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幼馴染のち恋模様  作者: 琴乃葉つむぎ
記念日と便り

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梗介side



いつものように仕事を終えた午後6時。

事務所に残る部下たちに挨拶をして帰宅する。


今日4月20日は二人が付き合って一年の記念日だ。この後、葵と婚姻届を提出しに行き、予約したホテルのレストランで食事することになっている。

先日の両親たち+昴との食事会の際に証人欄を記入してもらい、婚姻届が完成した。

タイミングもよく覚えやすいと言うことで同じ日に入籍することにした。


俺がどれだけこの日を待ち望んだことかっ・・・!


今日は気合を入れて大事な時にしか着ないオーダーメイドのスーツを着てきている。

今朝これを着て葵の前に出ると、「格好良い・・・」と呟いて頬を染め見惚れていた。そんな反応をされると当たり前に触れたくなるので迷わずキスした。

葵もこの日のために新しくワンピースを買ったようで、いつにも増して綺麗だった。葵の会社の男どもがこの姿を見るのかと嫉妬心がニョキニョキと顔を出す。止まれるわけもなく、キスに夢中になりすぎて遅刻しそうになり、最終的に怒られた・・・。


普段仕事をする時は私服が多いため、部下たちにもやいのやいのと突っ込まれたが、気分が良いので笑顔で聞き流してやった。


車に乗り込むと胸ポケットでスマホが震える。


「蓮か?どうした」

「藤堂瑠奈の件、進捗伝えようと思って。後、お礼何にするか決めたからそれも合わせて」


そういえばそんな約束をしていた気がする・・・。

蓮には不本意ながら力になってもらった恩がある、無下にはできない。


「先に藤堂瑠奈の方」

「了解。まず、藤堂瑠奈が梗介と葵ちゃんへの面会を希望している」

「謝罪する気になったのか?それからなんで葵の名前知ってるんだ」


こいつの弁護士としての力があれば容易いことなのかもしれない・・・と言ってから思い至る。


「まぁ、俺だからね?」


絶対今ウインクしただろ・・・。ゾワっと鳥肌がたった。


「だとしても呼ぶな」

「いいじゃん減るもんじゃないし〜」

「減る。葵が減るから許さない」

「独占欲に執着愛、重いね〜」

「さっさと話を終わらせろ」


こいつの戯言に付き合う暇はない。


「謝罪するかどうかは話してから決めたいそうだ」

「断る」

「じゃなきゃ公での訂正はできないそうだよ?」

「なら訴えるまでだ」


あれだけ葵を傷つけておいて話してから謝罪するか決めるだと?馬鹿にするのもいい加減にしろ。

あの女に選択権はない。


「葵ちゃんにも聞いてみたほうがいいと思うけど」


蓮の言葉に黙り込む。

俺自身の答えは決まっている。だが・・・


「分かった。葵にも聞いてみる」

「結論出たら電話して。後、お礼は葵ちゃんとの顔合わせで」


語尾にハートでも付きそうな言い方をされ、二度目の鳥肌。


「却下」

「何でもって言ったよ?この俺が通話を録音していないとでも?」


こいつっ!だから嫌いなんだ!


「それも葵次第だ!絶対断らせる!」

「梗介が惚れた子ならきっと会ってくれるな!楽しみにしてるよ〜」


その言葉を最後に電話が切られた。

あいつにだけは頼むんじゃなかったっ・・・!


後悔先に立たず・・・。

折角の良い気分が台無しになったところで、葵から着信が来た。

画面に表示された名前を見るだけでさっきまでの澱んだ気持ちが浄化されていく・・・。


「葵?ありがとう」

「へっ!?何が?どうしたの?」


電話の向こうで慌てふためく葵が目に浮かび、愛しさが溢れて今すぐ抱きしめたくなった。

よし。会ったらまず抱きしめよう。


「葵こそ電話かけてきてどうした?」

「あっ、そうだ。仕事でトラブルがあって、少し遅れそうなの」

「分かった、待ってるよ」

「ごめんね?超特急で終わらせるから!」

「ふっ、終わったらご褒美ちょうだい」

「ご褒美?いいけど、何が欲しいの?高いのとかは無理だからね?」


子どもへのご褒美だと思ってんのか?


「会った時に言うよ」

「?・・・分かった。取り敢えず仕事終わらせてきます!」

「頑張れよ」


ご褒美に欲しいものを言ったら葵はどんな顔をするだろうか・・・?

早く会いたいと胸が疼いた。




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