エリーさんノー仕度
数十分かけ、ようやく家に着いた。
レジ袋のおにぎりも、もう腐りそうなぐらいに、温まっていた。
ダニエルに、買ってきたおにぎりとフォミマチキンをわたす。
「ちぇっ、味噌かー。塩が良かったなー。」
ダニエルが、文句を言ったが、気にせずに食べる。2人とも喋らず、テレビの音だけが部屋に響く。
CMは全て、火星移住についてだった。
ダニエルはもう、チキンを食べていた。おにぎりはゆっくり食べた方が美味い。エリーは毎日そんな事を思う。
昼飯は、スペースシャトルで、食べるので、心配はしなくていい。心配しないといけないのは、支度だ。
ダニエルに関しては、もう終わっている様なので、良いが、エリーはまだ終わっていないのだ。
残り数時間というのにも関わらず。
「おいエリー!早く準備しろよ?もうすぐ出るんだからな。」
準備に戸惑い、何を持って行こうか迷う。火星行きスペースシャトルには、荷物は10kgまでという、制限がある。その中に収めなければならない。
洋服などの準備は終わったのだが、私物を残り1kgどうしようか迷っているのだ。
GAME機にしようか、本にするか。
30分ほど考え、本に決めた。お気に入りの漫画、「旧世紀 クリアゲリオン」を持っていく。
バッグの重さは、ギリギリだった。
「んじゃ、行くか!」
ダニエルと一緒に、車に乗り込む。後2時間、車での旅になりそうだ。




