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二酸化炭素を固めた

作者: 蒼城双葉

登場人物(少年探偵団のメンバー)

明智開あけち かい:主人公で語り部。高校二年生の少年探偵。

柳屋凪やなぎや なぎ:もうひとりの主人公。高校二年生の少年。情報屋。

密逸美みつ いつみ:開のお姉さん的存在。大学一年生。探偵助手。

御涼鈴みすず みすず:中学三年生の金髪お嬢様。雑用係。

八草作哉やくさ さくや:高校二年生の少年。交渉人。

能々乃野ののののノノ:小学四年生の女の子。作哉といっしょに暮らしている。

 ノノちゃんが探偵事務所で、俺たちに言った。

「きょう学校の先生が、空気はいろんなものからできてるって言ってました。口から吐いた息は二酸化炭素らしいです」

 常識的なことではあるけど、これって小学校何年生が習うんだろう。

 現在、ノノちゃんは小学四年生。

 少年探偵団のメンバーではあっても、小学生は知らないことがたくさんある。

 俺たち少年探偵団のメンバーは、俺と凪と作哉くんが高校二年生。逸美ちゃんが大学一年生。鈴ちゃんでも中学生三年生だから、ノノちゃんだけ子供なのだ。

 鈴ちゃんは感心したように言った。

「すごいじゃない。そんなことも習ったんだ?」

「はい」

 凪はそれを聞いて、ふむふむとうなずいた。

「ノノちゃん、ドライアイスって知ってるかい?」

「ドライアイス? なんでしたっけ? 聞いたことあったと思います」

「アイスやケーキを買ったら、すごく冷たい氷みたいなものがついてくるだろう? あれのことさ」

「あっ、さわったら痛かった記憶があります」

「それそれ。実はあれ、二酸化炭素を固めたものなんだぜ」

「そうなんですか!」

 ノノちゃんは驚いている。

 凪は意外と雑学なんかも詳しかったりするから、ちょっとしたことでも話をしてみると俺でも勉強になるくらいだ。

 俺はノノちゃんに言った。

「ノノちゃん、またひとつ勉強になったね」

「はい!」

 元気な返事。

 ノノちゃんも俺たち少年探偵団と一緒にいたら、自然とこうやって色んなことを学んでゆくことだろう。

 将来が楽しみだ。


 そのとき、探偵事務所のドアが開いて、逸美ちゃんが帰ってきた。

「ただいま~」

「おかえり」

「みんな、アイス買ってきたわよ」

「え、ホント?」

 俺は逸美ちゃんの持っている袋に釘付けになる。

「わーい」

「やったね」

 ノノちゃんと凪も喜んでいる。鈴ちゃんも口には出さないが、見るからにわかりやすく笑顔になっていた。

「買ってきたばかりだから、早く食べちゃいましょう~。いま冷蔵庫いっぱいだから入らないの」

「うん」

 逸美ちゃんが袋から取り出し、みんなに配る。

 俺、凪、鈴ちゃんと受け取り、ノノちゃんも受け取った。ただ、いま作哉くんはいないので作哉くんの分だけは袋に残ってしまった。

 ノノちゃんは袋に手をかけて中を見る。

「どうしたの?」

 逸美ちゃんに聞かれて、ノノちゃんは袋の中に目を落としたまま聞き返した。

「ドライアイスはないんですか?」

「持ち帰るのにあんまり時間かからないしいいかなって思って」

「そうでしたか」

「さっきね、ノノちゃんにドライアイスについて凪が教えてあげたんだ」

「そうだったの。よかったわね。またひとつ勉強になったんじゃない?」

「はい」

「逸美さん、それさっき開さんも言ってましたよ」

 あはは、とみんなで笑う。

 しかしなぜか、ノノちゃんは自分の分のアイスを袋に入れた。

「あれ? ノノちゃん食べないの?」

 気になって俺が問いかけると、ノノちゃんはうなずいた。

「はい。食べたいけど、まだ大丈夫です。作哉くん、ひとりで食べることになっちゃうから、帰ってきたらいっしょに食べたいんです」

「優しいわね」

 うふふっと逸美ちゃんは微笑む。

「微笑ましいですね」

 鈴ちゃんも笑顔がゆるんでいる。

「冷蔵庫まだ入るかしら? 見てこなくちゃ」

 と席を立つ逸美ちゃんだったが、ノノちゃんはアイスが二つ入った袋を手に持って、なにやらおかしな行動を始めた。

「ん?」

 風船でもふくらませるみたいに、息を吐いて袋に空気を入れているのだ。パンパンに空気を入れたら、ノノちゃんは口を縛った。

「むぐぅ!」

 そして、力を入れてパンパンになった袋を両手でつぶすように押している。

「なにやってるの?」

 変なものでも見る目で鈴ちゃんが聞くと、ノノちゃんはビッと眉を上げてドヤ顔の笑顔で答えた。


「二酸化炭素を固めてドライアイスを作ってます。これで冷蔵庫に入らなくても大丈夫!」


 なるほど。そういう勘違いをしたわけか。

 凪はそれを見てつぶやく。

「まだまだ勉強することがあるみたいだな」

「うん」

 俺も小さくうなずいた。


おわり

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