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「本当にごめんなさい・・・」
思い切り泣いてスッキリしたら、今度は後悔が押し寄せる。
「なんで謝るんですか?泣くことは健康に良いんですよ。”涙活”なんて言葉もあるくらいですから!」
励まそうとしてくれているのが伝わってきて、なんて頼りになる後輩を持ったのかと胸に温かさが広がる。
「みっともないところを見せちゃったね・・・そばに居てくれてありがとう。ハンカチも、洗って返すね」
借りたハンカチは涙を吸って湿っている。
「気にしないでください。仕事ができて頼りになる柚月さんも同じ人間なんだなぁって安心しました!」
「ふっ、何それ。私、人間じゃないと思われてたってこと?」
楓華の言葉に少し笑みが溢れた。
まだ、笑えた・・・。
「だって!柚月さん全然弱音とか吐かないから、人間じゃないのかも?って思ってました。だから今日、涙を見せてくれて嬉しかったです!」
会社でそんな風に見られていたのかと衝撃を受ける。
「私こそ、こんなに頼りになる後輩を持って幸せです。ありがとう」
「ふへへへ」
変な声を出して照れたように笑う楓華が可愛い。
「もう遅いですし帰りましょう!」
「そうだね。遅い時間になっちゃってごめんね」
「全然です!帰り道、気をつけて帰ってくださいね」
「ありがとう。また明日ね」
楓華と別れ、駅に向かう。
まさか後輩の前であんなに号泣することになろうとは思わず、今更また羞恥が襲う。
「子供じゃないんだから・・・」
葵の呟きが暗い夜空に溶けていく。
空には、雲が広がり星が見えない。まるで私の心を写したようだとため息が白く流れていった。
掲示板の件は瑠奈が唆した人が犯人だ。ぽっかりと心に穴が空いたまま色のない帰り道を静かに帰っていった。




