ファッションセンス0でも大丈夫!【異世界服屋】がすすめるキャラの魅力を100倍にする「簡単」服装描写の魔法
こちらはKADOKAWAの方針転換を受けてのエッセイ第二弾となります。
テーマは「登場人物の服装を書いて作品の質を上げて個性を出そう!」です。
第一弾のほうでは提案だけしました。
多くの方が興味を持っていただいたと思いますが、
「登場人物の服装を書こうにもどうすればいいの」
「服装を書くメリット、本当にある? 書籍化できる?」
などと戸惑い、即座に書こう!とはなれなかったかもしれませんね。
そこで、第二弾では服装を描写するメリット、描写することのハードルの高さ、それでも描写するために簡単な描写から詳細な描写まで書いてみて皆さまの「登場人物の服装を書こう!」という意欲を引き出していきたいと思います。
最初に言っておきますが「書籍化できる?」についてはわかりません。
私は登場人物の服装を描写したから書籍化できた作者ではないので。強気な発言も希望的観測であり多分の領域を出ません。
描写したら書籍化できるかも!? 書いてみようというチャレンジャーの側ですので、その点も踏まえて先をお読みください。一緒に試していきましょう!
まずは、服装を描写するメリット
1、登場人物の初登場時に沢山の情報を読者に伝えることができる。
服装から伝えられる情報は、世界観、場所、キャラの性格、身分、属性、状況など思いつくだけで、7つもあります。
7つもの情報を他の描写で伝えるとなると、かなり先の展開まで長文を読んでもらう必要がでるかもしれません。しかし、読者はすぐに読むかどうか判断してしまいます。
「後もう少し先の展開を読んでくれたら作品の魅力がわかるのに」作者さんからよく聞く嘆きです。
読まれないとよく嘆かれるのが世界観を伝える風景描写です。なろう系では読まれないから書くなとすらいわれています。
例を書いてみましょう。
「重く暗い雲が世界を覆い冷たい風が吹いている。人々の姿はなく町は機能していないようだ」ダークな世界観です。ここを読まれなかったら困ります。ですが、ここでの読者心理は「風景はいいから早くキャラを出して」でしょう。それもわかります。
これを登場人物の服装描写にしてみましょう。
「空を覆う雲のように主人公のマントも暗い色をしていて重たい。冷たい風にボロボロの裾がなびく。人々の姿はなく町は機能していないようだ、新しいマントも買えそうにない」
服装を通して、世界観、町と主人公の状況を伝えられたのではないでしょうか。
登場人物は作品で最も重要です「風景描写は読まなくても登場人物の服装描写なら読んでおこう」となる人は多いはずです。そこで、すかさず服装と一緒に世界観と状況も伝えられたら一石三鳥ですね。
服装を描写しておくと、キャラの登場時にいくつもの情報を大まかにでも伝え興味を抱かせ、読んでもらえないという嘆きを回避できる確率が上がるはずです。
2、登場人物を服装込みで興味を持ってもらえる、好きになってもらえる。
漫画などキャラを絵で見る場合「この服装がカッコイイ」「このキャラが、この服を着てるから可愛い」というように服装込みで好きになる人が多くいます。
服装を描写すれば小説も同じ効果が期待できるでしょう。興味を持ち好きになってもらえば、1の先の展開を読んでもらえるにも繋がるでしょう。
3、キャラ付けができる。
"軍服を着ている"と描写すれば「軍服キャラ」とキャラ付けができます。しかもこれで登場人物の身分と属性の二つの情報を読者さんに与えました。軍服という二文字を書くだけです。あまりにも簡単ですね。読者さんは「軍人の身分」と「軍服キャラという属性」どちらか、あるいは二つの魅力で読み進めてくれる可能性が高いでしょう。
では次に、もう少し細かく服装を描写して個性を出すキャラ付けをしていきましょう。
軍服にも種類があります。儀礼用、常務用、戦闘用、階級ごとの色や装飾の違い、コーディネートの違い。
これらを一つ一つ描写してみると「戦闘用で胸に大佐の階級バッジが輝いている漆黒のジャケットとミニスカートとブーツ」となります。これで「漆黒のミニスカ軍服で戦う大佐」というキャラ付けができました。このキャラが戦う展開まで読んでみるかとなる読者さんが出てくるはずです。
軍という組織の登場人物なら「軍曹はジャケットとズボン」「上官はコートとスカート」のように一人一人コーディネートを変えて個性を出すとともに 「服装には比較的自由がある世界観」が出せます。全員コートとズボンにすれば組織の統一感を出し「軍の規律の徹底した世界観」を伝えることもできます。
軍服の描写の順番なども、上記のように一気に描写するか「漆黒の軍服を着ている、戦闘用らしいがミニスカートだ、大丈夫だろうか?」のように区切りながらにするか、書き方は作者さん次第で無数にあります。
このように軍人キャラは描写しやすいですね。
現代ファンタジーではダンジョンが人気ですが、最初は普段着でいけたのが段々と装備が必要になりミリタリー服まで着るようになる、などで服装の変化の面白さやキャラの成長を描写したりもできるのではないでしょうか。
一般人キャラの普段着でも「よくあるシャツとズボンを着ている」と描写することで服装に無頓着なキャラ付けができたり「シワシワのシャツで、適当な着方をしている」と描写することで、だらしないキャラ付けができたりします。簡単ですね。
簡単ですねとは言いましたが、本格的に書こうとすると簡単ではないです。悩みます。
そこで次に、服装を描写するハードルの高さについてですが、服装を書く以前の問題もあります。
1、自分にファッションセンスがない、ファッションセンスを見せるようで恥ずかしい
これはあるあるな悩みだと思います。自分が着る服装のセンスだって自信ないのに、大事なキャラに着せる服装なんてもっとセンスない、わからない、オシャレな服装なんて書けない。
描写してみたところで「ダサい」とか読者に思われないか不安。
わかります。私もファッションセンスに自信などありませんから。自信を持って書けるのはファッションセンスに自信があるか、アパレル関係者や知識のある作者さんだけでしょう。
自信のない作者さんは、それでもキャラの服装を描写したい、好きだから書きたい、などの熱意で書いていくしかないのです。
多くの作者さんが自信がないまま書いていると思います。躊躇したまま書かないよりはずっと良いです。一緒に挑戦してみましょう!
2、書こうにも書く方法がわからない
最大の難関ですね。シャツとズボン、軍服、ドレスくらいならいけるけど、どんなかという詳細な描写になると難しくなっていきます。
キャラに着せたい服装を妥協せずに描写するとなるとハードルがどんどん高く感じます。
そんな時は、異世界服屋をご利用ください! (その他ジャンルとハイファンタジーで連載中の服装資料集です)
異世界服屋ではシャツやズボンの他にファンタジーのキャラが着ている服や帽子や靴などを色々とご紹介しております。その中からコーディネートすれば、いくつもの服装を描写することができるでしょう。
その他の描写方法もご紹介しておきます。
キャラに着せたい服装の参考画像をAIに見せて「画像の服の名前は?」「画像の服装を文章で説明して」と聞きます。すると、服の名前や服装表現を教えてくれます。出てきた服装表現をそのままコピペするのは小説投稿サイトや出版社によっては禁止されていたりするので、出てきた服装表現をオリジナル表現にして描写しましょう。
そうすると、
AIが出した服装表現→星のように輝く金色のドレス
オリジナル表現→キラキラときらめく金のドレス
オリジナル表現にはなっていますが、小説家になろうの新たな規約「AI間接利用『AIが提示したテキストを素材として扱い、語彙の選択や文章の接続、比喩表現などをすべて自分で編集・改稿した場合』」に当てはまりそうですね。正直、↑あそこまでオリジナル表現にしてAI間接利用設定にしないといけないなら、AIは介さず自分で画像を見て浮かんだ表現で描写するほうがいいような気がしてきます。
服の名前 (スタンドカラーやフレアスカート、など)や服の特徴や用途 (光沢がある、フィットする、パーティー用など)だけ使うのは「AI補助利用、調査資料『舞台設定や歴史背景などの調査資料としてAIを使用した場合』」に当てはまりそうですね。名前聞いただけで自動的に歴史とか教えてくれたりしますし。
※AIは間違えることがあるので出てきたな名前は正しいか検索して調べてから使うことをオススメします。
参考画像は好きな漫画キャラのイラストを使うなどあるかもしれませんが、それをそのまま描写すると丸パクリになってしまうので、参考までにしてオリジナルの要素を入れて描写しましょう。
自分でイラストを描いてみるのもありですね。拙ても「こういう服装にして」と説明をつけてAIに綺麗なイラストにしてもらうとキャラに着せたい服装の解像度が上がります。
AIを使いたくない場合は、アパレルサイトを見る (専門店は細かい部分名称から歴史まで解説してくれていたりします)、服装用語など用語集を検索する、知りたい服装の名前や画像検索して関連を調べていく、英語検索など多言語での資料を調べる (中世の服装など)、服の歴史で検索するなどがあります。
私がよく利用しているサイト。
1、ウィキペディア←まずはここですよね。
2、ピクシブ百科事典←イラストサイトだけにキャラが着ている服装についての解説も充実しています。
3、モダリーナ←服を細かく種類分けしてイラスト付きで解説してくれています。
3、描写してみたところで伝わるか不安
これもあるあるでしょう。シャツとズボンのような簡単な描写から一歩踏み出し、個性を出す服装を詳細に描写してみたけれど、伝わるか不安になる。
わかります。私も不安なまま描写しています。
しかし、伝わるかわからないから描写しないのは勿体ないです!気にしなくて大丈夫です。詳細に描写することが大事なんです。
第一弾で書いたドレスの思い出話を例にしましょう。
ある異世界恋愛作品のドレスの"切り替えし"や"ハイウエスト"などの詳細な描写に衝撃を受けて、凄い!と心に残ったという服装描写の大切さを語った話でした。
ですが、"切り替えし"や"ハイウエスト"というファッション用語を私は知っていて凄い!と思ったわけではありません。
「ドレスの切り替えしって何? よくわからないけど、そんなとこまで描写するなんて凄い!」と思ったのです。
この "未知の刺激を受ける" という体験が私に衝撃を与え心に残ったのです。
醍醐味ですよね、小説を読んで知らなかったことを知る。これは文章で細かくドレスを描写していたから得られた体験です。
ちゃんとどんな服装か伝わるかわからなくても、詳細に描写することで読者に "作品から伝わってくる謎の説得力"を与える、これこそが一番大事なことなのです。
ちなみに後から知らなかった用語について検索したことで、ちゃんとどんなドレスかイメージすることはできました。
詳細に描写しておき、後は読者さんの想像力や探求力にお任せする、それも面白いではありませんか。
次に、ここからはイラストを交えて服装描写の違いを見ていきましょう。
簡単な描写と詳細な描写二つの服装描写を比べます。
一つ目の簡単な描写は異世界ファンタジー黎明期によくあったものです。
物語の導入部分、異世界から来た謎の少女の初登場時、多くの作品で少女は「ワンピース」を着ていました。
「長い髪と綺麗な瞳の少女でワンピースを着ている」みたいな描写です。
その描写から私が想像した少女の姿です。
↓
異世界から来た謎の少女
ワンピースといえばこれ、真っ白い袖なし。
重要そうなアイテムを着けていることもあります。よくあるのは「宝石のついたペンダント」です。そこから想像するのはシンプルな鎖に宝石のついたペンダント。
ちょっとジブリ入ってます。他にも色々な作品で見かけます、ファンタジーの王道ですね。
この少女が異世界に連れて行ってくれるのですが、しかし、異世界から着た少女の服装にしてはシンプルで、凄く壮大な世界に連れて行ってくれる気はしてきますが詳細に想像するのは難しいです。
では、このイラストのシンプルなワンピースを詳細な描写にして個性を出していきましょう。
「可愛いパフスリーブで、ハートカットの胸元には赤い宝石の輝くリボンブローチが着いている、幾何学のような見たことのない金の模様の縁飾りがあるワンピース」(このままプロンプトにしてイラスト生成しました)
それがこちらです
↓
異世界から来た謎の少女2
異世界感が出てきましたね。特に、ワンピースの金の模様。これはファンタジーの服によくある定番のデザインとなっております。よくある定番ってことは没個性になってしまうんじゃないの?と思うかもしれませんが、この模様に「謎の少女の王国の模様」や「魔法の呪文が模様になっている」や「ある種族特有の模様」などと意味付けて描写することで初登場時に伝えられる7つの情報も交えて無限に個性を出すことが出来ます。
この少女は王族とか居そうな異世界に連れて行ってくれそうではありませんか?
ちなみにAIが描写してくれたレオタードみたいなV字のウエストラインですが、これもお姫様のドレスなどによくある特徴で「バスク」という名前で「バスクウエスト」「バスクドレス」などといいます。このように服には部分名称もあるので細部の描写には困りません。
服装描写の違いを見てみていかがですか?
ちょっと服装描写に力を入れてみようと思っていただけたら嬉しいです。
いざ、書くとなると難しいですが楽しいですので、書籍化できるか否かを置いておいても、服装を描写するのはオススメです。
メリットや服装描写の書き方は他にもまだまだあります。
登場人物の服は奥が深いです。
ちょっと手始めに異世界服屋を覗いてみてください。お待ちしています(^^)
ぜひ登場人物に服を着せて、あなただけの作品を書いてください!
ここまで読んでくださりありがとうございます。
エッセイ第一弾と異世界服屋はシリーズでまとめてありますので、本文タイトル上の青文字「ファンタジーファッションブック」からどうぞ!




