10
毎日待った。
その日は来なかった。
次の日も、その次の日も。
あいつが来たのは、その翌日だった。
「来たぞ」
ばあちゃんが言ったとたん、人形少女が前回と同じく窓を突き破って入って来た。
ばあちゃんが右手に包丁、左手にバールを持った。
俺は右手に猟銃、左手に金属バットだった。
とにかく動きが素早い。
武器を振り回しても、猟銃を撃ってもなかなか当たらない。
そして常にばあちゃんと俺の間に体を置こうとする。
そのたびにばあちゃんか俺が、身体を移動させなければならなかった。
さして広くない居間での戦いが続いた。
どちらかと言えば二人とも防御が主だった。
何せ捕まればただではすまない。
ばあちゃんは七十を過ぎた老人とは思えないほどに素早く力強く動いた。
日頃から「拝み屋は体力じゃ」と言っていたが、俺には何となくその意味が分かったような気がした。
しかしそうこうしているうちに、包丁は折れ、バールは曲がり、金属バットもくの字になっていた。
――こいつ、固いぞ。
身体は見た目の素材からは考えられない固さだった。
そして生きた人間の少女そのものの頭も、同様に硬かった。
それに力もやはり強かった。
抱き着いて包丁を折り、バールと金属バットを曲げたのだから。
ばあちゃんが気づけば包丁とバールを捨て、鉄パイプと鎌に持ち替えている。
俺は金属バットを手放し、両手で猟銃を構えてなんとか狙いをつけようとした。




