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貞操逆転世界で、俺だけが『抵抗』できる ~魔力ゼロの種馬扱いから始まる、最強神官長(ヤンデレ)との支配関係逆転生活~  作者: 秋葉原うさぎ


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第17話:処刑台上の『王』、そして紅蓮の女帝に対する『絶対命令』

 いよいよトーナメント開幕。

 数千の観衆、最強の対戦相手、そして「絶対的な不利」。

 最高の舞台は整いました。

 ここから先は、湊くんの独壇場ワンサイド・ゲームです。

 スカッとしたい方、お待たせしました!

 コロシアムのゲートをくぐった瞬間、俺を包んだのは「音の暴力」だった。


「引っ込め雑魚オスぅぅぅ!!」

「アテナ様のペットが、何の用だよ!」

「殺せ! 殺せ! 殺せ!」


 数千、いや数万近い女子生徒たちの罵声。

 殺気を含んだ魔力が、客席から波のように押し寄せてくる。

 普通なら、このプレッシャーだけで失神しているところだ。


(……うるさいな)


 だが、俺の心は驚くほど静かだった。

 恐怖? 緊張?

 そんなものは、あの三日間の「地獄の特訓」で削ぎ落としてきた。

 今、俺の胸にあるのは、自分を信じてくれたアテナや、ノアたちへの感謝。

 そして、このふざけた世界に対する、静かで熱い闘志だけだ。


『さあ、始まりました! 前代未聞、空前絶後! 男による男のための(そして女に嬲り殺されるための)舞踏会! 『反逆の王 選定儀式』、第一回戦ンンンッ!!』


 実況の声が会場に響き渡る。


『挑戦者は、神殿学園の異端児にして、アテナ神官長の愛玩動物! 魔力ゼロの一般人、ミナト・カザマぁぁぁ!!』


 ブーイングの嵐。

 ゴミや空き缶が投げ込まれる。

 俺はそれを最小限の動きで躱し、リングの中央へと歩を進めた。


『対するは……この学園における「破壊」の象徴! 火属性魔術のスペシャリストにして、Sクラス序列3位! “紅蓮の女帝”こと、ガーネット・フレイムハートォォォ!!』


 ドォォォォンッ!!


 反対側のゲートから、爆炎と共に一人の少女が現れた。

 燃えるような赤髪。露出度の高い深紅のローブ。手には身の丈ほどもある巨大な杖を持っている。

 その全身から立ち昇る魔力は、陽炎かげろうのように空間を歪ませていた。


「あらあら。……まさか本当にリングに上がるなんて、いい度胸ねぇ」


 ガーネットは杖を肩に担ぎ、蔑むような目で見下ろしてきた。


「アテナ様のお気に入りだからって、調子に乗らないことよ? ここは戦場。……男が立っていい場所じゃないの」


 彼女が指を鳴らすと、周囲に無数の火の玉が出現した。

 観客席から黄色い悲鳴が上がる。


「ガーネット様ぁぁぁ! 焼き尽くしてぇぇぇ!」

「男の悲鳴が聞きたいですわぁ!」


 完全にアウェイだ。

 誰も俺が勝つなんて思っていない。

 俺が悲惨な死に方をするのを、あるいは無様に命乞いをするのを期待しているだけだ。


(……いい性格してやがる)


 俺はゆっくりと息を吐き、構えを取った。

 武器はない。素手だ。

 ボロボロの剣(王の遺物)は、まだ使いこなせないとノアに没収された。今の俺にあるのは、己の肉体と、覚醒しかけている「何か」だけ。


『それでは、第一試合……開始スタートッ!!』


 ゴングが鳴った瞬間。


「消えなさい。『爆熱弾イグニス・ボム』!!」


 挨拶代わりの爆撃。

 巨大な火球が、俺の顔面めがけて高速で飛来する。

 速い。

 だが。


(……シエルの氷礫に比べれば、止まって見える)


 俺は半歩、右にズレた。

 ゴオオッ!

 熱風が髪を揺らす。火球は俺の横を通り過ぎ、背後の結界に衝突して爆散した。


「……は?」


 ガーネットの動きが止まる。

 会場の歓声も、一瞬だけ途切れた。


「避けた……? 魔力もないオスが?」


「偶然よ! 次こそ当てて!」


 ガーネットは苛立ったように杖を振るう。

 今度は三発。さらに五発。十発。

 雨のような火球の連打。


 俺は、その全てを「歩きながら」躱した。

 最小限の動きで。紙一重で。

 ルナとの鬼ごっこで培った「殺気の感知」と、シエルとの特訓で身につけた「魔力の流れを読む目」。

 それが、俺の身体をオートマチックに動かしている。


「な、なんなのよアイツ……! なんで当たらないの!?」


 ガーネットの顔に、焦りの色が浮かぶ。

 彼女は攻撃のピッチを上げるが、当たらない。

 俺は一歩ずつ、確実に彼女との距離を詰めていく。


「くっ……! チョロチョロと目障りな! これならどう!? 広域殲滅魔法『紅蓮地獄クリムゾン・インフェルノ』!!」


 ガーネットが杖を地面に突き刺す。

 瞬間、リング全体が魔法陣の光に包まれた。

 逃げ場のない、全方位からの炎の津波。

 これを避けることは不可能だ。


「死になさい! 灰になってアテナ様に詫びなさい!」


 炎が俺を飲み込む――その直前。


 俺は、立ち止まった。

 そして、迫りくる紅蓮の炎を、ただ「睨みつけた」。


(……俺の前に、道を開けろ)


 声には出さない。

 魂で念じる。

 地下書庫で感じた、あの感覚。

 王としての、絶対的な命令権。


 カッッ!!


 俺の瞳が、金色に輝いた(ような気がした)。

 次の瞬間。


 シュゥゥゥ……。


 俺を焼き尽くすはずだった炎の津波が、俺の身体に触れる数センチ手前で、まるで恐れをなしたように霧散した。

 熱くない。

 火傷ひとつない。

 俺の周りだけ、ぽっかりと「真空」のような安全地帯が生まれている。


「……は?」


 ガーネットが、間の抜けた声を上げた。

 観客席が、静まり返る。

 何が起きたのか、誰も理解できていない。


「魔法が……消えた……? 私の最高火力が……無効化された……?」


「……終わりか?」


 俺は煙を払いながら、ガーネットの目の前に立った。

 距離はゼロ。

 彼女は腰を抜かしたように、震えながら俺を見上げている。


「ひっ……」


「随分と熱烈な歓迎だったな。……でも、少し熱すぎた」


 俺は彼女のあごを掴み、顔を上げさせた。

 強気だった“女帝”の瞳が、今は恐怖と混乱で潤んでいる。


「な、何をしたの……? アンタ、ただの男じゃ……」


「ただの男だ。……お前たちが勝手に見下していた、な」


 俺は彼女の瞳の奥を覗き込む。

 そして、低い声で告げた。


「――『ひざまずけ』」


 ドクンッ。


 ガーネットの心臓が跳ねる音が聞こえた。

 魔法ではない。

 だが、俺の言葉は、彼女の脳髄に直接響く「絶対命令」となって突き刺さる。


「あ……ぅ……」


 彼女の膝が、ガクガクと震える。

 プライドの高い彼女の理性が「拒否しろ」と叫んでいるのに、本能が「従え」と歓喜している。

 その矛盾が、彼女の顔を真っ赤に染め上げ、涙を溢れさせる。


「わたし……は……Sクラスの……」


「聞こえなかったか? 跪けと言ったんだ」


 俺は少しだけ、掴んでいた顎に力を込めた。

 その瞬間。


 ガクンッ。


 糸が切れたように、ガーネットはその場に崩れ落ちた。

 俺の足元に。


 ――ジョロロロ……。


 静寂を取り戻したリング上に、場違いな水音が響いた。

 ガーネットの深紅のローブの裾から、地面へと黒い染みが広がっていく。


「あ……ぅ……」


 彼女の顔が、火が出そうなほど真っ赤に染まる。

 Sクラス序列3位。“紅蓮の女帝”。

 そんな誇り高き彼女が、ただ「言葉」で命じられただけで、恐怖と、抗えない支配への絶望のあまり、粗相をしてしまったのだ。


 それは、彼女が「メス」として完全に敗北した決定的な証拠。

 まるで、王に忠誠を誓う騎士のように。

 いや、主に許しを請う、無力な愛玩動物のように。


「……ごめんな、さい……。許して……ください……」


 震える声。

 潤んだ瞳。

 そこにはもう、敵意のかけらもない。

 あるのは、圧倒的な強者に対する畏怖と、そして底知れぬ「ときめき」。


「……勝者、ミナト・カザマぁぁぁ!!」


 審判の宣言が、遅れて響き渡る。

 一瞬の静寂の後。

 コロシアムは、悲鳴にも似た大歓声に包まれた。


『信じられない! あの一方的な魔法攻撃を無傷で突破! そして“紅蓮の女帝”を、指一本触れずに言葉だけで屈服させたぁぁぁ!!』

『なんなのあの男!? かっこよすぎるんだけど!』

『私も命令されたい……!』

『ミナト様ぁぁぁ!!』


 てのひら返しがすごい。

 さっきまで「死ね」と言っていた連中が、今は熱狂的な視線を送ってくる。

 これが、この世界の真実か。

 強さこそが正義。強さこそが愛。


 俺はガーネットに背を向け、手を振って歓声に応えた。

 その背中に、ガーネットの熱っぽい視線が突き刺さっているのを感じながら。


(……悪いな、ガーネット。お前も被害者だ)


 彼女もまた、女神の呪いによって「強者」を演じさせられていただけなのだ。

 俺が勝ったことで、彼女も少しは肩の荷が下りただろうか。


 ◇


 VIP席。

 その光景を、最上段から見下ろす影があった。


「……ふふ。まさか、初戦でSクラスを陥落させるとはね」


 ワイングラスを揺らしながら、ノアが愉しげに笑う。

 その隣では、リナが「ミナトくーん! サイコー!」と身を乗り出して叫び、シエルが「はしたないですわよ!」と止めながらも顔を真っ赤にしている。ルナは「ボクのご主人様だぞ!」と謎のマウントを取っている。


 そして。

 中央の玉座には、アテナが座っていた。

 彼女は表情を変えていない。

 だが、その握りしめた手すりには、深い指の跡が刻まれていた。


「……ミナト」


 アテナの瞳は、暗く、重く、よどんでいた。


「あなたは強くなった。……私の守護がいらないくらいに」


 それは喜びではない。

 最愛のペットが、檻を壊して空へ飛び立とうとしていることへの、根源的な恐怖。


「許さない……。私以外の女に、あんな顔を見せるなんて」


 アテナの周囲の空間が、ピキピキと音を立てて歪む。


「次の試合……私が相手になるわ。……リングの上で、公衆の面前で、二度と逆らえないように『教育』してあげる」


 神官長が立ち上がる。

 その背中には、世界を終わらせるほどのどす黒い愛が渦巻いていた。


 トーナメントはまだ始まったばかり。

 そして俺はまだ知らない。

 次の相手が、世界最強のヤンデレ神官長であるという、最悪の事実を。

 「ざまぁ」完了です。

 圧倒的な魔法を、覇気だけで霧散させる。これぞ王の力。

 ガーネットちゃんも、無事に(?)湊くんの魅力に堕ちたようです。


 しかし、勝利の余韻に浸る暇はありません。

 ラストのアテナ様、完全に目が笑っていません。

 次回、「第18話:決勝戦!? 神官長vs反逆の王、愛と支配の頂上決戦」。

 まさかの身内バトル勃発!?


 この展開が熱い!と思った方は、

 ぜひ【ブックマーク】と【★★★★★】評価をお願いします!

 ここからさらに盛り上がりますよ!

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