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鉄と海の帝国  作者: 007
第1章 開戦

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空襲2

逆落とし攻撃を受ける事になった第二神聖ローマ帝国空軍戦略爆撃機Fw200は、編隊を乱すほどの大混乱に陥っていた。Fw200の各編隊はランドマークを視認しやすいように、高度6500メートルで飛行を続けていた。だがその高度よりも遥かに高空から、九八式戦闘機の逆落とし攻撃を受ける事になったのである。

九八式戦闘機は13ミリ機銃4門を発射しながら、Fw200の編隊に襲い掛かった。Fw200は機体の上下左右に1門ずつの7.92ミリ機銃を搭載していたが単装であり、更には編隊の密度も緩く弾幕は十分では無かった。その為に九八式戦闘機が近付くにつれて撃破される機体が現れ、通り過ぎる頃には10機近くのFw200が撃墜された。

それに対してFw200の放った7.92ミリ機銃は九八式戦闘機の防弾装甲により防がれ、撃墜する事は出来なかった。だがプロペラやエンジン本体への直撃による損傷は数機に与えており、それら機体は即座に帰投を開始した。だがそれでも大日本帝国空軍の迎撃に現れた機体総数の約1パーセントであり、ほぼ無傷のまま大日本帝国空軍は迎撃を続けた。

その為に空戦は壮絶なるものになった。同時多発空襲を狙った第二神聖ローマ帝国空軍により、四カ所同時での空戦になったが、どこにおいても優勢なのは大日本帝国空軍だった。大日本帝国空軍の九八式戦闘機はFw200の胴体部分を狙わずに、的確にエンジンや操縦席に対して銃撃を加えたのである。

それは自分達の保有する九七式戦術爆撃機と九七式戦略爆撃機が、強固な防弾装甲を有している事から敵を過小評価せずに、九七式戦術爆撃機・九七式戦略爆撃機と同等の防弾装甲と仮定しての戦術だった。

だがその戦術を採用出来るのは、大日本帝国空軍の練度が高い証明でもあった。大日本帝国はその広大な国土によりユーラシア大陸や北アメリカ大陸に跨りながらも、『海洋帝国』と自負しており国防方針は『海軍優先』だった。その為に世界最強の超弩級戦艦群を保有するに至り、それに影響され空軍も『外征空軍』としての色合いが非常に強く編成された。

各国の空軍や陸軍航空隊は基本的に海洋での作戦を嫌う。それはランドマークになるものが無い為であり、必然的に計器飛行による航法を強いられるからだ。その為に第二神聖ローマ帝国空軍は今回の大日本帝国空襲では目標となるランドマークを指定し、目的地までの直線飛行を命じるという有様だったのである。

海洋での飛行に慣れている、行わらずを得ないのは海軍の空母航空隊であった。空母から発艦し自艦隊から敵艦隊に攻撃を行い、帰投するがその間は全て当然ながら海洋である。その為に海軍の空母航空隊は慣れており、空軍も海洋帝国の空軍である為に、必然的に海洋での飛行訓練を行うようになっていた。

これにより大日本帝国空軍は海洋での作戦も一切の支障なく実行出来るようになった。他国の空軍や陸軍航空隊は海洋での作戦は、沿岸部に限られていたが大日本帝国空軍は一切の制限が無かった。この差が第二神聖ローマ帝国空軍の空襲に対する防空戦の戦果に如実に現れた。

時間が経過するに連れて、ただでさえ密度の高くないFw200の編隊は撃墜数の増加により、ますます迎撃は困難になっていた。それは必然的に大日本帝国空軍の攻撃がますます苛烈になる事になり、空戦開始から20分後に第二神聖ローマ帝国空軍Fw200の各編隊は、作戦中止を決定し次々と反転帰投を開始した。

だがそれは海南道と台湾府を空襲した編隊が成功したのである。朝鮮道と九州を空襲したFw200の編隊には、砲身交換の為に鎮守府の工廠入りをしていた超弩級戦艦を除く第1〜第4艦隊が出撃し、対空戦闘を開始したのである。更には空母からも九六式艦上戦闘機が蒸気カタパルトにより、次々と射出され迎撃を開始した。各艦隊は打撃巡洋艦愛宕級が超弩級戦艦の代わりに迎撃の主力を担い、33センチ3連装砲4基12門と10センチ連装両用砲16基32門を最大仰角で発射し、40ミリ4連装機関砲48基・20ミリ4連装機関砲56基・8センチ14連装噴進砲20基も活火山のような射撃を開始した。

巡洋艦阿賀野級も23センチ連装砲4基8門・10センチ連装両用砲8基16門・40ミリ3連装機関砲28基・20ミリ3連装機関砲24基・8センチ14連装噴進砲16基を発射し、駆逐艦秋月級もそれに続き10センチ連装両用砲6基12門・20ミリ連装機関砲34基・8センチ14連装噴進砲22基等の各種兵装を乱射していた。

各艦共に10センチ連装両用砲までは対空戦闘を考慮したものだったが、打撃巡洋艦愛宕級の33センチ3連装砲と巡洋艦阿賀野級の23センチ連装砲は対空戦闘は想定していなかった。だが今回の戦闘に於いては対地攻撃用の『三式弾』を使用する荒業を見せた。

三式弾は大日本帝国海軍連合艦隊のお家芸である、戦略艦砲射撃に於いて対地攻撃用散弾として開発されたものであった。発射された三式弾は内蔵する弾子を投網の様に広げながら、地上に降り注ぐ事になり軟目標に対して高い効果を発揮するものだった。それを最大仰角で対空用に応用したのが、今回の攻撃だったのである。最初の砲撃は時限信管の設定が甘く不発だったが、2度目の砲撃では見事にFw200の機体を包み込み撃墜に成功した。

歓声をあげる第1〜第4艦隊だったが、そこに更なる砲撃音が響き、上空のFw200の編隊を全て包み込む爆発が起こった。爆発が収まると全てのFw200は消滅し、編隊は消え去っていた。

砲撃が行われた方角を確認すると、ようやく駆け付けた第5艦隊と第6艦隊がいたのである。第5艦隊はダッチハーバー鎮守府所属であり、超弩級戦艦越前級8隻を主力にし越前級は48センチ3連装砲4基12門を誇り、第6艦隊は高雄鎮守府所属であり、超弩級戦艦常陸級8隻を主力にし常陸級も48センチ3連装砲4基12門を誇った。192門に及ぶ48センチ砲の三式弾の一斉砲撃は、想像を絶する破壊力を見せたのであった。

こうして第二神聖ローマ帝国空軍による大日本帝国空襲は失敗に終わった。だがこれは大日本帝国国防省報道官がラジオ放送による、戦果発表により一般国民の知る事になり国民世論は『ヨーロッパを叩け!』の合言葉に、前代未聞の総力戦に大日本帝国を突入させる事になったのである。

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