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貞操逆転世界で、俺だけが『抵抗』できる ~魔力ゼロの種馬扱いから始まる、最強神官長(ヤンデレ)との支配関係逆転生活~  作者: 秋葉原うさぎ


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22/23

第22話:闇市のオークションと、出品された『元・勇者』

 舞台は、欲望と金が支配する「闇オークション」。

 そこで湊が目にしたのは、この世界の「残酷な真実」でした。

 新たなヒロインとの運命的な出会い。

 そして、アテナ様の「桁違いの金銭感覚」にもご注目ください。

 情報屋シャムの案内で辿り着いたのは、歓楽街の地下深くに広がる巨大なドーム状の空間だった。


 「裏会員制オークション・会場」


 磨き上げられた大理石の床。

 シャンデリアの煌めき。

 そして、仮面で顔を隠した貴族や富豪(もちろん全員女性)たちが、優雅にグラスを傾けている。


「うわぁ……。地上よりも豪華なんじゃないか?」


 俺は安物のローブのフードを目深に被りながら、小声で呟いた。

 隣には、同じくフードを被ったアテナ。

 そして、黒いドレスに着替えたシャムが先導している。


「ここは王都の『ゴミ捨て場』であり『宝物庫』さ。表社会じゃ手に入らない違法魔道具、絶滅危惧種の魔獣、そして……ワケアリの『男』たちが取引される」


 シャムがヒソヒソ声で解説する。


「いいかい、旦那。絶対にフードを取るなよ? アンタの顔とオーラがバレたら、ここの女ども全員が理性を飛ばして襲いかかってくるからな。……アタシらが肉壁になっても守りきれないよ」


「……肝に銘じるよ」


 俺はアテナの手を強く握った。

 アテナもギュッと握り返してくる。その手は震えているようにも見えたが、よく見ると――。


「(……あそこの貴族、見たことあるわ。裏帳簿の証拠、押さえられそうね)」


 震えているのではなく、獲物を見つけた狩人のように興奮しているだけだった。

 さすが神官長。メンタルが強すぎる。


 ◇


 オークションが始まった。

 司会者の女性が高らかに声を上げ、次々と「商品」が紹介されていく。


『最初の商品は、東方の島国から密輸された媚薬! 一滴で巨象をも発情させる「竜の涙」です!』

『続いては、観賞用の美少年奴隷! 歌って踊れる、夜のお供にいかがでしょうか!』


 飛び交う金額は、俺の常識を軽く超えていた。

 億単位の金が、紙屑のように動く。

 人間が物のように売買される光景に、胸が悪くなる。


「……落ち着きなよ、旦那」


 シャムが俺の肩を叩いた。


「これがこの世界の『日常』さ。……気に入らないなら、アンタが王になって変えるしかない」


「……ああ、そうだな」


 俺は奥歯を噛み締めた。

 目的は、俺の魔王オーラを隠すための**『認識阻害の仮面』**だ。

 それさえ手に入れば、長居は無用だ。


『さあ、お待たせいたしました! 本日の目玉商品その1! 古代の遺物、**「虚無の仮面」**です!』


 ステージ上に、禍々しくも美しい、黒い仮面が運ばれてきた。

 あれだ。


『着用者の魔力、気配、存在感そのものを希薄にする S級魔道具! 開始価格は金貨1000枚から!』


「1500!」

「2000!」


 即座に入札が始まる。

 暗殺者や、お忍びで遊びたい貴族たちに人気のアイテムらしい。価格はあっという間に跳ね上がっていく。


(……マズいな。金貨なんて持ってないぞ)


 俺が焦っていると、隣のアテナがスッと手を挙げた。


「金貨1万枚」


 会場が静まり返った。

 相場を無視した、圧倒的なオーバーキル入札。


『い、1万枚!? お客様、本気で……!?』


「早くしなさい。時間がないの」


 アテナが懐から、神殿紋章入りのブラックカード(魔力式決済カード)を取り出した。

 ざわめきが広がる。


「あの紋章……まさか神殿関係者?」

「ていうか、あの声……」


「……チッ。目立ちすぎだよ、神官長サマ」


 シャムが舌打ちをするが、商品は無事に落札された。

 すぐに係員が仮面を持ってくる。

 俺はそれを受け取り、顔に装着した。


 スゥッ……。


 視界が少し暗くなり、同時に、身体から溢れ出していた熱(王のオーラ)が内側に閉じ込められる感覚があった。

 これで、少しは安全に行動できるはずだ。


「さあ、目的は果たした。帰るぞ」


 俺が席を立とうとした、その時だった。


『それでは……本日のメインイベント! ラストを飾る“特別出品”のご紹介です!』


 司会者の声が、一段と熱を帯びる。

 会場の照明が落ち、スポットライトがステージ中央の檻を照らし出した。


『かつて、魔王軍と戦い、世界を救ったとされる伝説の存在……。その血を引く、**「勇者の一族」**の生き残りです!』


 ドォォォン……。


 重厚な檻の中にいたのは、一人の少女だった。


 ボロボロの聖騎士の鎧。

 泥と血にまみれた、輝くような金髪。

 そして、手足には魔力を封じる重い手錠と足枷が嵌められている。


 だが、何よりも目を引いたのは、その瞳だ。

 絶望の淵にありながら、決して折れることのない、蒼穹そうきゅうのような青い瞳。


「……勇者?」


 俺の心臓が、ドクンと跳ねた。

 地下書庫の壁画を思い出す。

 かつて男たちと共に戦っていた女性たち。その中に、彼女によく似た剣士が描かれていた気がする。


『彼女の名はカノン。数少ない「光属性」の使い手ですが……残念ながら、神殿への反逆罪で指名手配されておりました。この度、我々が捕獲し、皆様の「玩具」として提供いたします!』


 カノンと呼ばれた少女は、観客たちを睨みつけた。


「……殺せ。私を辱めるくらいなら、殺せ!」


 凛とした声。

 だが、観客たちはその気高さを見て、さらに嗜虐心(サドっ気)を刺激されたようだった。


『キャーッ! いい目をしてるわ!』

『あんな強気な女騎士を屈服させるなんて、最高じゃない!』

『金貨5万枚!』

『私は8万出すわ!』


 欲望のオークションが加速する。

 彼女は商品として、消費されるためにここにいる。


「……行くぞ、ミナト」


 アテナが俺の袖を引いた。


「彼女は反逆者よ。関われば、私たちまで疑われるわ」


「……」


「ミナト?」


 俺は動けなかった。

 仮面の下で、俺の魂が叫んでいる。


 ――助けろ、と。


 彼女の瞳。

 それは、地下書庫で俺が見た「錆びた剣」と同じ光を宿していた。

 孤独で、誰にも理解されず、それでも何かを守ろうとして戦い続けた者の目。


(……俺と同じだ)


 この世界で、たった一人で戦ってきた俺と。

 彼女を見捨てることは、俺自身の「反逆」を否定することになる気がした。


「……悪い、アテナ。俺は、欲張りなんだ」


 俺はアテナの手を離し、一歩前に出た。


「あの『勇者』……俺が貰う」


「はぁ!? 旦那、正気か!? あんな目立つ商品を競り落としたら、身バレ確定だよ!」


 シャムが止めるが、俺は止まらない。

 俺は大きく息を吸い込み、会場中に響き渡る声で叫んだ。


「――金貨、100万枚だ」


 シン……。


 会場の時間が止まった。

 100万枚。

 それは、小国の国家予算に匹敵する金額だ。

 誰が出せるというのか。


『お、お客様……? 冷やかしでしたら、命で償っていただきますが……』


 司会者が震える声で尋ねる。

 俺はニヤリと笑い、隣のアテナを指差した。


「支払いは、そこの神官長様がする」


「……ッ!?」


 アテナが目を見開き、そして深くため息をついた。


「……はぁ。やっぱり、そうなるのね」


 彼女は呆れたように、しかしどこか嬉しそうに、懐から別のカード(プラチナ色)を取り出した。


「いいわよ、ミナト。……あなたが欲しいと言うなら、世界だって買い取ってあげる」


 アテナがカードを掲げる。

 その瞬間、会場のモニターに「支払い完了」の文字が表示された。


『ら、落札ですぅぅぅぅ!! 勇者カノン、金貨100万枚で、謎のフードの男性とスポンサーにお買い上げぇぇぇ!!』


 歓声とどよめき。

 檻が開かれ、カノンが引きずり出される。

 彼女は呆然と俺を見ていた。


「……貴様は、何者だ? 神殿の犬か? それとも……」


 俺はステージに上がり、彼女の前に立った。

 そして、仮面越しに彼女を見下ろし、手を差し伸べる。


「犬じゃない。……俺は『反逆者』だ。お前と同じな」


 カノンの瞳が揺れる。

 俺の手から溢れる、微かな「王の覇気」を感じ取ったのだろうか。


「……面白い」


 彼女はフッと笑い、俺の手を取った。

 その手はボロボロで、しかし力強かった。


「契約しよう、名もなき反逆者よ。……私の剣は、今この瞬間から貴様のものだ」


 こうして、俺のパーティーに、最強の剣(元・勇者)が加わった。

 だが、それは同時に、俺たちが「世界の敵」として完全にロックオンされたことを意味していた。


「……あら、見つけましたわ」


 会場の最上階。

 VIP席から、純白の修道服を纏った少女が、俺たちを見下ろして笑っていた。


 セラフィナだ。


「逃しませんわよ、私の愛しい魔王様……。今度こそ、地獄の果てまで追い詰めて、その仮面を剥ぎ取って差し上げますわ!」


 新たな仲間と、迫りくる追手。

 夜の闇市を舞台に、第二ラウンドのゴングが鳴り響く。



 新ヒロイン・カノン、加入!

 「金で買われた女騎士」という背徳的なシチュエーションですが、彼女の中身はゴリゴリの武闘派です。

 そしてアテナ様、太っ腹すぎます。金貨100万枚って……。


 次回、「第23話:魔王と勇者と神官長、奇妙な三角関係の逃避行」。

 セラフィナの包囲網を突破し、学園へ帰還できるのか?

 そして、カノンが明かす「勇者の秘密」とは?


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