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幼馴染のち恋模様  作者: 琴乃葉つむぎ
夢の中のあの人

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初回取材日当日。

取材場所は梗介の建築事務所でということになった。オフィスは横広の2階建で、歩道側は一面ガラス張りになっている。さすが建築事務所という感じで洗練されていてお洒落だ。

梗介との対面に緊張するが、時間に遅れてしまうので早速インターホンを押す。

ドコドコとなる心臓の音に聞こえないふりをしてポーカーフェイスを作り上げる。


「はい」


インターホンから綺麗な女性の声が響いた。

梗介が出ると思っていたので拍子抜けするが、気を取り直して挨拶する。


「株式会社リシモ・編集部の柚月葵と申します。本日東雲様の取材のためお時間をいただきました」

「お待ちしておりました。中へどうぞ」


事務所の中へ入ると半分吹き抜けのようになっていて2階から1階が見下ろせるような作りになっていた。ホワイトボードやスクリーンがあるスペースの他にもソファー席なんかもあり、職場とは思えないお洒落な空間が広がっていた。

こんなところで働けたら楽しいだろうなぁ。素敵なものに触れると好奇心が溢れ出す。


「初めまして。嚮建築事務所のプロジェクトマネージャーを務めております、仁科侑李と申します」

「初めまして。株式会社リシモ・編集部の柚月葵と申します。本日はよろしくお願いいたします」


挨拶をして名刺交換を済ませる。


「本日はご足労いただきありがとうございます。社長の東雲は奥におりますのでご案内いたします」


1階の一番奥にあるミーティングスペースで他の社員たちと話している梗介を見つけ汗が吹き出す。

本当にいる・・・平常心平常心・・・これは仕事・・・鎮まりたまえ・・・。

訳のわからない呪文を唱え心を落ち着かせる。


「梗介さん、株式会社リシモの柚月様がお見えです」


侑李が梗介に声をかけると話し込んでいた梗介が顔を上げる。

目が合い、一瞬時が止まる・・・いや、巻き戻る。あの頃の制服を着た梗介の面影が重なり懐かしさと共に込み上げる・・・淡い恋心。


「初めまして。今回のプロジェクトを担当する東雲です」


ドクンっと心臓が痛く跳ねる。

名刺を取り出すときに見えた左手の薬指。そこに輝くのは綺麗なプラチナの指輪。


結婚、してるんだ・・・。もう28歳だもんね、当たり前か・・・というか初めましてって、覚えていないの?いや、そんなはずはない。私を指名したのは彼の方だ。ならば意図的に初対面を装っている可能性が高い。


「初めまして。株式会社リシモ・編集部の柚月葵です。本日はご多忙の中、貴重なお時間をいただきありがとうございます」


お望みとあらば、と満面の笑みで対応する。


「申し訳ありませんが10分ほどお待ちいただけますか。トラブルが起きたため対応しなければならないので」

「トラブルでしたら取材は別日でも「いえ、すぐ終わりますので10分だけください」


食い気味に返事が返ってきて驚くが、確かに多忙の中時間をまた調整するのは大変よねと思い至り承諾する。


「分かりました。どこでお待ちしていればよろしいでしょうか?」

「侑李、案内して」

「承知いたしました。柚月様、こちらへどうぞ」


梗介さん、侑李・・・名前で呼び合う仲なんだ・・・もしかして梗介の相手って・・・。

侑李の左手薬指に目を向けるが、そこには何もなかったことに何故かホッとする。



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