バーサーカー
2『バーサーカー』
そしてバーサーカーは召喚された。聖杯戦争のついなる開幕。その先陣を切ったともいえる、バーサーカー。その風貌は野獣がごとく、真名レラクレスに名高い英霊だった。召喚したのはマスターユウヤ。この戦争の監督役も銘じられている。
『君はバーサーカーのようだね。初めまして。ユウヤといいます。』
『・・・・』
言葉を交わせないサーヴァント、それこそ狂戦士たるバーサーカーだった。このバーサーカーは第2階級のサーヴァントと言えど、その外見上、一筋縄ではいきそうにないサーヴァントであった。また魔力消費によるマスターへの苦痛は他のサーヴァントと比にならなかった。
『・・・くっ』
さすがの侑也も堪えていた。監督にして聖杯を狙ういかれたマスターユウヤと狂戦士の契約がここに交わされた。
契約されて間もない頃、大量の桜を散らし、風をなびかせ、ある男は現れた。金髪に黒い服を着た、おそらくはサーヴァント。
『何かと思えばヘラクレスか。大英雄よ。まさかこんな所で相見えるとは光栄なことよ。さぞ今日は随分と賞玩な日になりそうだ。』
『・・・・』
『我も聖杯を狙う身、ここで引き下がる気はない、お前のマスター、ここで殺させてもらう。だが我とてそんな残忍でもない。マスターを狙うのはお前を殺してからでいい。』
『・・・・』
ユウヤはバーサーカーを見つめた。そして言う。
『バーサーカー!令呪をもって命ずる!あいつを殺せ!』
令呪、それはマスターに与えられた、サーヴァントに対する絶対命令。3つ与えられていて、3つなくなるとマスターはサーヴァントのマスターではなくなる。
『ギャアオウー!!!』
雄叫びをあげる野獣、バーサーカー。
そして金髪の男の背後からは光の円のような空間のようなものができていた。そこからは無数の黄金の剣や槍が放たれようとしていた。
『それでは来い!大英雄!貴様が相手なら我の倦怠も晴れるというもの!』
『待て!』
そしてまた、その場にサーヴァントが出現した。2本の槍をもった、おそらく槍兵。
『俺抜きで祭りを始めんじゃねえよ』
そしてついに、聖杯戦争初戦が始まる。