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するとばあちゃんが素早く身を低くした。
俺は反射的に浮いている人形を撃った。
しかし人形は瞬時に上に飛んで弾丸をよけた。
そのまま天井にへばりついたかと思うと、激しい速さで窓を突き破って、どこかに逃げた。
ばあちゃんがぽつりと言った。
「逃げたか」
「そうだね」
「また来るな」
ばあちゃんが、まるで自分自身に言い聞かせるかのように言った。
しばらくの沈黙の後、ばあちゃんが言った。
「やはり気づかれていたか」
「あの生きた人形に」
「そう。こっちが気づけばむこうも気づく。で、わしら、敵とみなされたな」
「それじゃあ、また来るの」
「来る。わしらが死ぬまでな。強い恨みの念を持っているから、自分にとって邪魔なものは決して許さない。二人とも黒い車と同じく、滅ぼすべき存在と認識されたな」
「……」
「そんな顔をするな。人形を壊してしまえば終わるからな」
「うん、そうだね」
できるだけ武器を集めた。
猟銃はもちろん、包丁、バール、金属バット、などなど。
あいつは俺らが死ぬまで諦めないとばあちゃんが言った。
この戦いは、命がけなのだ。
「でもよかったこともあるぞ」
「なにが」
「こっちが探さなくても、向こうからきてくれるからな」
それが問題なんだけど、と言おうとしたが、やめた。




