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鉄と海の帝国  作者: 007
第3章 混迷

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中華民国無条件降伏2

1939年8月16日、中華民国無条件降伏の報は世界中に広がった。遷都した先の重慶にまで大日本帝国は攻め込み、中華民国全土を占領しての無条件降伏であった。停戦文書調印はそのまま占領下の重慶で行われ北中派遣軍司令官松井石根大将、上海派遣軍司令官畑俊六大将、南中派遣軍司令官小磯国昭大将の3人と蒋介石首席が調印した。正式な降伏文書調印式は後日となったが、中華民国は戦争から完全に脱落する事になった。

亜細亜の一角とは言え世界枢軸同盟から降伏した国が出た事は、政治的にそれなりの意味を持っていた。何せ開戦以来世界枢軸同盟に汎ゆる戦線で連合国側は敗北しており、オランダ王国・ベルギー王国・デンマーク王国・ルクセンブルク・フランス共和国・大英帝国カナダ自治領と短期間に6ヶ国も既に降伏したのである。

そんな世界枢軸同盟の一角を崩す事が出来たというのは、有意義なものだった。世界枢軸同盟諸国は、表向きの言葉はともかく『所詮は劣った有色人種の国』が降伏したことに、あまり衝撃は受けていなかった。連合国では中華民国の降伏は一応戦争の転換点の一つと捉えられた。何より大日本帝国にとって東亜細亜が完全に安定化し、中華地域に展開していた大軍が他に転用できるようになったことに大きな意味があった。

事実上中華民国全域の占領統治は始まっており来月中には占領行政を担当する、『中華地域連合軍総司令部』が設置される予定だった。総司令官には南中派遣軍司令官小磯国昭大将が就任する事が内定していた。これにより中華地域での占領行政は南中派遣軍を投入し、北中派遣軍と上海派遣軍は転用する事になっていた。

大日本帝国としては当然ではあるが何より全土占領により、中華民国から独立を一度剥奪していた。蒋介石首席以下政府首脳陣は逮捕はされなかったが占領統治により、事実上中央政府が無くなっているのだから当然だが、大日本帝国は中華民国に対して悪い感情ばかりを持っていた。特に中華民国は大日本帝国にとって『裏切り者』であり、単なる敵よりも制裁と罰を与えるべきだと強く考えていたのである。これは裏切られた感情が強い国民世論や、連合国各国も違いは無かったのである。

その為にまだ正式決定では無いが大日本帝国による占領統治は、中華民国の独立を停止(剥奪)した上での長期間の軍政が前提とされていた。統治には中央からの強い命令と、それを物理的に可能とする軍事力による抑止が必要と判断されたからだ。そして軍政により地方軍閥を解体して中華民国そのものを民族事に分割し、同時に中央政府は大日本帝国の指導で民主的政府の再構築を目指すこととされた。大日本帝国は中華民国全土の併合は大き過ぎると考え沿岸部の併合のみとし、他は民族事に分離独立させ中華地域が二度と一つに纏まらないようにする算段だった。

また独立復帰後は外交や軍事力など国家の基本的な能力は与えるが、近代産業(重工業、先端産業)については多くを与えないことが基本方針とされた。下手に自力生産能力を与えると、勝手に武器を作り始めて再び内輪で対立し、それが解消しても外に向けて軍事力を行使したがる傾向が強いと考えられたからだ。しかも中華民国は満州や山東半島等を『取り戻す』事を国是の一つにしていたのだから、大日本帝国としては中華中央の国家に力を与えてはいけないという考えが強かったのである。

だが全ての工業を取り上げてしまうと、新たな植民地統治だとリベラル派に言われてしまうので、段階的に軽工業を中心にある程度は認めることとされた。しかし重工業については、長期間支援や技術供与の停止状態が続くことになる。なお国そのものに大きな制裁を加えるので、国家要人に対する処罰は穏便となった。首席の蒋介石と大臣達・軍指導部の要人は、処刑せず穏便なものとする予定だった。刑罰は禁固刑が中心になる予定だった。

この処置は大日本帝国が文明国である証を世界と後世の歴史に見せるためでもあったが、全ての有力者を処刑してしまうとその後の中華地域の屋台骨全てをへし折ってしまうというのが最大の理由だった。しかし大日本帝国が受けた人的損害が少なかったことも、その判断に影響したことは間違いないだろう。

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