【詩】大切な何か
大切な何かを忘れた気がする
それがなんなのか、思い出せない
他愛もないものなのか
とても重要なものなのか
それすらも思い出せないほど
大切な何かを忘れた気がする
振り返ると
過去は膨大な記憶と共に過ぎ去って
怒涛の如く僕に迫る
とても立ち止まってゆっくりと考えている暇はない
前を見て、ひたすら未来に向かって駆け続けながらも
やっぱり思う
大切な何かを忘れた気がする
いろいろと思いを巡らせながら鏡を見つめると
そこに映り込むのはやつれた自分の姿
それを見て思い出す
ああ、そうか
僕は笑顔を忘れてしまったんだ
うつろな目
どんよりと曇った表情
日々の生活に疲れ切っている自分の姿に
我ながらドン引きだ
笑顔を作ろう
そう思い、ニッと口の端を持ち上げた
笑顔とは程遠い、引きつった自分の顔があまりにバカっぽくて
ちょっと笑えた
お読みいただき、ありがとうございました。