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もう一つの物語  作者: 佐伯さん
後日談
49/52

新婚生活は順調です

「……寝坊しました」


 気付いたら正午に近い時間帯に起きてしまった私。

 今日は仕事がないとはいえ、いつまでも惰眠を貪るというのは宜しくありません。隣で寝ていた筈の、寝不足の元凶さんはもう隣にはいらっしゃいませんし。


 隣はもう冷えているから、結構前にこの寝床から抜け出した筈です。

 起こしてくれれば良いものを、恐らく寝顔を眺めた後そのまま放置したのでしょう。……疲れた私を起こさないように、という配慮もあるでしょうが。


 起き上がって素肌に用意してあったガウンを羽織りつつ、ベルを鳴らして侍女を呼ぶ事にしました。


 ……お風呂に入らないとちょっと人前には出られそうにない格好をしていますので、湯浴みの準備をして貰いたいと思うのです。


 心得ていましたと言わんばかりに直ぐに侍女達がやってきて湯殿に案内されるので、最早これも恒例になってきたな……何て思いながら、私は寝室に近い湯殿へと侍女を伴って足を向けるのでした。




「起こして下さいよ、もうっ」

「悪い、熟睡している所を起こすのも気が引けてな」


 お風呂でもみくちゃにされた後、書斎で読書していたセシル君を見付けて文句を口にすると、セシル君は悪びれた様子もなく笑っています。

 ……寝坊したの、セシル君のせいと言っても過言じゃないのに。


 セシル君のせいじゃないですか、と不満を唇に乗せても「お前が煽るから」とか訳の分からない事を言い出します。

 煽りたくて煽ってる訳じゃなくてですね? セシル君が前後不覚になるくらいに、私を愛してくるからそうなった訳でですね。


 ……勿論好きですけど、ちょっとくらい手加減が欲しいのです。最初は遠慮がちだったのに、慣れたら……なんというか、色々とすごくて。

 愛されている実感があって良いですが、翌日の寝坊だけは避けたいのです。最初使わない筋肉フル稼働で翌日大変でしたし。


「今度から控えてください」

「善処する」

「もう!」


 ばか、と唇を尖らせると、セシル君は私を引き寄せて膝の上に座らせます。

 そのまま抱き締めて、頬にキス。


 ……そうやって宥めれば機嫌が直ると思ってるでしょう。直りますけど。


 口元に築き上げた山も、軽く唇でならされて平地に戻ります。

 ちゅ、とわざと音を立てて、くすぐるように口付けるセシル君はちょっと意地悪だと思いますが、素直に答える事にしました。


 ……流石に真っ昼間からは激しくされても困るので軽い触れ合いですが、これだけでも充分に幸せです。

 若干誤魔化されている気がしなくもないですが、誤魔化されておきましょう。


 暫く啄むようなキスを飽きずに繰り返していると、セシル君はふと顔を首筋に。

 ちょっと予想が出来たので「痕は止めて下さいよ」なんて口にすると、笑うような息遣いが側で聞こえました。


「奥さんに怒られるから止めとくよ。……体は大丈夫か?」

「大丈夫じゃなきゃ此処に来てませんよ、もう。……優しくしてって言ってるのに」

「優しくしてるんだけどな」

「行動が伴ってませんー」


 ……優しくはありますけど、結局優しくなくなるんですもん。此方の余裕全部奪い取っていくから、最後は私がへろへろになってセシル君は余裕綽々ですし。

 どうにか主導権を握ろうにも勝てる訳がないのです。セシル君は口がご達者ですし、私のあらゆる弱点を知り尽くされてるので私には勝ち目がないのですよね、もう。


 口論だけでも勝てるようにしたいところ、と内心で決めていたらセシル君が「なんか変な事考えてないか?」と疑り深い眼差しを向けてきたので「なんでも?」とにっこり微笑んでおきました。


 ……私の笑顔に、口を割らせようと物理的に閉じた唇を割ってきたので、やっぱり勝てないなあとか思いながらもセシル君の思うがままに翻弄されるのでした。

 いつもお世話になっております。佐伯です。かなりお久し振りです。

 お知らせなのですが、IFルートである『もう一つの物語』もPASH!ブックスより書籍として刊行する事が決定致しました。

 詳しくは活動報告に記載しておりますので、興味のある方は活動報告を一読して頂けたらと思います。

 最後になりますが、書籍として世に出るのも皆様の応援のお陰です。誠にありがとうございます……!

 これからも『転生したので次こそは幸せな人生を掴んでみせましょう』シリーズをよろしくお願い致します!


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