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幼馴染のち恋模様  作者: 琴乃葉つむぎ
焦がれた温もり

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梗介が話す、瑠奈と瑠奈の家族とのやりとりに驚愕する。


弁護士の篠宮さんには今度直接お礼をさせて欲しい。

何よりも、梗介の車で抱き合っていた真相が分かりホッとする。


「婚約は、一方的なものだったんだ・・・」

「あぁ。まさかそこまでする人だとは思ってなかったから俺もショックだったよ。仕事仲間としては一緒に色々乗り越えてきたからな・・・」


梗介にとって瑠奈は、戦友のような人だったのかもしれない。どうして、こんなことをするまでになってしまったのか、訳を聞ける日は来るだろうか・・・?


「訴えることもできるんだぞ?」


梗介の言葉に少し考える。だけど・・・


「ううん。しない。梗介が戻ってきてくれたから、充分だよ」


今は戦うよりも補充したい。梗介との関係をやり直したい。


「真緒も・・・梗介に電話してくれてたんだね」

「めちゃめちゃキレらた・・・あいつ俺に対してなんであんなに当たり強いの?パワーアップしてたんだけど・・・」

「ふふっ、やきもちだって。梗介に私を取られたから、気に食わないって言ってた」


高校の時から真緒は梗介に当たりが強く、よく二人で言い合いしていた姿が思い出され笑ってしまう。


「・・・笑ってくれた」


葵を驚いたような、嬉しそうな顔で見つめながら呟いた。


「へっ?」


会話が成り立っていなくて間抜けな声が出る。


「もう・・・笑ってくれないかと思ってた」


さっきまでの表情とは対照的に、苦しそうに顔を歪める梗介。


「葵から、あの言葉が送られてきた日から、生きた心地がしなかった」


泣き出しそうな震えた声で届く、梗介の心。


「だけど、俺なんかよりももっと、葵の方が傷ついたよな・・・そばに居てやれなくてごめんっ・・・守ってやれなくて、傷つけて・・・ごめんな・・・」


俯いていて梗介の顔が見えない。

私よりも身長が高くて、いつも余裕のある大きな背中に守られていた。だけど、何度も「ごめん」と繰り返す梗介が、とても小さく見えて・・・気づけば抱きしめていた。


「私こそ、ごめんなさい」

「何で葵が謝るんだっ」


反論しようと体を離そうとした梗介をもう一度ぎゅっと力を込めて引き寄せる。


「だって・・・梗介は、迷わず断ってくれたのに、私は・・・梗介のこと、信じきれなかったっ!別れたくなんかなかったのにっ・・・諦めちゃ、ダメだったのに・・・」


ここで泣くのはズルい。分かっていても止めどなく涙が溢れ出す。


「葵・・・俺も、抱きしめていい?」


返事の代わりにぎゅっと抱きつくと、そっと背中に梗介の腕が回る。遠慮がちに、壊れ物を扱うように・・・。


「やっと、触れられた・・・」


噛み締めるように呟くと、言葉を続ける。


「葵が断れないのは当たり前だ。あんなやり方で葵を追い詰めた藤堂瑠奈が悪い」

「でも・・・」

「でももだってもない。葵、頼むから自分を責めることだけはしないでくれ・・・俺は、葵に笑っててほしい。心から、幸せだって思って生きてほしい」


梗介の腕の力が少し強まる。


「そうさせるのは、俺であってほしい」


体を離した梗介は葵の目を見つめ、静かに告げる・・・。


「葵、結婚しよう」


葵は瞬きを忘れ、目を見開く。

梗介の綺麗な瞳に驚く葵の姿が映り、見つめ合う。


「俺が生涯一緒にいたいのは、葵だけだ。誰でもない、葵に誓うよ」


葵は言葉を失うほどの感動にただただ静かに涙を流している。

梗介は手の平で葵の頬を包み、指先で涙を拭う。

慈しむように微笑んだあと、柔らかい声に言葉を乗せる・・・。


「葵、愛してる」


その言葉が葵の鼓膜を揺さぶり、心に届く。

あの日から、閉じ込めていた梗介への想いが溢れ出し、涙となって流れ落ちる。


「梗介っ・・・!」


言葉にならなくてもう一度抱きついた。梗介は難なく受け止める。

いつもの大きくて温かい腕の中。戻ってこられた・・・この場所に。


「梗介のそばにいる。私も・・・愛してるよ」


想いを言葉にして伝えられることがこんなにも幸せなことだと、気づけてよかった。


「葵っ・・・会いたかった・・・二度と離れていくな」


力一杯抱きしめられ苦しいくらいだが、今はそれがとても満たされた。



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