哨戒活動
1939年6月20日、アメリカ合衆国ローズエメラルダ大統領は首都ワシントンDCのホワイトハウスで対策会議を開催していた。内容はミッドウェー島とニューギニア島への、海上輸送路が通商破壊戦により壊滅状態となったからだ。輸送船団のみならず、護衛を行っていた海軍まで沈められていたのである。そのあまりの不甲斐なさに、エメラルダ大統領は海軍長官を罷免した程であった。
だが罷免したとはいえ、状況は変わるものではなかった。新しい海軍長官は太平洋艦隊の対潜哨戒能力を有する部隊を、今回の通商破壊戦阻止に全力投入すると表明した。更に大西洋艦隊を全て太平洋に回航させるとも表明したのである。
陸軍長官はミッドウェー島とパプアニューギニア島の部隊が補給不足になっている事から、早急な対応が必要不可欠だと語った。海兵隊長官も部隊を派遣している事から、陸軍長官の意見に賛同した。
だが国務長官は冷静に、それだけ太平洋に集中し過ぎて大西洋は問題ないのか、と疑問を投げ掛けた。それに対して海軍長官は、大西洋に於いては第二神聖ローマ帝国海軍が大英帝国を海上封鎖し、大日本帝国海軍地中海艦隊はイタリア王国海軍を警戒し地中海から出ていない為に、大西洋は現状では警戒しつつも放置しても問題は無いと判断すると語った。何よりも大日本帝国海軍連合艦隊に対抗する為にも、太平洋に戦力を集中させる必要があるとも海軍長官は付け加えた。
それに対して国務長官は、第一次世界大戦のミッドウェー海戦の二の舞にならないか、とも尋ねた。それはエメラルダ大統領にしても同じ意見だった。その意見に対して海軍長官は第一次世界大戦とは違い、合計58隻もの超弩級戦艦を保有しており大日本帝国海軍の合計64隻に肉薄しており、更に連合艦隊が8隻を地中海に配備している為に太平洋には56隻しか集結させられない事から、単純な数では上回ると語った。
そう語る海軍長官は自信満々であった為に、エメラルダ大統領と国務長官は取り敢えずは納得する事にした。その為にエメラルダ大統領はまずは大日本帝国海軍連合艦隊の通商破壊戦に、全力で取り組むように命令したのである。海軍長官は全力で取り組むが、対潜哨戒が可能な艦艇を作戦に投入すると断言した。
これには通商破壊戦の対処で対潜戦が必要不可欠な為に誰も疑問に思わなかったが、これはつまりせっかく超弩級戦艦を太平洋に集結させたのにも関わらず、巡洋艦と駆逐艦しか作戦に投入しないというのである。超弩級戦艦は暫くは軍港に停泊したままになり、しかも通商破壊戦の対処や輸送船団の護衛により巡洋艦と駆逐艦は投入され、それが撃沈された結果艦隊行動が難しくなるという事になり、超弩級戦艦が活躍出来なくなる事になった。
それはアメリカ合衆国の戦時建艦計画でも補填するのは難しかったのである。




