NO GAME
ゲームって向いてない。
現実世界とかけ離れた身体能力。一区切りごとに止まる会話。謎の特殊能力。謎空間。
そんなものすべて現実に存在しない。空中で二段飛びできる脚力なんて備えてないし、会話は都合よく途中で止まってくれやしない。特殊能力に至っては論外だし、謎空間に至っては本当に謎だ。
まぁ、現実にあり得ないからこそ惹かれ、のめり込む人もいるんだろうけど僕はその真逆。現実的にあり得ないことが起これば起こるほど冷めていく。体の芯から凍って、指先まで。
こんなことあるわけない。僕はそんなに恵まれているはずがない。と。そしてコントローラーを置き現実世界戻った時に実感するんだ。
「ほらね、やっぱり君はヒーローになんてなれない。王子様になんてなれない。君は主人公になんてなれない。」
と。いつもそう心が囁く。
なのに。なのに。なのになのになのに。なのになのになのになのに。
そう思っているのに何故僕は懲りずにコントローラーを握るのだ。
僕はその理由を探しに今日も仮想空間に身を投じる。