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幼馴染のち恋模様  作者: 琴乃葉つむぎ
幸せの形

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いざ神前式が始まってからは、行程を間違えないようにと違う緊張に気が逸れていた。

退場してガーデンでみんなで写真を撮る時には、家族や友達の笑顔に自然と肩の力が抜けていった。


披露宴の入場は梗介の強い要望でタキシードとウェディングドレスに着替えている。


梗介曰く「どっちかなんて選べない。和装も洋装も綺麗なんだから、どっちも着なきゃ損だろ」だそうだ・・・。

何度もどっちかにしようと言ってみたが、ここだけは譲れないと断固拒否。

お金持ちの考えることは違うな、と諦めることにした。


梗介は白にグレーの差し色が入ったタキシード、私はマーメイドラインの刺繍が綺麗なドレスを着ている。

どちらもオーダーメイドで、ここも梗介は一緒に悩んでくれた。

衣装選びが最大の難所で、悩みすぎて無難なものを選ぼうとしていた葵を見て、梗介が密かにドレスショプでいくつか見繕ってくれていた。

サプライズでドレスショップに連れてこられた時は驚いたが、忙しい中でも私のためにたくさん考えてくれていたことが嬉しかった。

何着か来た後このドレスを見た瞬間に、これだ・・・と鳥肌がたった。

「素敵・・・」と呟く葵に店員さんが教えてくれた。梗介も同じようにこのドレスを一番推していたそうだ。

運命を感じて即決だった。


「やっぱりそのドレスにして正解だったな。綺麗だよ」


披露宴会場の扉前で待機しているところで、梗介から褒め言葉をもらえた。


「ありがとう。梗介が私のことを想って選んでくれたドレスだから今日着られて本当に嬉しい」

「隙あり」


唇に一瞬の温もりと柔らかい感触。


「こらっ!」

「葵が可愛いこと言うからだろ」


小競り合いをしていると後ろから声がかけられた。


「お二人とも、まもなく扉が開きますよ!イチャイチャするのは終わってからいくらでもしてもらって構いませんので、今は入場の準備をしてくださいね」

「すみません・・・」


ニコッとプロの笑顔で制され大人しく腕を組んで前を向く。

すると、会場で音楽がかかりいよいよ入場の時。


「葵、楽しもうな」

「うん!」


扉が開き、大きな拍手の中に足を進める。

拍手に混じってたくさんの祝福の声が聞こえ、笑顔が花開く。


友人代表には、蓮と真緒が出てくれた。

まずは蓮がマイクの前に立つ。


「新郎の大学時代からの友人の篠宮蓮と申します。梗介とは俺が梗介のある弱みを握ったことで仲良くなったよね。その弱みとは、葵ちゃんへの初恋を拗らせていること。皆さんの中にももどかしい思いをされていた方がいるのではないでしょうか?」


蓮の言葉に多くの人がうんうん、と頷いている。


「いつもクールぶっていけすかない梗介が、女々しく一人の女の子に会いたいと焦がれている姿はとても絶景だったよ」


蓮はキラキラの満面の笑みで告げる。参列者から笑いが起こり、梗介は怒りで震えている・・・。


「だけど、それと同時にとても羨ましかった。誰かをこんなにも切実に想うことができるなんて・・・。今までの俺の人生の中には無い感情だったから。だから、梗介が葵ちゃんを諦めなかったように、俺も、誰か一人を心から愛せる日が来ることを諦めないよ」


蓮は作った笑顔を崩して少し恥ずかしそうに梗介を見て微笑んだ。

梗介も応援の意味を込めて頷く。


「葵ちゃん。梗介は重たくて面倒臭いやつだけど、真っ直ぐで愛情深い男だから捨てないでやってね。二人の末永い幸せを願っています」


葵は梗介と目を合わせ笑い合う。普段は仲良し感が全くない二人だけど、二人にしか分からない深みがあるのだと、葵は少し羨ましくなった。


続いてマイク前に立つのは親友の真緒。


「新婦の親友で新郎の梗介よりも葵を愛している平井真緒と申します」


初めからエンジン全開である。

梗介はまさかの発言に固まっている。


「葵、結婚おめでとう。葵は親友というより妹に近い感覚で、いつも梗介より私を頼ってくれるのが本当に嬉しかった」


梗介は隣で「おい」と突っ込んでいる。


「だけど、頼りになる一面もあるところが葵の最大の魅力だと思う。私が本当にしんどかった時、誰にも気づかれないように隠していても葵にだけはバレてしまって、意地になって大丈夫だと言い張る私に葵は「大丈夫でも大丈夫じゃなくても、そばにいるよ」って言ってくれたね。葵は誰にも頼れない頑固な私に簡単に安心をくれたんだよ」


それは・・・いつも頼ってばかりだから私も頼ってほしくて、真緒にも弱音を吐いて楽になってほしかったから・・・。


「葵はそれがどれだけ私を救っていたか知らないと思うけど、今日は特別な日だから知ってもらおうと思います。葵、あなたは私のヒーローです。だから、今度はヒロインになって可愛く私に甘えてね」


真緒は号泣している葵に向かって格好良く微笑んだ。

そして、挨拶の最後をこう締め括った。


「葵は我慢強くて努力家。それは認めるけど、無理をして心を追い詰めるようなことはもうしないでね。私はどんなことがあっても、梗介と喧嘩して葵が悪くても、葵の味方だよ。頼りになる親友を蔑ろにしないこと。梗介の悪口はいつでも大歓迎だからね」


みんなの笑いを攫って、梗介を撃沈させていた。

私は、感動と面白さと梗介への心配で、それまで流れていた涙が引っ込んだ。

さすが今世紀唯一の親友様である。


梗介と葵は唯一無二の親友と出会えたことを心から誇りに思った。



お色直しのための中座では、両家の家族全員で肩に手を置き連なって中座した。先頭はまさかの昴。その後ろに、圭吾、梗介、百合、葵、菫、祐一と並んでいる。


先頭の昴は自分が主役だとでもいうように胸を張っているし、葵の父圭吾は大好きな昴と梗介に挟まれご満悦だ。百合も推しの梗介と触れ合えてさぞかし嬉しいのだろう、溶けている。菫は葵の後ろで「葵ちゃんドレス姿綺麗よ。白無垢も美しかったわ〜」と何度も褒めてくれるし、裕一はひたすら泣いている。

カオスな列車状態で扉まで歩いて行くが、家族みんな一緒の思い出が作れてこの案にして良かったと心から思った。


お色直しのカラードレスは上品な薄いパープルのプリンセスラインのドレスだ。パフスリーブがアクセントになっている。

梗介はダークグレーのスタイリッシュなタキシード。さっきの王子様のような雰囲気から一変して、洗練された精悍さが格好良い。

デザートをビュッフェスタイルにしたので、参列者と歓談しながら梗介も葵も楽しんだ。


葵からの両親への手紙や、両親への花束と記念品の贈呈には両親共に涙を流して喜んでくれた。二人への感謝で一杯になり葵も泣いていて、家族3人抱き合って温もりを分け合った。

葵を慰めに寄り添ってくれた梗介をなぜか圭吾が抱きしめ訳の分からないことになっている。いい加減離れてほしいしせっかくの感動を返してほしい・・・。


最後には、裕一と梗介の挨拶で結びとなり、出口で参列者を見送る。



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