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車が通りすぎた時、ばあちゃんが言った。
「まだあそこにいるね」
「なにが」
「死んだ女の子が」
ばあちゃんは村では、いわゆる拝み屋として知られている。
一人で坊主、神主、時には神父のようなことまでこなす。
百人足らずの村人の間で、絶大な信頼を得ているのだ。
「死んだときの恨みが強すぎて、あそこから動けないでいる。かわいそうにな」
「そこから動けないの」
「依代でもあれば別だが」
「よりしろ?」
「霊の入れ物みたいなもんだ。でもあそこから動くとなると、それはそれでやっかいなことだがね。一言で言うと、怨念の固まりみたいなもんだからな」
「成仏できないの?」
「今は恨みが強すぎてだめだね。元々念のかなり強い子だったみたいだし。だから恨みの念もけた外れになっとるな」
「念が強いの?」
「生まれつきに念が強い子がいるんだよ。この子はとくに強いね。ここまで強い子は、なかなかいない」
「そうなの」
「でも普通、しばらくすれば恨みが薄れるものだ。そうしたらわしがなんとかしような」
「うん」
街に行き、買い物を済ませた。
数日後のこと。
車で買い物に行った時に見た。
例の事故現場に花と一緒に人形が置かれていた。
体は半そでミニのワンピースを着ていて、肘、膝、手首、足首のジョイント部分が丸見えだ。
そして体に対して頭が大きく、身体よりも頭のほうが大きいのではないのかと思える人形だった。
人形の顔はあまりかわいくなかった。
と言うより、俺には不気味なものに見えた。
――誰かが置いたんだな。
俺は買い物をすませ、村に帰った。




