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「ただいま」
「おかえり」
「そういえば、あの事故現場に、人形が置いてあったよ。誰かが置いたんだね」
俺がそう言うとばあちゃんは目を見開き、老人とは思えぬ動きで玄関を出て車に乗り込み、そのまま急発進で飛び出していった。
――どうしたんだ?
俺は不思議に思ったが、急用でも思い出したのかと考える様になり、そのままテレビを見て過ごした。
小一時間くらい経ったころ、ばあちゃんが帰ってきた。
「えっ、どうしたの?」
ばあちゃんは青い顔で、ぜえぜえと息を切らしていた。
そして言った。
「少女が人形になってしまったわい」
ばあちゃんが落ち着いたところで改めて話を聞いた。
「人形に乗り写ったって」
「ああ、人形が依代になってしまった」
「よりしろ? 前に言ってた」
「そうじゃよ。自由に動けるようになってしまった」
「で、どうなるの?」
「わからん」
「わからないの」
「ああ、女の子がなにをしたいかによるな」
「そうなの」
「今はできることはない。待つだけじゃ。そのうちに嫌でもわかるじゃろ」
そう言ったばあちゃんは、孫である俺が見たことがないくらいに怖い顔をしていた。
なにかが乗り移ったのではないのかと思えるほどに。




