」

 いったい終夜は何を願ってこの力を手に入れたのか、少し気になる。

 「因みに、呪能が病気、感能が後遺症、求能が薬と表現されている。華希、お前も今日からこっち側の住人てことだ。何か質問はあるか?」

 「えっと、また別の話になるんだけどいい?」

 「しょうがないな。いいぞ」

 ここにきて私はずっと気になっていたあの問題に大きく踏み込む。

 「小雪と終夜の話を聞かせてほしいな......って」

 「......分かった」  

 終夜は呆れた表情で重い溜息をつくが私の要件に了承してくれた。

 「そうだな、あれは今から二週間前のことだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ