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貞操逆転世界で、俺だけが『抵抗』できる ~魔力ゼロの種馬扱いから始まる、最強神官長(ヤンデレ)との支配関係逆転生活~  作者: 秋葉原うさぎ


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第19話:魔王の器の休日 ~太陽の筋肉少女による、過剰すぎるお見舞い~

 シリアスな展開が続いたので、今回は箸休めの日常回です。

 ……といっても、この世界の日常が平穏なわけがありません。

 元気いっぱいなSクラス委員長・リナによる、距離感ゼロのお見舞いイベントをお楽しみください。

 あの一件――アテナとの激闘と、空に現れた「魔王の紋章」騒ぎから一夜が明けた。


 学園、および中央神殿は大混乱に陥っているらしい。

 「魔王復活の予兆か!?」「いや、神官長のアピール演出では?」なんて噂が飛び交う中、当事者である俺、湊は……。


「……暇だ」


 学園の特別医務室のベッドで、天井の木目を数えていた。

 身体的には、アテナの「濃厚な回復魔術(意味深)」のおかげでピンピンしている。

 だが、アテナが「魔王の件について上層部を“説得(物理)”してくるから、絶対に部屋から出ないで」と言い残して出て行ってしまったため、俺は事実上の軟禁状態にあった。


 静かだ。

 平和だ。

 ……でも、何かが足りない。


 ドォォォォンッ!!


 俺の思考を遮るように、医務室の扉が爆音と共に弾け飛んだ。

 爆発? テロか?

 いや、もっとタチの悪い「災害」だ。


「ミナトくぅぅぅぅんっ!! 生きてるぅぅぅ!?」


 砂煙の向こうから、オレンジ色の弾丸が突っ込んできた。

 Sクラス委員長、リナ・バーンズだ。

 彼女はベッドにダイブすると、俺の腹の上にのしかかり、至近距離で顔を覗き込んできた。


「心配したんだよ!? アテナ様と戦って、空が割れて、ミナトくんが倒れて……私、心臓が口から出るかと思った!」


「お、重い……! リナ、近いって!」


「生きてる! 温かい! 筋肉も……うん、仕上がってる!」


 リナは俺の胸板をペタペタと触り、二の腕をムニムニと揉みしだく。

 その目は、獲物の鮮度を確認する肉食獣そのものだ。

 相変わらずの距離感バグりっぷり。だが、この底抜けの明るさに救われる自分もいる。


「……リナ。心配して来てくれたのか?」


「当たり前じゃん! 私たちは『チーム・反逆』の仲間でしょ? それに……」


 リナは顔を上げ、琥珀色の瞳をキラキラと輝かせた。


「昨日のミナトくん、すっごくかっこよかったから! 私、あんな強いオス……初めて見た!」


 彼女の頬が朱に染まる。

 普段はガサツで元気な彼女が、ふとした瞬間に見せる「乙女」の顔。

 そのギャップに、俺の心臓も少し跳ねた。


「で、お見舞いに来たんだけどね! ただ寝てるだけじゃ退屈でしょ?」


 リナがニカッと笑い、鞄から怪しげな瓶を取り出した。


「これね、実家の道場に伝わる秘伝の『スタミナ増強オイル』! 魔獣の肝と、精力絶倫な薬草を煮詰めて作ったの! これを塗ってマッサージすると、一晩で体力が全回復して、夜も眠れなくなるんだって!」


「後半の効果はいらないな。というか、成分が怖い」


「いいからいいから! 昨日の疲れ、残ってるでしょ? 私がほぐしてあげる!」


「待てバカ! ここは医務室だぞ!」


「大丈夫! 私、マッサージ得意だから!」


 会話が成立しない。

 リナは俺の布団を剥ぎ取ると、強引に俺のパジャマのボタンを外し始めた。


「ちょ、おま……!」


「暴れないでよー。……わぁ、すごい。昨日の傷、もう治ってるけど……肌がつやつやだね」


 リナの指先が、俺の胸板を滑る。

 オイルのぬるりとした感触と、彼女の熱い体温が伝わってくる。


「いくよー! 秘技・剛力揉み!」


 リナの手が、俺の背中を力強く、しかし的確に指圧する。

 うまい。

 剣術で鍛えられた指先は、凝り固まった筋肉を的確にほぐしてくる。


「ん……そこ……」


「あはは! ミナトくん、可愛い声! もっと鳴いていいよ!」


「からかうな……くぅっ、効く……」


「ここも凝ってるね。……昨日はアテナ様を抱きしめてたもんね」


 リナの声が、少しだけ真面目なトーンになる。

 彼女は俺の肩甲骨あたりを揉みながら、ポツリと言った。


「……ちょっとだけ、羨ましかったな」


「え?」


「私だったら、もっと上手くミナトくんを守れるのに。……私だったら、ミナトくんをあんな悲しい顔にさせないのにって」


 彼女の手が止まる。

 リナは俺の背中に覆いかぶさるようにして、耳元で囁いた。


「ねえ、ミナトくん。……私は、ダメ?」


 日向の匂い。

 弾力のある胸の感触が、背中に押し付けられる。

 いつも元気な彼女の、弱気で、切実な問いかけ。


「リナ……」


「アテナ様には勝てないかもしれないけど……。でも、元気を出したい時は、私のところに来てよ。……私、ミナトくんのためなら、なんだってするから」


 彼女は俺の首筋に、チュッ、と音を立ててキスをした。

 それは所有のマーキングではなく、純粋な好意の証。


「……ありがとう、リナ」


 俺は振り返り、彼女の頭を撫でた。

 リナはくすぐったそうに、でも嬉しそうに目を細める。


 このカオスで賑やかな空間は、確かに心を癒やしてくれた。

 アテナの重い愛もいいが、リナの太陽のような明るさは、俺にとって必要な光だ。


(……平和だなぁ)


 俺がそう思った、次の瞬間。


 ガラララッ!!


 医務室の窓ガラスが、衝撃波で粉々に砕け散った。


「――楽しそうね」


 地獄の底から響くような声。

 窓枠に足をかけ、逆光の中に「彼女」が立っていた。


 神官長、アテナ。

 その背後には、神殿上層部を黙らせてきたであろう、圧倒的な威圧感(と返り血?)を纏っている。


「ア、アテナ様!?」


 リナが飛び退く。

 俺はオイルまみれの上半身を晒したまま、硬直した。


「ミナト。……私が命がけで戦っている間に、随分と豪華なエステを受けていたのね」


 アテナが笑顔で近づいてくる。

 目が笑っていない。

 そして視線は、俺の首筋――リナがキスした場所――に釘付けだ。


「リナ・バーンズ。……あなたには、特別に『校庭の草むしり(魔界植物の森)』というボランティアを用意したわ。今すぐ行きなさい。……10秒以内に消えないと、この部屋ごと浄化するわよ?」


「ひいいっ! ごめんねミナトくん! また来るねー!」


 リナはアテナの殺気に押され、脱兎の如く窓から飛び出して逃げていった。

 さすがSクラス、逃げ足も速い。


 再び、静寂が訪れる。

 部屋には、俺とアテナの二人きり。


「……で、ミナト?」


 アテナが俺のベッドに腰掛ける。

 彼女は俺についたオイルを指ですくい、ペロリと舐めた。


「他の女に触らせた罰……どうしてもらおうかしら?」


 つかの間の日常は、最強のヤンデレ神官長による「濃厚なお仕置きタイム(第二ラウンド)」へと移行するのだった。


【あとがき】


 リナちゃんの無邪気(だけど確信犯)なスキンシップ回でした!

 彼女の真っ直ぐな好意は、読んでいて元気が出ますね。

 

 しかし、ラストはやっぱりアテナ様。

 GPSどころか、盗聴器でも仕掛けているのでしょうか。


 次回、いよいよ新章突入!?

 「魔王の器」として覚醒しつつある湊を巡り、世界中の勢力が動き出します。


 面白かったら、ぜひブックマーク&評価【★】をお願いします!

 あなたの応援が、湊くんの生存率を上げます(たぶん)。

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