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――思い出せ。あの時のことを。
高校三年の時、野球の県大会を一人で投げぬき、優勝して甲子園に行った。
一回戦で強豪チームと当たり負けてしまったが、それでもプロのスカウトが俺を見に来た。
プロ入りはかなわなかったが。
――今だ!
投げた。
ドカー――ン
思ったよりも大きな音が響いた。
見れば人形の少女は体も頭も粉々になっていた。
手製の爆弾が、見事に命中したのだ。
粉々になった人形の顔は、生きた少女の顔ではなく、元々の人形の顔に戻っていた。
あれから黒い車の事故は聞かなくなった。
依代がなくなった少女は事故現場に戻ったのだろう。
あいつは体がないままに、そこにいるのだ。
そして自分の強い念のために、そこから動けないでいるのだ。
あの日から一か月は過ぎただろうか。
俺はふと思い出していた。
――ばあちゃん……。
その時、音がした。
何だろうと思っていると、鍵がかかっているはずの玄関ががらがらと開き、何かがゆっくりとはいってきた。
見ればそこには体も頭もつぎはぎだらけの人形少女がそこにいて、俺を見て笑っていた。
終




