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幼馴染のち恋模様  作者: 琴乃葉つむぎ
突然の贈り物

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それから一週間弱。

葵は梗介のマンションに居候し始めた。梗介と話し合ってから最終的な引っ越しは決めようと思い、今はまだお泊まり状態だ。


そんな今日はクリスマス。今年はクリスマスが日曜日だったので、多くの人が昼間から大切な人と過ごしているだろう。


葵は特に予定もなく外出も混んでいるだろうからと断念した。一日家でのんびりしようと決め、朝ごはんを食べているとインターホンが鳴った。


モニターを覗き込むと宅配業者らしき人が写っていたので通す。

荷物を受け取ると、片手で持てるほどの段ボール箱で宛名は葵だった。


「私宛?が梗介の家に届いた?どういうこと?」


差出人は・・・サンタクロース?

イタズラ?と思ったが、住所がロサンゼルスということは犯人は梗介だ。


推理していくのが楽しくて、ワクワクしながらダンボールを開けていく。

中には、手紙と某ジュエリーブランドの箱。


こんな高級品を手に取ることなど無縁の葵は恐る恐る箱を取り出す。

開けるのが怖くて深呼吸を繰り返した。

緊張しながらもリボンを解いて、箱を開けると、また手のひらサイズの箱。

マトリョーシカのような仕組みに思わず笑いそうになるが、その手のひらサイズの箱はドラマなどでよく見るあの、箱ではないだろうか・・・。


ドキドキと心臓が高鳴り、目が潤む。瞬きをしてボヤけそうになる視界を取り戻す。

そっと手のひらサイズの箱を開けると・・・中には、キラキラ輝くダイヤモンドの指輪。


なんて美しいのだろう。

少し波打ったようなプラチナのリングの真ん中には花の形の台座に大きなダイヤモンドの石が嵌め込まれている。


「きれい・・・」


見惚れてしまうほどの綺麗な指輪。これを自分の指にはめるのは畏れ多くて、とてもじゃないけどできなかった。

一緒に入っていた手紙を読もうと、手を伸ばす。梗介からの手紙なんて初めてで嬉しさに頬が緩む。



『葵へ


メリークリスマス


本当は直接渡したかったけど帰れそうに

ないから送ります。

俺がそばに居られない代わりに、この

指輪でしっかり周りを牽制するように。


愛してるよ


               梗介』



牽制って・・・。

梗介らしい文章に、近くにいるような感じがして胸が高鳴った。


スマホを手に取るとすぐに電話をかける。仕事中かもしれないけど伝えたかった。声が、聞きたかった。


「はい」

「っ!」


ワンコールで出るとは思わず、何を話そうか迷って言葉に詰まる。


「葵?もしかして届いた?」

「うん・・・こんなに綺麗な指輪、ありがとう。クリスマスの朝に届くなんて、本当にサンタさんみたいだね」

「サンタに頼んだからな」


子どもだと思っているのだろうか・・・。


「サンタさんにお礼の手紙書くね」

「なら、俺のシンガポールの住所に送って。俺がサンタに渡しとくから」

「ふふふっ」


その設定は貫くらしい。


「でも、こんな高そうな指輪付けて外歩けないよ・・・」

「付けなかったら指輪の意味ないだろ。付き合って初めてのまともなプレゼントなんだから、俺のためにも付けて」


そんな風に言われたら何も言い返せないじゃない・・・。


「・・・分かった。じゃあテレビ電話にして、私が指にはめるの見てて」

「何その生殺し・・・くっそー、俺が直接はめたかったのにっ」


テレビ電話は初めての試みで、なんだか緊張する。梗介の顔が画面に映し出されると、久しぶりに見る整った顔に心臓が跳ね上がる。

これは、心臓に悪いかもしれない・・・。


「それでは、誠に恐縮ではございますが、はめさせていただきます」

「ふっ、畏まりすぎだろ」


呑気に笑う梗介に若干の苛立ちを覚えるが、今はそれどころではない。集中しないと。


そっと触れると、少し冷たい感触。リングボックスから抜き取り、慎重に左手薬指まで持ってくる。

すると、スマホから梗介の芯のある声が響いた。


「柚月葵さん。俺と、結婚してください」

「えっ・・・」

「返事は?」


まさかの展開に戸惑う葵を急かすように梗介が催促する。

・・・答えは決まっている。


「よろしくお願いしますっ」


ついに、葵の左手薬指をリングが通すと、葵の瞳からは涙が溢れ出す。


「葵は泣き虫だな。抱きしめてやれないから泣くな」


愛しいものを見るような優しい眼差しで、困ったように葵を見つめ笑う梗介。

聖なる日の聖なる誓い。本番はもう少し先のお話・・・。



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