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縁などいらん、今すぐ断ち切れ  作者: 浅葱雪兎
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春爛漫、俺地獄

春爛漫はるらんまん。桜が舞い散り花道が出来上がる。

ピンクの絨毯の上を浮かれた足取りで歩く新入生たち・・・。

後輩ができたことに実感を持ち始めなんとなく大人ぶる在校生たち。

新しい出会い、クラス替え、友人との別れ。様々な思いを胸に新しい道を

歩き始める人々。

そう、春とはすばらしい季節なのだ。なのだが・・・。

いや、素晴らしい季節のはずだったのに!!


俺の名前は茶新多喜さあらたき。ここ、瀬川高校に通う2年生だ。

ごくごく普通の偏差値の高校に通い、ごくごく普通の成績を持ち、運動神経も

至って平均。自分で言うのもなんだが顔も平凡だ。

不細工ではないと思いたい・・・。

そんな普通な俺の唯一普通ではないところそれは、家が神社であることだ。

でも、それだって別段珍しすぎるわけでもない。家が自営業なんて

よくある話だし、それがただ店ではなく神社ってだけ。


まぁ、最初はみんなびっくりするけど慣れればそんな大したことでもない・・・。

実家が少し普通と違うだけのごく一般的な高校生だったはずなのに・・・。

それなのに、今年の春俺に来たのは新しい出会いでも恋の始まりでもなく嵐だった。


「さーら先輩~~~~!!」


実家以外は普通な俺に、もう一つ普通じゃないことが増えた。


「さーら先輩ってば!!」


増えなくていい。なぜ増えてしまった・・・、おれはこのまま

平々凡々に日々を送るはずだったのn---


「お~い!聞こえてますか?さ・あ・ら先輩!」

「うっっっるせぇぇぇぇぇぇっっ!!!!」

「えぇ!?先輩が無視するからっすよ~。それに先輩のほうが声大きいですよ?」

「くっ・・・!!」

「それはそうと、さーら先輩おはようございます。今日もめちゃくちゃ可愛いっすね!!」

「・・・・」


そう、俺の平凡ライフをロケットランチャーのごとき勢いで破壊してくれたのは

さっきからとてもうざいこいつだ・・・。


名前は、高氏陸たかうじりく。先々週入学してきた新入生で、

俺の後輩で、俺の人生をぶち壊した張本人だ。

こいつは入学式早々にやらかしてくれた。


おれは行事委員会だったのもあり入学式も教師の手伝いのために

学校へきて入学式の準備をしていた。入学式も無事終了し、後は入学式の飾りで

あふれた体育館の片付けして帰るだけ・・・

なんてぼんやり考えてた俺の前を式を終えた新入生が次々通り過ぎていく

そんな時、悪魔の声がした・・・

「あ!」と・・・ひときわ明るくよく響く声が俺に向け発せられた。

このとき顔を上げていなければ・・・

聞こえないふりをして片づけを始めていれば・・・

後になって、たら、れば、を考えても仕方ない。

実際俺はこのとき声をかけられ、顔を上げてしまったのだから。


「あ?」

とまぬけな顔で前を見た俺の目に飛び込んできたのは、

ピカピカの真新しい制服を着た見覚えのない新入生(男)

背は俺よりも高く、不愉快極まりないがそこらのやつよりイケメン。

明るい茶髪にさわやかな笑顔、少女漫画のヒーローか!と突っ込みを入れたくなる姿だった。

周りの女子が色めき立っている。そんなイケメンが次に発した言葉に

俺は耳を疑った。


「こんなところで会えるなんて!!俺の運命の人っ!!ずっと探してたんです!!」

きらめく笑顔でとんでもねぇセリフを言いながら抱き着いてきた。

え?何?馬鹿なの?イタイやつなの?

もう、頭がフリーズしたよ。だって、周り・・・周りを見てみろ。

ザワザワしてる。女子がとんでもない顔でこっち見てる。さっきまで

キャッキャしてた可愛い女子は何処へ?

そして舞台付近で笑いをこらえてる親友。笑ってねーで助けろよと

声を大にして言いたかった・・・。


ネット社会とは怖いもので次の日からはもう、手遅れ。

平凡な先輩がイケメンに告白されたという情報は瞬く間に広がり、

新入生たちにはホモの先輩という目で見られ、同級生には憐みの目で見られる始末。

新入生はまぁいい。同級生諸君よ、弁解くらいしてくれてもいいだろ。

特に親友、貴様は許さん。俺の平凡ライフを笑顔で破壊した高氏も許さん。

むしろ高氏は一生憎み続ける。


こんなことを言われてもヘラヘラしてる高氏は重症。

笑いをこらえきれてない親友も果てしなくうざい。

お願いだから俺の平々凡々人生を返せっ!!


そんなわけで浮足立ってた春気分から一気に奈落の底に落とされた俺は

今、とてもと~っても不機嫌である。

先ほどから俺の周りをぐるぐる回っている高氏は俺の不機嫌オーラを

ものともせず延々と話しかけてくる。


「先輩今日不機嫌ですね?なんかあったんすか?」

「そーだな、俺の人生を壊した張本人が反省の色も見せずに俺の前に

現れやがったからな。」

「え~?俺、ちゃんと反省しましたよ?いくらさーら先輩に会えたのが嬉しかったからって

場所はわきまえるべきだったなぁって。俺だけのさーら先輩のポカンとした可愛い顔

みんなに見られちゃったし・・・。」

「誰が、お前のだって?おい?」

「え?さーら先輩が、ですよ。さーら先輩は俺の大事な運命の人ですからっ!」

「・・・。」


何?なんなのこいつ・・・。笑顔まぶしすぎるんだけど。

キラキラした笑顔振りまいて何ほざいてるの?


「反省した奴は人がたくさんいる廊下でそんなこと言わない」

「あ!!またやっちゃいました!くぅっ!俺のさーら先輩を不埒な目で見てるやつが増える!!」

「お願いだからきえてくれ」


てかこいつは何処までついてくるの?もう、俺の教室ついちゃうんですけど?


「お前、自分の教室行けよ」

「いやっす!今日も先輩のクラスの人に俺たちのラブラブぶりを見せつけて

牽制けんせいしとかないと!!」

「お前ラブラブの意味わかってるか?俺たちのどこがラブラブだって?」

「いやいや、運命の赤い糸で結ばれてるんですから、俺たちラブラブっすよ!!」

「精神病院を紹介しなきゃダメか・・・」

「え?なんか言いましたか先輩?」

「なにも」


あぁ、教室についてしまった。扉をくぐった瞬間に俺たちに集まる視線。

憐み、憐み、興味、憐み・・・。やめろ、そんな目で俺を見るな!!


「お!今日も一緒に登校とは仲いいねぇ~」

新庄しんじょう先輩おはよーございまっす!」

みつる、殴っていい?」

「おいおい、旦那のコミュ力に対して奥さんは朝から

暴力的だなぁ~。こんな奥さんじゃ苦労するだろ、旦那~?」

「苦労なんて全然!むしろこのちょっと冷たい感じがたまらなく可愛いじゃないっすか!!」

「あ、なに?旦那はМっ気があんの?」

「お前ら頼むから少し黙っててくれ・・・」


先ほどから馬鹿みたいに俺らをからかってくる馬鹿は、

一応俺の親友である、新庄充しんじょうみつるだ。

いや、親友だった・・・というべきか。

そう、何を隠そう入学式の日俺を助けるでもなく、大笑いをかましていたのは

こいつだ。あの日から俺はこいつを信じないと決めた。

むしろすべての人間が信じられない・・・。

これ軽く人間不信だぜ、まったく・・・。



___________________________________________


初めまして、浅葱雪兎あさぎゆきとです。

初めての小説投稿にドキドキしながら書いてます!

少しでも読んだ人に喜んでいただけたら幸いです。

今回の話は数年前から私の中にあったネタをようやく小説にして

出す勇気が出ました。

神社、巫女、神主・・・。素敵ですよね。

短編のはずが思ったより長くなってしまい急遽連載に変更しました。

行き当たりばったりなのでうまくいくかわかりませんが

よろしくお願いします(汗)




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