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女騎士に説教したら慕われた件

 道に沿って歩いていくと、如何にも、中世ヨーロッパの城塞都市があった。自分の想像力の貧困さに、呆れた。


街の酒場で飯を食べた。何故か、焼き飯が出てきた。その焼き飯への蘊蓄が長々と、壁にかかれていた。しかしその大層な説明書きはあてにならず、何の味もしなかったし、腹も膨れなかった。出掛けに、お代を……と声をかけられた。俺はバーカウンターに手をかけて、チーズを割くように真っ二つにした。


そうしたら、何も言わなくなった。


俺は近くにあった酒瓶を一本掴み、酒場を出て、あてもなく彷徨っていた。酒を飲んだ。少しも酔えなかった。死んでいるのはわかった。それで、どうしたらこれは終わるんだ?ゆっくり眠れる日が来るんだ?

 

後ろから馬のかける音、蹄が石畳を踏み鳴らす音が聞こえた。振り返ると、馬に乗った兵隊が一人。五、六人徒歩の兵隊も居た。


「止まれ! 我々は薔薇十字騎士である! 団無銭飲食、器物破損、恫喝を行った旅人が居ると知らせを受けた。」女の声で、馬に乗った兵隊が言った。兜の庇を降ろしていたので、顔は見えなかった。


「黒髪黒目、おうとつの少ない顔立ち、報告と一致する。見聞のため連行する。逆らえば命はないと思え! 」


そりゃいい。俺はそう重い、酔っ払ったふりをして、瓶を馬へ投げた。瓶は馬の額に当たり砕け散った。馬が前脚を高くあげ嘶き、女が手綱を握りしめ、強く引くのが見えた。

 「者共、かかれ! 」女が叫ぶと、徒歩の兵隊が両手で握る大きな剣を抜き、向かってきた。


一人目の兵隊が俺の肩口を斬った。いや、斬ろうとした。巨大な剣があっさり折れた。まるで発泡スチロールのように綺麗に折れたので、俺は鼻で笑った。兵隊の腹を甲冑ごと殴った。甲冑はへこみ、兵隊は俺の顔に血を吐き出した。拳を抜くと、動かなくなった。


二人めは俺の首を狙った。これもまた、叶わなかった。兜を掴み、捻ってみると、首が折れてしまった。骨の折れた感触が腕に伝わった。


三人目はもう逃げる準備をしていた。折れた剣を広い、投げつけると、背中に刺さった。ぐえ、と叫び、倒れた。四人目も同じようにした。


気づくと、そこには俺と女しか居なかった。「鬼神のようなその腕力、鉄にも負けないその体。もしかして、あなたはリベタリアンなのでは? 」と女が言った。

「どうでもいい。早く、終わらせてくれ。お前、偉ぶるためだけにあいつらを連れてたのか? 」

「あなたのように正直に物を言う方は初めてです」

「あ、そう。この世界で一番強い奴、どこにいるの? 」

「この街を出てずっと真っ直ぐに行った所に居る魔王。そいつだと思います」


俺が背中を向け、街の入口に向かおうとすると、お待ちください、と女が言った。


「もしや、魔王討伐に向かうおつもりで? 」

「そうなるかもしれない。」と俺が言った。

「私もお連れさせてください。あなたを慕っております。」

「なんで?」

「あなたのその力と、正直なものいいに惹かれました。」

「股を濡らしてんのか?」俺がそう言うと、女はええ、と答えた。


これでやってろ、と俺が折れた剣の柄を女の前に投げると、女は馬から降り、股下を脱いで、剣の柄をつっこみ、よがりだした。

イカれてるよ。俺はそう呟いて、女に近づき、頭を蹴飛ばした。頭は脊椎をくっつけたまま飛んでいき、落ちた。庇があがり、顔が見えた。悪くはない顔だちだったが、美人、という記号があるだけだった。

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